フルメタル・パニック! #短編シリーズ

賀東招二

南から来た男

 あなたが好きです。

 しんなまなざし。しい横顔。力強い立ちふるまい……。遠くから見ていて、いつもため息をらしています。

 どうやって気持ちを伝えたらいいのか分からなくて、こうして手紙を書きました。おくびようものの私を笑って下さい。

 あなたのことを考えるだけで、むねがはち切れそうになります。しんぞうどうを止められたら、すこしは心も楽になるのに……。

 どうか一度、会って話をさせてもらえないでしょうか。私のおもいが伝わらなくてもかまいません。一度だけ……。

 ほう、体育館のうらで待っています。


    ●


 ほそおもての教頭が、とびらを開けるなりさけんだ。

「校長先生っ!」

 ……などというだけあって、ここは校長室である。その中央、しつこしかけていた校長は、

「なんです、そうぞうしい」

 読みかけのちようかんじように置いて、うるさげに言った。校長はがらな中年女性で、上等な赤のスーツで身を固めていた。

 教頭は書類のたばえんりよに突きつけた。

「校長、これをらんになりましたかっ!?」

「どれ?……ふむふむ」

 それはせいきゆうしよの数々だった。窓ガラス代二〇万、ゆかタイル代六万、かべしゆう一一万、使った消火器のじゆうで六万五〇〇〇……。

 そうがくで四三万五〇〇〇

「おやまあ……。これは先月分?」

「先週分ですっ!! あの生徒がてんにゆうして来て以来、ずっとこんな調子なんですぞ!?」

「あの生徒。だれです」

相良さがらです! 相良そうすけっ!!」

 教頭は顔写真付きのしんじようしよを突き出した。

「おや、この子ね」

 むっつり顔にへの字口。ざんばらのくろかみで、きびしくまゆを寄せている。せんするどく、高校生にはいなきんちようかんさつが、写真の中からもぷんぷんとただよっていた。

「校長。私はかつて、都内でもあくめい高い工業高校にきんしたけいけんがありますが、あそこにさえ、相良宗介ほどの問題児はいませんでした。ぶつそんじゆぎようぼうがいの数では、おそらくが校の歴史に残るほどの──」

「……先生。相良宗介くんのきようぐうについては、前にも説明したじゃないですか」

「海外で育ったことですか」

「そうです。しかもただの外国ではなく、世界中のふんそうたいを転々と……。保護者の方が、ロシア人のようへいだったとか何だとか」

「だからといって、教室の窓ガラスを割っていい理由にはなりませんぞ!? 聞けば昨日きのうも、あの生徒は校庭から飛びこんできたソフトボールを、しゆりゆうだんかんちがいして──」

「教頭先生……!」

 校長は相手の話をぴしゃりとさえぎった。

「相良くんは、戦争のがいしやなのです。むごたらしい戦いの中ですさんだ彼の心を、われわれいやしてやらねばなりません。よく『日本人は平和ボケ』などと言われますが──」

「あの生徒の場合は戦争ボケですな」

「そう。戦争にまりきった彼を受け入れ、どうしていく……それこそが、すばらしい平和をきようじゆしている我々のつとめなのです」

 校長は机上の朝刊(朝日新聞)を折りたたんだ。

「……だから目をつぶって良いと?」

「そういうことです」

「もしかして、教育うわさになっている、しゆつしよめいきんは……」

「関係ありません」

「相当な額だと聞いておりますが……」

「行ってよし!」

 ごういんに話を終えて、校長は出口を指さした。

 

