
「起業を目指す会社員」は、令和7年1月1日から、会社員+個人事業(士業)の二刀流生活を送っています。最初の4か月は、あっという間に過ぎていきました。
「そんな無茶な生活は成り立つのか?」
「会社員と個人事業(士業)は両立(兼業)できるのか?」
とよく聞かれますので、ここでその実体験をご紹介します。
このブログは、不安とリスクと戦いながら起業を目指す、会社員の実話です。起業を通して一人の人間が成長していく様子を見ていただき、それが誰かの励みになることがあれば、最大の喜びです。
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起業する前に心配していたこと
私は、会社員として一社で長く働いてきましたが、今年からそれと並行して、個人事業(士業)を開業しています。すでに開業してから4か月が経過しました。時の流れは早く、気づけばもう少しで半年というところです。
実は、この二重生活を始める前は、不安が尽きませんでした。
なぜなら、私の士業では、会社員と兼業している人がほとんどいないからです。ネットで調べてみても、実例がほとんどヒットしませんでしたので、本当にできるのだろうか?と私自身が半信半疑でした。
特に気になっていたことは、次の3つです。
①個人事業の時間をどのように確保するか?
平日は会社員として忙しく働き、帰宅後はくたくたになっています。といいますのも、私は、会社では、経理・労務・総務・情報・人事の責任者を兼ねています。決算の時期に新入社員研修が重なったり、新卒採用に注力しないといけない時に通信障害と格闘したりと、マルチに仕事をしています。
社員数10名ほどの会社でしたら理解できますが、それなりの規模の会社に勤めています。自分で言うのもあれですが、変な働き方をしています。
そんな中で、個人事業に注力できるのか?という懸念がありました。
さらに、開業を理由に家事や育児をおろそかにするわけにもいきません。子供が大きくなるにつれて、やらねばいけないことがだんだん増えてきました。最近では、子供がしているスポーツの審判の勉強もしているぐらいですから(笑)
②平日の日中に、個人事業の仕事がある場合、どうするか?
私の所属する士業会では、月に1回、平日に会合が予定されています。なんと悲しいことでしょう。ちょうどその日に、毎月、会社の重要な会議が予定されています(涙)
また、士業会の会務も平日に予定されるため、その対応をどうするか考える必要がありました。
「現職(会社)の方で、士業の活動で休みをとるときに、嫌な顔をされたらどうしよう?」
「士業会の方でも、出席率が悪いとクレームくるかな?」と、心配性の私は不安になっていました。
③どちらかが疎かにならないか?
私は目の前の課題全てに全力投球するタイプです。そんなわけで、会社員の仕事に没頭すると、個人事業の方が疎かになりそうだし、逆に個人事業に夢中になりすぎると、会社員としての生活がつまらなくなってしまうのではないか?と、不安を抱えていました。
さらに、会社員と個人事業とは別で、研究活動にも取り組みたいので、意識が分散して中途半端な状態になる心配もありました。
■仕事以外にも興味があること■
本当に、「二兎、三兎を追う者」状態です。
実際はどうだったか?


実際に4か月間、二足の草鞋を履いた結論としては、
「会社員と個人事業(士業)は両立できる!ただし、少々の辛抱と工夫が必要!」
ということです。
では、起業前の不安がどうなったのか、振り返ってみます。
①個人事業の時間をどのように確保するか?
会社員としての勤務時間は、平日の日中(残業も結構あります)。個人事業の営業時間は、その裏の平日の夜と休日です。
つまり、365日稼働する生活になっています。しっかりと労働基準法を守った形で仕事をしていますが、実態は自分で選んだ「ブラック労働」状態です(笑)
こうした中でも、集中して個人事業に取り組める時間を確保するために、早起きを習慣化しました。
「朝の1時間は夜の3時間に匹敵する」という説を信じて、早起きで3時間分の個人事業をしてから、会社に出勤しています。
田舎の朝は、とても静かです。窓を開けて、小鳥のさえずりを聴きながら、気持ちよく仕事をしています。朝が整うと、1日が充実します。他の同僚と違って、私は、すでに一仕事終えて仕上がった状態ですので、会社員としての生活もスムーズにスタートできます!
