
2025年秋、日本は大きな転換点を迎えました。自民党総裁選を経て、史上初の女性総理として高市早苗が誕生する可能性がほぼ確実になりました。
保守派を中心に「日本が大きく変わるのではないか」という期待が広がっています。外交・安全保障において強硬な発言を重ね、財政・規制改革でも妥協を嫌う姿勢を見せてきた高市氏は、まさに「右派の旗手」と目されてきました。
しかし、現実の政権運営は、期待通りにはいきません。そこには与党の議席状況、公明党との関係、外交課題といった複雑な要素が絡み合っています。
少数与党としての限界
今回の政権は、自民党が単独で過半数を持たない「少数与党」としてスタートしました。
衆議院では自民党196議席、公明党24議席を合わせても220議席にとどまり、過半数の233議席を割り込みます。参議院では自民100議席、公明21議席で121議席、過半数にわずか4議席足りない状況です。
つまり自民党は、公明党の協力なしには政権を維持できません。特に衆議院での議席不足は深刻であり、与党内の協力関係を揺るがせば政権基盤はすぐに不安定化します。
公明党と保守派の板挟み
高市首相が誕生し直面する最大の課題は、公明党と保守派の板挟みです。
公明党は選挙戦における動員力、特に創価学会の組織票によって長年与党の座を保ってきました。自民党にとって、この票田は外すことのできない「生命線」と言えます。
高市首相自身もその現実を理解しており、就任直後から公明党幹部と会談を重ね、「連立を安定的に維持する」姿勢を示しました。
しかし公明党が掲げる政策は、保守派の主張と必ずしも一致しません。
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総理大臣による靖国参拝の自粛
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外国人との共生政策
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政治資金規制の強化
これらは公明党が連立維持の条件として突きつけるものであり、高市首相が譲歩を繰り返せば、保守派の失望は避けられません。
特に靖国参拝問題は象徴的です。参拝を断念すれば「期待外れ」との批判が強まり、保守層の支持離れは加速するでしょう。
ただ、盲目的に高市氏を支持する統一教会信者やネトウヨ層は何があろうと支持する層が一定数いるため実際はどうなるかわかりません。
保守票の行き先 ― 参政党と国民民主党
高市首相が穏健化を余儀なくされると、保守票の受け皿となるのは参政党や国民民主党です。
参政党は「反グローバリズム」「移民反対」といった明快なメッセージで、若年層や保守層を取り込みつつあります。国民民主党も労働組合依存から脱却し、現実路線を掲げて一定の存在感を高めています。
今後の展開として予想されるのは次のシナリオです。
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高市政権は公明党に配慮し、無難な政権運営を続ける。
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保守層の中で「親高市派」と「反高市派」に分裂が進む。
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反高市派が参政党・国民民主党に流れ、野党勢力が再編される。
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結果的に「石破政権と大差ない」という評価に落ち着く。
公明党切りの可能性はあるか?
おそらくないでしょう。一部には「公明党と手を切り、他党と新たな連立を組むべきだ」との声もあります。しかし現実的には困難です。創価学会の組織票を失えば、自民党の基盤は大きく揺らぎます。
創価学会が抱える信者数は「827万世帯」、公明党の国会議員数45議席、地方議員数約2700名という大組織です。これらの協力無しで与党過半数を維持するのは不可能でしょう。
可能性が高いのは、公明党に加えて日本維新の会や国民民主党を部分的に取り込み、より広い与党基盤を形成するシナリオです。特に「自公維」連立なら衆参ともに安定多数を確保でき、憲法改正や規制改革などの政策を推進しやすくなります。
ただし、公明党と維新の間には政策的な摩擦が多く、調整の難易度は高いでしょう。
まとめ ― 高市政権の本当の試練
高市政権は「改革を断行する女性総理」という理想像と、「公明党との協調を欠かせない少数与党」という現実との間で揺れています。期待した支持者からは「期待外れ」と言われ、妥協を重ねれば保守層が離れていく。しかし、保守色を強めれば公明党が連立解消に動き、政権の安定は崩れる。
この二律背反の中で、高市早苗はどのように舵を取るのか。政権の方向性は、靖国参拝問題や次期衆議院解散の判断によって大きく試されることになるでしょう。
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