「あ~、ねむ……」

 晴れ渡った青空の下で、どりかなめはぼそりとつぶやいた。

 ほっそりした、線の薄い顔。やや切れ長の目だけが、せんめいに浮かび上がっている。はしっこをわえた長い黒髪が、調ちように合わせて左右に揺れた。

「あ~、ホント、マジねむぃ……」

 たけは一六五センチほどだろうか。となりを並んで歩くクラスメートががらなせいもあって、じつさいよりも長身に見えた。

「カナちゃん、ホントに朝ヨワいね」

 クラスメートの常盤ときわきようが言った。

「んー。そーね。弱いね。眠たいね」

 かなめがかよじんだい高校は、東京こうがいの私鉄沿えんせんにある。駅前商店街からほど近い、ぞうばやしとお寺にはさまれた、ごく普通の高校だ。

 二人は校門を抜けて、こうしやの正面げんかんへと入っていった。

「小テストのベンキョー、やってきた?」

 丸メガネをかけた恭子は、手にした単語帳をかばんにしまいながらたずねた。

「はっはっは……。バッチリ。あたしにかかればね、とうの言語なんざー、朝メシ前のうんこみたいなモンだから、うん」

 恭子のメガネが、はげしくずり落ちた。

「カナちゃん……。朝からおげれつだね」

「いーのよ。朝は……ふぁ……テンション落ちるから。会話にはインパクトを……お?」

 かなめは言葉を切った。

 玄関ホールの一角に、おんひとがきが生まれていた。ホールにずらりと並ぶ、くつばこの列の真ん中あたりだ。

「なんだろ? あたしたちのクラスの靴箱のへんだよ」

「このパターンは……あいつね」

「あいつ? ああ、彼ね」

 かなめはおおまたで、うまたちをかきわけていった。ようやく自分のクラスの靴箱のそばまで来ると、

「ソースケ!」

 靴箱の一つにちようしんをあて、聞き耳を立てている男子生徒をりつけた。

 むっつり顔にへの字口。他の男子と同じく、えりの学生服を着ている。彼はいきなり呼び付けられたのにおどろいたらしく、びくりとかたふるわせた。

「大きな声を出すな、千鳥」

 かなめのクラスメート、相良宗介はどこかせつぱくした声で言った。彼の周囲五メートルには、黒字で『けん:立入禁止』といんさつされた、黄色いテープがり渡してあった。

「なによ、こんなモンかつに張って。みんなにめいわくじゃない!」

 テープをらんぼうにくぐって、ずけずけと宗介のそばまで歩く。彼はそれを手でせいし、

「来るな、危険だ」

「なにが危険なのよ」

 宗介はひたいに浮かんだあせをぬぐい、自分の靴箱を指さした。

ばくだんだ」

「はあ?」

おれ以外の何者かが、この靴箱をかいへいしたけいせきがある。け爆弾かもしれん。ように開けたら、ドカンだ」

 せいがれて、かなめはぼうちになった。

「あ、えーと……。あんたの靴箱を、だれかが勝手にいじったわけ?」

「そうだ」

「だからって、爆弾?」

「その通りだ」

 ろんようやくしている。……というより、もはや論理がワープしている。かなめはこめかみのあたりを押さえながら、

「……ソースケ。あんたがボスニアだかアフガンだか、そーいうぶつそうなところで育ったじようはわかるわよ? だからってね、この平和な日本で、人の靴箱にバクダンを仕掛ける●チガイがどこにいるっての?」

「君は甘い」

 よく見ると宗介の顔はこわばり、強いきんちようとストレスのせいで青ざめていた。

「こういう形のテロこそ、安全な国での最大のきようなのだ。つい最近もアメリカで、海軍の退たいえき大佐が自宅のゆう便びん受けを開けて、上半身を吹き飛ばされる事件があった。俺とてだんゆるされない」

「……あんた、よっぽど後ろめたい人生を送ってきたのね」

「うむ」

 にくとも気付かず、彼はうなずいた。

「俺をうらんでいる者は多いからな。KGBのあんさつしやかもしれんし、やくカルテルのようへいかもしれん。イスラムげんしゆのテロリストという可能性も……」

「はあ。変わった友達が多いわけね……。だいたいそもそも、だれかが靴箱にさわったなんて、どうしてわかるのよ?」

「俺はだんから、目立たないように髪の毛をはさんでいる。それが落ちていた」

「……いつも? わざわざ?」

「ああ。そういうしゆうかんめずらしいのか?」

 だいじようかしら?