■人生の主導権を取り戻すための早起き■
また、個人事業(士業)では、WEBサイトを充実させ、すべての問合せや相談はオンラインからという形にしました。電話番号を表示していたときもありましたが、下のブログのように、日中に営業電話ばかりかかってきて、会社での仕事の支障になるばかりでした。
■士業登録後に起きた業界あるある■
現在は、すべてオンラインベースで、電話対応や突然の訪問対応に追われることはありません。もし、平日の日中に個人事業の方で相談があったとしても、当日内には対応できます。(即日対応をモットーに。)
なお、夜は疲れ切って帰宅しますが、そこでも、士業の方を少しでも進めようと、動画研修や資料整理など、疲れてもできることをしています。
朝の早起き、昼のオンライン対応、夜の軽作業と、いろいろと工夫は必要ですが、何とか個人事業の時間も確保できています。
②平日の日中に、個人事業の仕事がある場合、どうするか?
月1回の士業会合や年数回の会務については、会社に相談し、仕事を抜ける許可を得ました。(勤務先には、時間有給制度がありました。ありがたい限りです。)
本当は、会合や会務後に、他の先生方と雑談や食事(懇親会など)を楽しみたい気持ちもあります。私は、士業事務所出身の人間ではなく、業界外(一般の会社)から士業に参入した者ですので、業界人の話をちょっと聞いてみたいのです。ただし、会社に戻って対応する仕事は山ほどありますので、速やかに退出しています。
ありがたいことに、会社の方では、管理部門責任者である私が、国家資格取得者であることを評価し、応援してくれているようです。この理解が得られたことは、私にとって大きなプラスでした。本当に感謝です。今まで、会社の中では、人が嫌がる仕事こそ黙々とやり続けてきたことが、こうして返ってきたのかなと、勝手に整理しています。
■人の嫌がることを黙々とやる話■
勤務先の理解や信頼があって、平日の個人の仕事も行えています。
③どちらかが疎かにならないか?
会社員と個人事業のバランスを保つため、業務の切り分けを工夫しました。
会社員としては法人事業に注力し、個人事業(士業)では個人顧客をメインにしています。
元々は、法人顧客の対応も考えていましたが、他の法人顧客のことを考え始めると、私の悪い癖(何でも全力投球)が発動し、収拾がつかなくなりそうなこと、競業避止もあり、やめました。ただ、結果的に、法人と個人の明確な線引きがてきたおかげで、気持ちの切り替えがスムーズになり、どちらも楽しめています。
会社員の仕事では、チームで動き、会社のリソースを活用しながら、大きなプロジェクトに関わることができます。私の苦手なことを好んでやってくれる人もいますので、私個人の弱点が解消され、より大きな成果を得ることができます。
一方、個人事業では、一人で頑張る方々の支援を大切にしたいという思いから、細かな気配りやサービスの提案など、柔軟に対応しています。「個人」の方を「個人」で支える形をとっていますので、自分がしたいと思うことを即断即決で行うことができます。
結果として、両者の仕事の面白みが明確になり、どちらにも意欲的に取り組めているような気がしています。
以上から、私の検証結果として、「会社員と個人事業(士業)は両立できる!ただし、少々の辛抱と工夫が必要!」に至りました。
両立するために必要なこと

私なりに振り返ってみますと、会社員と個人事業を両立することは、なかなか大変です。そのため、これを両立するためには、当たり前ですが、
①時間管理を徹底すること
②モチベーションを維持すること
が必要です。
時間管理は特に重要です。やるべきことは山ほどあり、やりたいことに集中しすぎてタイムオーバーにならないようにする必要があります。私の場合、WEBサイトの制作に注力するあまり、相当な時間を費やしていたこともありました。やりたいことに適度に制限時間を設けながら、ITツールや隙間時間を活用し、効率的に動くことが欠かせません。
