小規模ビジネスでも「事業売却」という選択肢を検討する経営者は増えています。自転車店も例外ではなく、廃業するより第三者に事業を引き継いだ方が、資産を有効に活かせるケースが多いです。
では、自転車店は一般的にどのように評価され、いくらくらいで売却できるのでしょうか。
1. 事業売却の基本的な評価方法
事業の売却額は「修正純資産+営業利益の数年分」で計算されるケースが多いといわれます。
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修正純資産=在庫、設備、敷金などから負債を差し引いた金額
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営業利益=事業が生み出している利益
たとえば、純資産が300、営業利益が100の場合、
300+(100×3〜5年)=600万〜800程度が目安となります。
ただし、自転車店は地域密着型の小規模事業が多く、営業利益が少ない、あるいは赤字のケースも珍しくありません。その場合は「資産価値のみ」で評価されることもあります。
2. 開業費用を基準にする考え方
もうひとつの一般的な考え方は「開業費用を目安にする」方法です。
自転車店をゼロから立ち上げる場合、
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物件取得費
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改装費
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什器・工具の導入
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初期在庫の仕入れ
といった費用が発生し、総額で500万〜1,000程度かかるのが一般的です。
そのため買い手にとっては「同じくらいの金額で既存店舗を引き継げるなら合理的」と考える余地があり、売り手にとっても廃業してゼロにするより、開業費用相当で回収できる方が望ましいといえます。
3. 売却額を左右する主な要素
売却額を左右する要素には他にどんな物があるのでしょうか?自転車店の売却価格は、単純に「資産」と「利益」だけで決まるものではありません。
次のような要素が大きく影響します。
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立地(住宅地、学校近く、幹線道路沿いなど需要の安定性)
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在庫や設備の状態(消耗度や残価値)
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仕入れルートや取引先の継続性
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常連顧客や地域での知名度
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店主が引き継ぎ後も一定期間サポートするかどうか
特に「人脈や顧客基盤」を引き継げるかどうかは、数字に表れにくいものの、買い手にとって非常に大きな価値になります。
4. まとめ
自転車店の売却額は「修正純資産+営業利益の数年分」または「開業費用相当」を基準に考えられることが多いです。一般的には数百から高くても数千程度が目安ですが、立地や顧客基盤、仕入れルートなどの「見えない資産」によって評価は大きく変わります。
廃業を検討する前に「事業売却」という選択肢を考えることで、築いてきた店舗の価値を活かし、次の経営者につなぐ道が開けるでしょう。