 かなめは本気で心配した。以前、ある事件で、実際に宗介のかつやくを見たことのある彼女でも、ときどき彼がただのだいもうそうきように見えてくる。

「とにかく俺は、この靴箱の中をけんする。裏側からファイバー・スコープをそうにゆうして、トラップのしゆるいはんべつするつもりだ」

「そんなモン持ち歩いてるの?」

「ロッカーにざい一式を置いてある。こういう時のための用心だ」

「こういう時ってどーいう時よ……」

 宗介は八ミリビデオにた機械に黒いくだを取り付け、そのせんたんのライトをめいめつさせた。電動ドリルのバッテリーもチェックし、検査のじゆんしんちように進める。

「ねえ、ソースケ。もうすぐじゆぎようが始まっちゃうじゃない。どうせ爆弾なんていわよ。開けるのがこわいなら、ほっといたら?」

「そうはいかない。危険だ」

 そう言われても、しろうとのかなめには仕掛け爆弾の危険さなど、そうぞうもつかなかった。

「だったら、さっさと片付けてよ。のんきにカメラなんて使ってないで」

「そーよ、そーよ!」

「とっとと終わらせろ、相良!」

「いつまで待たせる気!?」

 遠まきにようを見守っていた生徒たちが、かなめに同意して口々にさけぶ。ブーイングのあらしに、宗介は小さくうなずいた。

「そうか。では、あらだが……」

 宗介はかばんから、大きなチューブを取り出すと、茶色のねんをひねり出し、自分の靴箱の表面にりつけていった。

「なにそれ? みが?」

「いや」

 盛りつけのんだ粘土に、単四電池に似たなにかをめ込むと、次にカセット・ケースほどのリモコンそうを取り出す。

「下がってくれ。もっとだ」

 機材一式を肩にかけ、かなめの背中を押して、じゆうぶんに靴箱からはなれる。彼女はまどいながら、

「ねえ。だからあの粘土、なんなのよ?」

「プラスチックばくやくだ」

「な……」

 宗介はリモコンの安全装置をかいじよして、うまたちに向かって叫んだ。

ばくするぞ! 全員、耳をふさぎ、口を半開きにしろ! いいな!? 行くぞ!!」

 ……などと言われたくらいで、準備のできる生徒など一人もいない。かなめの制止も間に合わず、宗介はリモコンの赤いボタンをぐいっと押し込んだ。

「やめ──」

 ばぁんっ!!

 玄関ホールの大気がふるえ、その場の一同は残らずゆかにひっくり返った。小さなほのおてんじようらし、木片が飛びり、白いけむりがぶわっと広がる。爆発の反動で二年四組の靴箱は反対方向に倒れて、数十足のうわばきを、四方八方にまき散らした。

 けむりいこみきこむ者、爆音のショックでひきつけを起こす者、焼けただれた自分のエアマックスを見てごうきゆうする者……。

「む……」

 宗介はきびきびと立ち上がり、

「どうやら爆弾はなかったらしい」

「どうして……?」

 かなめが、ぎくしゃくと身を起こした。彼女はあまりのごとに、おこることさえ忘れてしまっていた。

「爆発音は一度きりだった。それに、靴箱の対面を見ろ。ほとんどきずだ。俺をねらった爆弾があったのなら、ふつうは対面に爆風がいくはずだ。さつしようりよくを増すためのネジクギなどをまき散らして……」

 彼は身振りをまじえて、みずからまねいたさんせいかくに説明した。

「……つまり、からさわぎだったわけね?」

 宗介はしばし押しだまり、

「いや、必要なだった。しんぶつのもっとも安全なしよほうほうは、こうして爆破することなのだ。やはり俺のはんだんは正しい」

「あんたねぇ……」

 かなめはひろいあげた上ばきで、宗介の頭を力いっぱいはたき倒した。

「痛いじゃないか」

「やかましいっ!! 先生にどうやって説明するつもりなのよ!?」

「君は生徒会の副会長だ。そのけんりよくをもってすれば──」

「知るか! なんであたしが……わわ!?」

 めらめらと燃える紙切れが、かなめの肩にい落ちてきた。あわててそれをはらいのけ、床に落ちたところをみ消す。

「む……待て」

 いきなり宗介がひざまずき、彼女の足首をつかみ上げた。

「きゃっ……ナニすんのよ!」

 よろめくかなめのあしにはいちべつもくれず、ボロボロになったへんを拾いあげる。

「ちょ……どうしたの?」

 宗介は紙切れをぎようして、

「俺の名前が書いてある。手紙のようだ」

「手紙?……あ、ホントだ」

 焼けただれた紙切れの一部には、ススで半分ほどかくれた『相良~』の文字が読み取れた。

 

「では千鳥くん。今朝けささいを説明してもらおうか」

 昼の陽光がし込む窓を背に、生徒会長・はやしみずあつのぶは告げた。

 髪はオールバックで、おもながの顔だち。しんちゆうフレームの眼鏡めがねの奥で、細い両眼が知的な光をはなつ。宗介とは種類のことなる、静かなげんただよっていた。かなめと宗介がけいな顔で、安物のスチールづくえの前にすわっていても、そのかんろくは決して揺るがないように思える。

 この生徒会室は南校舎の四階に位置し、校庭を一望のもとに見渡せた。

「……なんであたしが説明しなきゃならないんですか、センパイ?」

 かなめは不服そうに言った。いまは昼休みで、彼女と宗介はこの生徒会室に校内放送で呼び出されたところだった。

「君は事件の目撃者であり、なおかつ私のかたうでだ」

「片腕じゃなくて、ただの副会長です……!」

「だとしても、客観的に事情を説明できる人間が必要だ。見たままをきようじゆつすればいい」

「そー言われましても……」

 ──宗介が靴箱を爆破した。

 これ以外に説明することがあるだろうか?

