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フルメタル・パニック! #短編シリーズ
賀東招二
南から来た男
あなたが好きです。
どうやって気持ちを伝えたらいいのか分からなくて、こうして手紙を書きました。
あなたのことを考えるだけで、
どうか一度、会って話をさせてもらえないでしょうか。私の
●
「校長先生っ!」
……などというだけあって、ここは校長室である。その中央、
「なんです、
読みかけの
教頭は書類の
「校長、これを
「どれ?……ふむふむ」
それは
「おやまあ……。これは先月分?」
「先週分ですっ!! あの生徒が
「あの生徒。だれです」
「
教頭は顔写真付きの
「おや、この子ね」
むっつり顔にへの字口。ざんばらの
「校長。私はかつて、都内でも
「……先生。相良宗介くんの
「海外で育ったことですか」
「そうです。しかもただの外国ではなく、世界中の
「だからといって、教室の窓ガラスを割っていい理由にはなりませんぞ!? 聞けば
「教頭先生……!」
校長は相手の話をぴしゃりと
「相良くんは、戦争の
「あの生徒の場合は戦争ボケですな」
「そう。戦争に
校長は机上の朝刊(朝日新聞)を折りたたんだ。
「……だから目をつぶって良いと?」
「そういうことです」
「もしかして、教育
「関係ありません」
「相当な額だと聞いておりますが……」
「行ってよし!」
「あ~、ねむ……」
晴れ渡った青空の下で、
ほっそりした、線の薄い顔。やや切れ長の目だけが、
「あ~、ホント、マジねむぃ……」
「カナちゃん、ホントに朝ヨワいね」
クラスメートの
「んー。そーね。弱いね。眠たいね」
かなめが
二人は校門を抜けて、
「小テストのベンキョー、やってきた?」
丸メガネをかけた恭子は、手にした単語帳を
「はっはっは……。バッチリ。あたしにかかればね、
恭子のメガネが、はげしくずり落ちた。
「カナちゃん……。朝からおげれつだね」
「いーのよ。朝は……ふぁ……テンション落ちるから。会話にはインパクトを……お?」
かなめは言葉を切った。
玄関ホールの一角に、
「なんだろ? あたしたちのクラスの靴箱のへんだよ」
「このパターンは……あいつね」
「あいつ? ああ、彼ね」
かなめは
「ソースケ!」
靴箱の一つに
むっつり顔にへの字口。他の男子と同じく、
「大きな声を出すな、千鳥」
かなめのクラスメート、相良宗介はどこか
「なによ、こんなモン
テープを
「来るな、危険だ」
「なにが危険なのよ」
宗介は
「
「はあ?」
「
「あ、えーと……。あんたの靴箱を、だれかが勝手にいじったわけ?」
「そうだ」
「だからって、爆弾?」
「その通りだ」
「……ソースケ。あんたがボスニアだかアフガンだか、そーいう
「君は甘い」
よく見ると宗介の顔は
「こういう形のテロこそ、安全な国での最大の
「……あんた、よっぽど後ろめたい人生を送ってきたのね」
「うむ」
「俺を
「はあ。変わった友達が多いわけね……。だいたいそもそも、だれかが靴箱に
「俺は
「……いつも? わざわざ?」
「ああ。そういう
かなめは本気で心配した。以前、ある事件で、実際に宗介の
「とにかく俺は、この靴箱の中を
「そんなモン持ち歩いてるの?」
「ロッカーに
「こういう時ってどーいう時よ……」
宗介は八ミリビデオに
「ねえ、ソースケ。もうすぐ
「そうはいかない。危険だ」
そう言われても、
「だったら、さっさと片付けてよ。のんきに
「そーよ、そーよ!」
「とっとと終わらせろ、相良!」
「いつまで待たせる気!?」
遠まきに
「そうか。では、
宗介は
「なにそれ?
「いや」
盛りつけの
「下がってくれ。もっとだ」
機材一式を肩にかけ、かなめの背中を押して、
「ねえ。だからあの粘土、なんなのよ?」
「プラスチック
「な……」
宗介はリモコンの安全装置を
「
……などと言われたくらいで、準備のできる生徒など一人もいない。かなめの制止も間に合わず、宗介はリモコンの赤いボタンをぐいっと押し込んだ。
「やめ──」
ばぁんっ!!