また、モチベーション維持も大切です。私の場合、会社員としてできないことを個人事業主として楽しみ、個人事業でできないことを会社員として満喫する、という形で互いに補い合うことができています。
両者のストレスは、それぞれの仕事で解消されるということです。
最後に・・・

私のように会社員と個人事業を両立する士業は、私の住む地域ではかなりのレアケースでした。これは、私の所属する士業会の会合に参加して気づいたことですが、この業界、特に地方の士業会では会社員と士業を両立(兼業)している人がほとんどいない(※)という現実がありました。(※国家資格の種類によります。)
都会に行けば、大手企業で働きながら国家資格を取得し、士業登録している人も多いようですが、私の住む地域ではそういった人はほぼ見かけません。若くして士業登録した人には、都会の大手士業法人での大きな仕事がありますが、苦労して取得した国家資格がありながら、田舎で細々と仕事をする人は少ないようです。
そのため、同業者の方に「会社員をしながら士業をしています」と伝えると、
同業者「どこの(士業)事務所の会社員ですか?」
私「一般の会社の会社員です」と答えると、
同業者「えーっ!?そんなことできるんですか??」さらに、「士業は登録だけで、副業みたいな感じですかね」
と言われることも多く、そのたびに「どちらも私にとって大事な本業なんだけどな…」と思いながら、こうした会話を50回ほど繰り返しました(笑)
唯一、士業以外に本業を持つ方がいると聞き、興味深く話を聞いてみると、事業会社の役員の方が、非常勤で士業事務所に勤務しているとのことでした。
つまり、「会社員 × 個人事業主(士業)」のスタイルは、激レア(私の地域では、1名/100名)ということが判明しました!
私は心配症ですので、それを知って、少し不安になってしまいました。会社員と士業を同時にやっていはいけない、何かダメなルール(〇〇士法)でもあるのかと探したぐらいです。それとも本質的に両立できない理由(要因)があるのではないかと、いろいろと考えてしまいました。
そういえば、私たち日本人の中にも、誰もが実現困難だと思ってきたことを成し遂げた、二刀流の成功者がいましたね。大谷翔平選手です。野球界では、二刀流などダブーとされてきたのかもしれませんが、現実に、大谷選手は二刀流で活躍されています。現在では、よきパパとしても。私は、あの方のようには器用にできませんが、工夫次第で両立は可能だと信じています。
車業界でも「ハイブリッド」の価値があらためて見直されている今、二つの視点(側面)を持つことは希少性だけでなく、相乗効果やリスクヘッジの面でも有益なのかもしれません。
私の場合は、個人事業主としての視点(または顧問先経営者に寄り添う視点)と会社員としての視点を持っていますので、ある意味では、経営者としての側面と労働者としての側面を持っています。お互いにとってハッピーな方法を導くことができるのが、私の利点なのかもしれません。また、どっちがこけても、何とかなるかななんて思いながら、仕事をしています。
直前ではいろいろあった開業でした。
しかし、何とか今は、両立しながら仕事ができています。支えていただいているすべての皆様に感謝しながら、会社員と個人事業(士業)の両立をしていきます。そして、これがうまく軌道に乗り、誰かの支えになったり、社会に貢献できるようなことになったら、私としてはこの上ない幸せです。
いろいろと回り道をしました。同級生を羨んだりすることもありましたが、回り道の結果として今があるとするなら、その今や将来がハッピーだったら、その回り道もきっと必要なステップだったと言えるでしょう。
こんな変わった私のブログを読んでくださる心優しい方がいるようです(感謝です)ので、今後も「レアな実体験」をご紹介させていただきます!
今日もご覧いただきありがとうございます。(開業まで開業して123日)