 彼女が返答にこまっていると、

「会長、自分が説明します」

 それまでだまっていた宗介が口を開いた。

「そうしたまえ」

「はい。本日〇八一五時、自分が登校して来たところ、靴箱に不審物の存在をさつしました」

「不審物とは?」

「不明ですが、当初は爆発物を想定していました。いずれにせよ、何者かが自分の靴箱にさいをしたのは間違いありません。検査をおこなおうとしたところ、千鳥副会長ほか十数名の生徒が反対したため、もっとも確実な処理方法をじつしました」

「ふむ。それは?」

「高性能爆薬による爆破処理です」

「爆破、だと……!?」

 林水の目がぎらりと光った。

 そのようを見て、かなめは確信した。

 きっと怒っているに違いない。これはいい機会だ。宗介は、この会長にはいちもく置いている。センパイがきびしくしかってやれば、彼のぼうそうもすこしは落ち着くかも……。

 彼女が期待して見守る前で、林水は深く息を吸い込んだ。そして重々しい口ぶりで、

「なるほど。それなら確実だ」

 かなめ一人が『がたーん!』と倒れて、部屋の机をひっくり返した。

「はぁっ、はぁっ……」

「どうした、千鳥」

そうぞうしいむすめだね、君は」

 二人の変人はかいそうにまゆをひそめた。

「……センパイ! ちょっとは異常だとか思わないんですか!? 学校の靴箱を爆破する高校生が、この世界のどこにいるんですっ!?」

「ここにいるではないか」

「そーじゃなくて! 反語表現!」

「そんなことはわかっておる。……どうも君には理解が不足しているようだな」

 林水は人差し指で、眼鏡のふちをくいっ、と押し上げた。それはとくのヘリクツが始まるあいだった。

「千鳥くん。たとえば、君の自宅のげんかん先に、見知らぬ男からのづつみが置いてあったとしよう。手に取ってみると、中で大勢の何かがガサガサとうごめく音がする。わいあくしゆうや、ほのかなあたたかみでもいい。とにかく、そういう小包だ。さて、それでも君は、その小包を開けて中を見るかね?」

 かなめはけんをあらわにした。

「……開けません。てます」

「自分ののクズカゴに?」

「いーえ、マンションの前のゴミ捨て場に!」

「そうだろう。ましてやそれが小包でなく、移動のできない靴箱だったら、もはや爆破でもするしかあるまい」

「そ、そーいうもんですか?」

「そういうものだ」

 生徒会長はおおぎようぐさてんじようを見上げた。

「思うに、彼が爆破した靴箱の中には、ろくでもないモノが入っていたに違いない。吹き飛ばされて当然のしろものだ」

「はあ……」

「そういうわけで、教職員は私が言いくるめておこう」

「助かります」

 宗介は敬礼した。

「うむ。では、以上だ」

 林水は自分のすわると、背中を向けて、読みかけの日経新聞に目を落とした。

 

 教室にもどってから。

 あやしいし肉を食べ終わると、宗介は朝にひろった紙片をおもむろにかんさつした。それはピンク色の便びんせんのようだったが、ほとんどの文面は読めそうになかった。

「なんかわかった?」

 おくじようで友達と食事をとり、いましがた戻ってきたかなめが、そばまで来てたずねた。

「いや。俺あててなのは確かだが……」

 焼けこげた紙片の一角を指さす。宛名とおぼしきその文字は、やはり『相良』としか読めそうになかった。

「ふーん……。じゃあ、靴箱に入ってたモノって、その手紙なんじゃない?」

「おそらく、な」

 目を細めると、いくつかの単語はかろうじてはんべつすることができた。

 ──『遠くから見~』『おくびようもの~』『心臓のどうを止め~』『楽に~』『放課後、~育館の裏で待~』。

「やはり、てきある第三者のわざだ」

 ──相良宗介。いつも遠くから見ているぞ。この臆病者め。きさまの心臓の鼓動を止めて、楽にしてやる。放課後、体育館の裏で待っていろ。おまえをころす。

「……などといった内容に違いない」

 彼はだんていした。

「なんでそーなるのよ……。これ、女の子の字だよ」

あまい。これはひつせきかんていのがれるためのそう工作だ。相手はプロかもしれん」

「やだなあ、そんなプロ……」

 ごっつい殺し屋が、かわいいピンクの便箋に、いそいそと少女文字を書きつらねている姿すがたを想像し、かなめはすじふるわせた。

「……やっぱラブレターじゃない? この学校のだれかが書いた」

のちほど強奪ロブ・レイター。なんだ、それは」

「だからぁ、なんでそーゆー方向に頭がいくの? これはこいぶみ! 恋する人におもいを伝える手紙のこと!」

 自分を想う女性の存在を告げられても、宗介の両目はまばたき一つしなかった。

「わかる? ソースケのことを、好きな子がいるかもしれないのよ。その……う、うれしくないの?」

 ためらいがちなしつもんに、彼は遠い目をした。

「ああ。……以前、たようなケースがあった。数年前のカンボジアでのことだ。ある部隊のかんが作戦中、現地の娘と親しくなってな。俺もふくめ、周囲の仲間はしゆくふくした。ところがその女が、実はゲリラ側のスパイだったのだ」