玄関ホールの大気が
「む……」
宗介はきびきびと立ち上がり、
「どうやら爆弾はなかったらしい」
「どうして……?」
かなめが、ぎくしゃくと身を起こした。彼女はあまりの
「爆発音は一度きりだった。それに、靴箱の対面を見ろ。ほとんど
彼は身振りを
「……つまり、
宗介はしばし押し
「いや、必要な
「あんたねぇ……」
かなめは
「痛いじゃないか」
「やかましいっ!! 先生にどうやって説明するつもりなのよ!?」
「君は生徒会の副会長だ。その
「知るか! なんであたしが……わわ!?」
めらめらと燃える紙切れが、かなめの肩に
「む……待て」
いきなり宗介がひざまずき、彼女の足首をつかみ上げた。
「きゃっ……ナニすんのよ!」
よろめくかなめの
「ちょ……どうしたの?」
宗介は紙切れを
「俺の名前が書いてある。手紙のようだ」
「手紙?……あ、ホントだ」
焼けただれた紙切れの一部には、ススで半分ほど
「では千鳥くん。
昼の陽光が
髪はオールバックで、
この生徒会室は南校舎の四階に位置し、校庭を一望のもとに見渡せた。
「……なんであたしが説明しなきゃならないんですか、センパイ?」
かなめは不服そうに言った。いまは昼休みで、彼女と宗介はこの生徒会室に校内放送で呼び出されたところだった。
「君は事件の目撃者であり、なおかつ私の
「片腕じゃなくて、ただの副会長です……!」
「だとしても、客観的に事情を説明できる人間が必要だ。見たままを
「そー言われましても……」
──宗介が靴箱を爆破した。
これ以外に説明することがあるだろうか?
彼女が返答に
「会長、自分が説明します」
それまで
「そうしたまえ」
「はい。本日〇八一五時、自分が登校して来たところ、靴箱に不審物の存在を
「不審物とは?」
「不明ですが、当初は爆発物を想定していました。いずれにせよ、何者かが自分の靴箱に
「ふむ。それは?」
「高性能爆薬による爆破処理です」
「爆破、だと……!?」
林水の目がぎらりと光った。
その
きっと怒っているに違いない。これはいい機会だ。宗介は、この会長には
彼女が期待して見守る前で、林水は深く息を吸い込んだ。そして重々しい口ぶりで、
「なるほど。それなら確実だ」
かなめ一人が『がたーん!』と倒れて、部屋の机をひっくり返した。
「はぁっ、はぁっ……」
「どうした、千鳥」
「
二人の変人は
「……センパイ! ちょっとは異常だとか思わないんですか!? 学校の靴箱を爆破する高校生が、この世界のどこにいるんですっ!?」
「ここにいるではないか」
「そーじゃなくて! 反語表現!」
「そんなことはわかっておる。……どうも君には理解が不足しているようだな」
林水は人差し指で、眼鏡の
「千鳥くん。たとえば、君の自宅の
かなめは
「……開けません。
「自分の
「いーえ、マンションの前のゴミ捨て場に!」
「そうだろう。ましてやそれが小包でなく、移動のできない靴箱だったら、もはや爆破でもするしかあるまい」
「そ、そーいうもんですか?」
「そういうものだ」
生徒会長は
「思うに、彼が爆破した靴箱の中には、ろくでもないモノが入っていたに違いない。吹き飛ばされて当然の
「はあ……」
「そういうわけで、教職員は私が言いくるめておこう」
「助かります」
宗介は敬礼した。
「うむ。では、以上だ」
林水は自分の
教室に
あやしい
「なんかわかった?」
「いや。俺
焼けこげた紙片の一角を指さす。宛名とおぼしきその文字は、やはり『相良』としか読めそうになかった。
「ふーん……。じゃあ、靴箱に入ってたモノって、その手紙なんじゃない?」
「おそらく、な」
目を細めると、いくつかの単語はかろうじて
──『遠くから見~』『
「やはり、
──相良宗介。いつも遠くから見ているぞ。この臆病者め。きさまの心臓の鼓動を止めて、楽にしてやる。放課後、体育館の裏で待っていろ。おまえを
「……などといった内容に違いない」
彼は
「なんでそーなるのよ……。これ、女の子の字だよ」
「
「やだなあ、そんなプロ……」
ごっつい殺し屋が、かわいいピンクの便箋に、いそいそと少女文字を書き
「……やっぱラブレターじゃない? この学校のだれかが書いた」
「
「だからぁ、なんでそーゆー方向に頭がいくの? これは
自分を想う女性の存在を告げられても、宗介の両目はまばたき一つしなかった。
「わかる? ソースケのことを、好きな子がいるかもしれないのよ。その……う、うれしくないの?」
ためらいがちな
「ああ。……以前、
「はあ……」
「
「そ、そーですか……」
このラブレターとその下士官の悲劇の、どこがどう似ているのか分からなかったが、なにやら
「
『少佐』って誰? 彼女は思ったが、
宗介は紙片を机にしまうと、すっくと立ち上がった。
「どっか行くの?」
「ああ。
「準備ってなによ。ちょっと……」
彼は答えずに、彼女に背中を向けた。
「ソースケ! もう五時間目、始まっちゃうわよ?」
「安全
それだけ言って、彼は教室を立ち去った。
六時間目の数学IIが終わると、クラスメートの常盤恭子がかなめの肩を
「ねえねえ、カナちゃん。相良くん、どこ行っちゃったの?」
「……あたしが知るわけないでしょ。
うんざりとした
「彼がラブレターもらったって
「うん。あたし見たもん。いったいあんなバカを、どこの物好きが……ったく」
机の中から取り出した教科書と
「……カナちゃん、なんか
「あたしが? なんで!?」
思わず
「ほら、不機嫌じゃない」
「うぅ……。そお?」
「気になるんでしょ、相良くんのこと。男子の中で、いちばん仲いいもんね」
「ちがう、ちがう! 絶っっっ対にちがう!」
かなめは
「仲良くなんてないわよ! あたしはねぇ、あいつがしょっちゅう
「はいはい。どっちにしても、いちおう様子でも見に行ってみない?