「はあ……」

しゆう作戦の情報がれ、部隊はかいめつすんぜんげきを受けた。責任を感じた下士官は、その日のうちにけんじゆうで自殺してしまった」

「そ、そーですか……」

 このラブレターとその下士官の悲劇の、どこがどう似ているのか分からなかったが、なにやらしんこくそうな話題だったため、かなめはとりあえずあいづちを打っておいた。

なつかしいな。俺と少佐はその部隊で、強襲機兵アーム・スレイブくんれん教官をつとめていた」

『少佐』って誰? 彼女は思ったが、めんどうくさいのでたずねるのはやめた。ちなみに『アーム・スレイブ』とは、最近の戦争ではばかせている人型こうげきへいのことである。

 宗介は紙片を机にしまうと、すっくと立ち上がった。

「どっか行くの?」

「ああ。きようはくにせよゆうわくにせよ、放課後、体育館裏で誰かが待っているはずだ。そのためのを始める」

「準備ってなによ。ちょっと……」

 彼は答えずに、彼女に背中を向けた。

「ソースケ! もう五時間目、始まっちゃうわよ?」

「安全ゆうせん。残りの授業は欠席だ」

 それだけ言って、彼は教室を立ち去った。

 

 六時間目の数学IIが終わると、クラスメートの常盤恭子がかなめの肩をたたいた。

「ねえねえ、カナちゃん。相良くん、どこ行っちゃったの?」

「……あたしが知るわけないでしょ。しやでもいくがかりでもないんだから」

 うんざりとしたようで答える。

「彼がラブレターもらったってうわさ、ホント?」

「うん。あたし見たもん。いったいあんなバカを、どこの物好きが……ったく」

 机の中から取り出した教科書としよたばを、じように『ばんっ!』と置く。

「……カナちゃん、なんかげんだね」

「あたしが? なんで!?」

 思わずを荒げる。恭子はこなれたぐさでそれをあしらい、

「ほら、不機嫌じゃない」

「うぅ……。そお?」

「気になるんでしょ、相良くんのこと。男子の中で、いちばん仲いいもんね」

「ちがう、ちがう! 絶っっっ対にちがう!」

 かなめはこんしんの力をこめてていした。

「仲良くなんてないわよ! あたしはねぇ、あいつがしょっちゅうぼうそうするモンだから、副会長の立場上、やむを得ず──」

「はいはい。どっちにしても、いちおう様子でも見に行ってみない? おもしろそうじゃない」

 かなめはになって、

「行かない。あたしの知ったことじゃないもん。だいいち、あんな戦争バカがまともなれんあいなんてできるわけないじゃない」

 それでも恭子は食い下がり、かなめの不安をあおろうとした。

「わかんないよ。相良くんって、遠目に見ればフツーの人じゃない? けっこうハンサムだし」

 かなめはそれをせせら笑った。

「ははん。しやべりだしたら終わりだもの。あのバカ、頭の中は『スパイ大作戦』と『プラトーン』の世界でギッシリでしょ」

「じゃあ、やっぱり行かないわけ?」

「そーよ、バカバカしい」

 教科書とノートをかばんめ終え、彼女は立ち上がった。

「あたしは生徒会の用があるから、おそくなるわよ。キョーコは先に帰ってる?」

「うーん……そうしようかな」

「じゃ、明日あしたね」

 二人はろうで手を振って別れた。

 

 その一〇分後、体育館裏のはしらのかげで──

「カナちゃん」

「ひゃっ……!」

 いきなり背中から声をかけられて、かなめは思わずすくみ上がった。

「きょ、キョーコ! おどかさないでよ!!」

 声をひそめてこうする。恭子は意地の悪い笑みをたっぷりと浮かべ、

「あれ~? ほかの用があるんじゃなかったのかな?」

「そ、そのはずだったんだけど、林水センパイが『様子を見て来い』って……本当よ!?」

「ふーん……」

 わくせん。かなめは目をそらし、

「だいたい、そーいうあんたは帰ったんじゃなかったの……?」

「気が変わったんだよ」

「あー、そう。いい性格してるわね」

 彼女は柱のかげから顔を出し、体育館裏の様子をうかがった。

 陣代高校の体育館裏は、こうしやの方からは見えないこうぞうになっていた。あたりはつつじとあじさいのしげみがつらなっていて、放課後はひとなどほとんどない。

 その一角、二人のかくれている柱から二〇メートルほどはなれた場所に──

「あ……ホントにいた」

 柱のかげから頭を半分だけ突き出し、恭子が小声でつぶやいた。

 ゆたかに緑がい茂る、五月のさくらの木の下に、二年生の女子が立っていた。肩まで伸びるくりいろの髪を、内向きのシャギーにカットした、どことなくグラマーな身体からだ付きの少女だ。

 かなめは、きざみにまゆをひくつかせた。

「き……きれーじゃないの。なかなか」

 しかもその少女には、恋する者にとくゆうの、におい立つようなじらいとつややかさがただよっていた。いつもにぎりこぶしでずけずけ歩くかなめとくらべれば、残念ながら、性的りよくではあちらの方にぐんばいが上がりそうだった。

「あの子、一組のえきさんって人だよ。去年、学園祭のミスジンコーで二位になった……」

 恭子が言った。

「へー、そーなの。ふん……」

 ちなみにそのミスコンには、かなめは出場していなかった。彼女は前日準備のてつがたたって、生徒会のそうばくすいしていたからだったりなどする。クラスの男子はかなめを出場させようとしたのだが、ジャージ姿でざいもくうずもれ、幸せそうに大いびきをかく彼女の姿を見て、すいせんをとりやめたという。

「い……いかにも男ウケしそうな顔よね。きっとノーミソの代わりにフェロモンぶくろが入ってんのよ、あの頭に」

 とげとげしい調ちように恭子は首を振り、

「ベンキョーもできるらしいよ。学年末のテストで五番くらいだったかな……」

「うぅ。く、くっそぉ……」

 ちなみにかなめは一六〇番だった。三二〇人の生徒の中の、ど真ん中である。英語と社会科はとくなのに、理科と国語科でめつてきな点を取ってしまったせいだった。

かんじんの相良くんはまだみたいだね」

 恭子がぽつりと言った。体育館裏にいるのは、落ち着かない様子の佐伯恵那だけで、宗介が現れるはいはまったくない。

「彼、来るって言ってたんでしょ?」

「『準備をする』とは言ってたけど……」

「準備? どんな?」

「知らない。戦車かせんとうロボットでも取りにいってるんじゃないの?」

 恭子は小さく笑った。

「ありそー。……とにかく待とうよ」

「ん。そーね」

 二人はかばんかかえると、その場にしゃがみこんだ。

 

 だが、六時をぎても宗介は現れなかった。

「おそい……」

 あかねいろまっていた空も、すでに暗いむらさきいろへと移り変わりつつある。運動系クラブの練習のかけ声も消え、がいとうの光が体育館をやわらかくらしだした。

「本当に来るのかしらね、あいつ」

「どうかなー。だって、もう二時間もたってるよ?……ふあ」

 恭子は小さなあくびをした。

「あたし、おなかすいちゃった。もう帰ろうかな……」

「そう。じゃあ、今度こそ明日ね」

「カナちゃんも帰ろうよ。相良くん、きっと来ないよ、もう」

 もっともな意見だった。だが、かなめはうでを組み、すこしまよってから、

「あたしは、もう少しここにいる」

「そお。じゃ、行くね。ひかないように気をつけてね」

 恭子が去ると、かなめはあらためて体育館裏の様子をうかがった。

 あいも変わらず、佐伯恵那は立ちくしている。顔をうつむかせ、かべりかかるその姿が、痛々しいほどさびしげだった。

 なにしろ、すでに二時間も待っているのだ。

 もう相手は来ないだろう……そう思いながら、待ち続けている彼女の気持ちが、かなめにもじんわりと伝わってきた。

 だが、それでも宗介は来ない。

 さらに一時間が過ぎてしまった。もう七時過ぎだ。完全に日もれた。

 やはり、彼は帰ってしまったのだろう。

 いつのまにか佐伯恵那への反発が、な共感に変わっていった。自分まですっぽかしを食らったような、そんなじような心細さが、ゆっくりと胸に広がっていく。

「最っ低ね……あいつ」

 腹が立つ。どれだけげきぼうそうでも、本当はやさしいやつだと思っていたのに。すっぽかしなんてあんまりではないか。

 彼女がそう思った時──

「おをっ? だれかいるじゃん、こんな時間によー」

 向こうで男の声がした。

「え。だれだれ?」

「おほー! かわいーじゃん!」

「なにしてんの、お姉さん」

 かなめのことではないようだった。見ると、体育館裏の薄暗がりの中で、四、五人の男子生徒たちが、佐伯恵那を取りかこんでいる。

「あ、あの……。わたし……」

 男たちはこんわくする彼女の様子などかまわず、

「一組の子じゃない? 佐伯さんだったっけ」

「夜はこわいよー。ほら、俺らみたいなのがいるからさー」

「そっ。たとえばさ、こんなあいに……!」

 一人が、いきなり佐伯恵那にきついた。

「や、やめて下さい……!」

 男たちはげらげらと笑うばかりだった。

「うぉー! 『やめてくださ~い★』だってよ。俺、こーいうの燃え燃え!」

「あ、やべ、もーたまんないっす」

 男たちはいやがる彼女を壁に押し付け、髪やらスカートやらをふざけ半分にさわった。

「ああ、なんてこと……」

 かなめはうめいた。

 どんな学校にもりようグループというのはそんざいする。この陣代高校はかくてき平和で、おんこうな生徒ばかりだったが、やはり例外ではなかった。しかも彼らは、このいきでもふだきのグループだ。悪いうわさも後をたない。このままでは……。

 自分が出ていってりつけるか? いや、それを聞き入れるような連中ではない。

 人を呼びにいくべきだろうか? いや、職員室の明かりはすでに消えている。

 では、見て見ぬふりをするべきか?

「…………」

 それがけんめいだろう。彼女を助けるなど、自分にはない。副会長だが、関係ない。それにあのは──

「……なんて言ってられないか。くそっ」

 かなめは考えるのをやめて、柱のかげから飛び出し、さけんだ。

「待ちなさいよっ!」

『ああん?』

 男たちはいつせいに振り向いた。がいとうの明かりが落とすかげのせいか、彼らの顔は必要以上にじやあくで、きようぼうに見えた。

(ううっ、いきなりだいこうかい……やっぱり逃げればよかった)

 思いながらも、足はかつに前へと進む。

「か……彼女、イヤがってるじゃない! 放してあげなさい!」

 要はナメられないことだ。強気で行こう、強気で。そうすればなんとかなるかも……。

 リーダー格らしいスキンヘッドの男が、彼女の前に進み出た。

「そうおこるなよ。このコとはさ、ちょっとフザけてただけだって」

「ウソよ! あたし見てたんだから!」

「そんなこと言って~。ホントは仲間に入れて欲しいんじゃないの~? ねえ?」

 スキンヘッド男は、れ馴れしくかなめの肩に手を回そうとした。

さわるんじゃ……ねーわよっ!」

 相手の手を払って、はなばしらをグーでなぐりつける。たまらず男はよろめいた。

「お……」

 それまで笑っていた連中がだまりこみ、たちまちけんあくなムードになった。

「なにこのアマ? なにこのアマ?」

「だいじょぶ~、タカちゃん?」

 取り巻きの一人がスキンヘッドの男にたずねた。彼はしばらく顔を押さえ、黙りこんでいたが、

「……ってぇ。鼻血でた」

 すごみのある目で、かなめをにらみつけた。

「この女よ……マジでムイちまおうか?」

 リーダー格のつるの一声。一同の間で、にわかにせつぱくしたふんが生まれた。

「マジで?」

 それぞれが、かなめの全身をしんけんなまなざしでねめまわす。

「え……? って……ホントに……じようだんだった……わけ?」

 そしていまは、冗談ではなくなった。

 男たちはずいっと一歩、前に大きくみ出してくる。かなめは後ずさり、

「あのー。不幸なかいがあったようで……」

 もはや返事もしてくれない。不良連中はにじり寄ると、一斉に飛びかかってきた。

「や……ちょっ! やめてよ!! ホント!」

「いまさらやめるかよ……!」

 女の細腕でのがれられるわけもなく、かなめはたちまちその場に組みせられた。気の強い彼女も、さすがになみだになって、

「放せ──っ! チカン! ヘンタイ! レイパーっ!! ひ、人を呼んで~~っ!!」

 ……などとさけぶが、周囲にはだれも見当たらない。タイミングよく宗介がこの場にけつけるなどとは、とても思えなかった。

「うるせえよ、黙らせろ」

 一人が彼女のみぞおちをなぐろうと、こぶしを振り上げた。そのせつ──

 だんっ!!

 ごうおん。拳を振り上げていた男が、なにかに横から殴りつけられた。そのままいきおいよくはじき飛ばされ、体育館のがいへきにぶつかってぜつする。

「…………!?」

 あたりには、彼らのほかはだれもいない。

 なにが起きたのか理解できた者は、ひとりもいなかった。

 さらに続いて──

 だんっ!! だんっ!! だだんっ!!

 ようしやない、なぞれんげき

 男たちはたて続けに吹き飛ばされた。空中できりもみして地面にげきとつする者、柱をくようにこんとうする者、夜空にしりを向けて動かなくなる者……。

「…………?」

 それきり、あたりは静かになった。

 かなめは乱れた着衣をなおしてから、のろのろと身を起こした。

 佐伯恵那はたよりなげに突っ立ったまま、

「あ、あの……これは一体……」

「いやー。こっちが聞きたいわよ……」

 気絶した連中のまわりには、パチンコ玉ほどの大きさのゴムボールが、いくつも散らばっていた。それと、ほのかにただよやくにおい。

 そこで──

 手のとどくほどそばにえたつつじのしげみが、がさがさと動き出した。

「まさか……」

 茂みをかきわけて、全身にこまかいボロ切れをまとった人間が現れた。めいさいふくの上にカモフラージュ用のネットを被り、草木と区別がつかないように、身体からだりんかくさえもこうみようかくしている。

 用語でいうところの、ゲイリー・スーツという姿だ。

はないか、千鳥」

 ボロ切れ男は言った。

 手にはイタリア製のセミオート式ショットガン。こちらもしゆうとうにカモフラージュしてある。頭に被ったネットをはずすと、中から黒い顔が現れた。がんりようりたくっているらしく、するどい目だけがやみに浮かび上がっている。

 宗介の姿に、かなめはぜんとして、

「……もしかして、ずっとそこにいたの?」

こうていだ。五時限目から待ちせしていた」

 思わずあしもとがふらつく。

「じゃあ、彼女の二メートル手前で、ずっとひそんでたわけ……!?」

ぞうもないことだ」

 こころなしか胸を張っているようにも思えたが、カモフラージュのせいで、ゴミのかたまりり返っただけにしか見えなかった。

「俺のそうかんぺきだった。そこの彼女も、まったく気付かなかったようだな。しんりを見せたら、このショットガンのゴム・スタンだんで、すかさずノックアウトしてやるつもりだった」

 何時間も、何時間も……。ぴくりとも動かず、草木の一部となって、彼女にじゆうこうを向けていたとは……。マヌケを通りして、もはやそうぜつですらある。

「ところが彼女は、いつまでたっても立ち去らない。いいげんせんせいこうげきを仕掛けようかとまよっていたところで、その連中が──」

 がすっ!

 かなめは宗介をり飛ばした。ゴミの塊はぶざまに倒れ、地面をわさわさところがった。

「痛いじゃないか」

だまれっ! いたんだったら、もっと早くなんとかしなさいよっ!」

「それは無理だった。そこの連中と彼女がグルかもしれないと──」

わけするなっ! あたしがどれだけ……。くぬっ、くぬっ!」

 何度も蹴たぐり、右へ左へと転げ回す。

「む……。立ち上がれん。ネットがからまって……」

「知るかっ!」

 もぞもぞともがく宗介を、佐伯恵那じようぼうぜんと見下ろした。

「この人が……相良くん?」

「いかにも。俺が相良宗介だ」

「だって……こんな……」

 その顔に、みるみるしつぼうが浮かんでくる。

「さ……相良くん。わたしの手紙、読んでもらえましたか?」

 宗介は苦労して立ち上がり、

「あのきようはくじようのことか」

「違います! ピンク色の……」

「それなら、ばくしてしまった」

「ば、爆破って……」

 恵那はしようげきを受け、ふらふらとよろめいた。

(それにしても、なんつー会話かしら……)

 かなめは頭をかかえた。

「そもそも君は何者だ。どうやらてきではないようだが……。真のねらいはなんだ?」

「狙いって……」

「おとなしく話せ。かくすとためにならんぞ」

 言って、ショットガンのポンプを『じゃきんっ!』と前後させる。こんなたいをとられて、それでも相手にれんの念をいだける少女などいるはずもない。

「あんまりだわ……。ひどい……!」

 佐伯恵那は泣きながら、その場を走り去っていった。かなめには、その後ろ姿を見送ることしかできなかった。

「ああ、気のどくに……」

 しかしまあ、これはこれで良かったのかもしれない。この世の中、もっとマシな男はいくらでもいるわけだし……。

 宗介はそうネットをぎながら、

「おかしな女だ。人を呼びつけておいて『ひどい』だと? がいもうそうの精神病質者か?」

「それはあんたのことでしょ……」

 かなめは深~いため息をつくと、宗介を置き去りにしていえについた。


    ●


 よくあさ、宗介が登校してくると、またしても(直ったばかりの)靴箱にしんぶつの存在をさつした。

「またか……」

 彼はかばんからプラスチックばくやくを取り出し、手早く爆破しよおこなおうと──

「やめんかっ!」

 かなめが横から現れて、宗介をはたき倒した。彼は頭をさすりながら、

「千鳥。痛いじゃないか」

「……おはよ。爆破はダメ。こんじよう入れて、いますぐ開けてみなさいよ」

「いかん。けんだ」

「そお?」

 かなめはいきなり宗介の靴箱に手を伸ばすと、パタパタと何度もかいへいして見せた。

「やめ……」

 思わずがまえた宗介は、なにも起きないのを見てきょとんとした。

「どう、平気でしょ? じゃあ教室でね」

 かなめはそのまま行ってしまった。

「…………」

 おそる恐る、靴箱を開ける。わなはない。ただし新品のうわばきの上に、ふろしきづつみの弁当箱が乗っていた。

 取り出すとメモがはさんであった。その文面は──

 

《これはささやかなお礼。とりあえず、昨日きのうは助けてくれてありがとね。し肉ばかりだと、身体からだこわすよ! なぞのテロリストより》

 

「ふむ……」

 宗介はメモをポケットにしまい、弁当箱を大切にかかえると、上ばきをはいて、教室へと向かった。

 

〈南から来た男 おわり〉

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