かなめは
「行かない。あたしの知ったことじゃないもん。だいいち、あんな戦争バカがまともな
それでも恭子は食い下がり、かなめの不安を
「わかんないよ。相良くんって、遠目に見ればフツーの人じゃない? けっこうハンサムだし」
かなめはそれをせせら笑った。
「ははん。
「じゃあ、やっぱり行かないわけ?」
「そーよ、バカバカしい」
教科書とノートを
「あたしは生徒会の用があるから、
「うーん……そうしようかな」
「じゃ、
二人は
その一〇分後、体育館裏の
「カナちゃん」
「ひゃっ……!」
いきなり背中から声をかけられて、かなめは思わずすくみ上がった。
「きょ、キョーコ! おどかさないでよ!!」
声をひそめて
「あれ~? ほかの用があるんじゃなかったのかな?」
「そ、そのはずだったんだけど、林水センパイが『様子を見て来い』って……本当よ!?」
「ふーん……」
「だいたい、そーいうあんたは帰ったんじゃなかったの……?」
「気が変わったんだよ」
「あー、そう。いい性格してるわね」
彼女は柱のかげから顔を出し、体育館裏の様子をうかがった。
陣代高校の体育館裏は、
その一角、二人の
「あ……ホントにいた」
柱のかげから頭を半分だけ突き出し、恭子が小声でつぶやいた。
かなめは、
「き……きれーじゃないの。なかなか」
しかもその少女には、恋する者に
「あの子、一組の
恭子が言った。
「へー、そーなの。ふん……」
ちなみにそのミスコンには、かなめは出場していなかった。彼女は前日準備の
「い……いかにも男ウケしそうな顔よね。きっとノーミソの代わりにフェロモン
「ベンキョーもできるらしいよ。学年末のテストで五番くらいだったかな……」
「うぅ。く、くっそぉ……」
ちなみにかなめは一六〇番だった。三二〇人の生徒の中の、ど真ん中である。英語と社会科は
「
恭子がぽつりと言った。体育館裏にいるのは、落ち着かない様子の佐伯恵那だけで、宗介が現れる
「彼、来るって言ってたんでしょ?」
「『準備をする』とは言ってたけど……」
「準備? どんな?」
「知らない。戦車か
恭子は小さく笑った。
「ありそー。……とにかく待とうよ」
「ん。そーね」
二人は
だが、六時を
「おそい……」
「本当に来るのかしらね、あいつ」
「どうかなー。だって、もう二時間もたってるよ?……ふあ」
恭子は小さなあくびをした。
「あたし、おなかすいちゃった。もう帰ろうかな……」
「そう。じゃあ、今度こそ明日ね」
「カナちゃんも帰ろうよ。相良くん、きっと来ないよ、もう」
もっともな意見だった。だが、かなめは
「あたしは、もう少しここにいる」
「そお。じゃ、行くね。
恭子が去ると、かなめは
あいも変わらず、佐伯恵那は立ち
なにしろ、すでに二時間も待っているのだ。
もう相手は来ないだろう……そう思いながら、待ち続けている彼女の気持ちが、かなめにもじんわりと伝わってきた。
だが、それでも宗介は来ない。
さらに一時間が過ぎてしまった。もう七時過ぎだ。完全に日も
やはり、彼は帰ってしまったのだろう。
いつのまにか佐伯恵那への反発が、
「最っ低ね……あいつ」
腹が立つ。どれだけ
彼女がそう思った時──
「おをっ? だれかいるじゃん、こんな時間によー」
向こうで男の声がした。
「え。だれだれ?」
「おほー! かわいーじゃん!」
「なにしてんの、お姉さん」
かなめのことではないようだった。見ると、体育館裏の薄暗がりの中で、四、五人の男子生徒たちが、佐伯恵那を取り
「あ、あの……。わたし……」
男たちは
「一組の子じゃない? 佐伯さんだったっけ」
「夜は
「そっ。たとえばさ、こんな
一人が、いきなり佐伯恵那に
「や、やめて下さい……!」
男たちはげらげらと笑うばかりだった。
「うぉー! 『やめてくださ~い★』だってよ。俺、こーいうの燃え燃え!」
「あ、やべ、もーたまんないっす」
男たちはいやがる彼女を壁に押し付け、髪やらスカートやらをふざけ半分に
「ああ、なんてこと……」
かなめはうめいた。
どんな学校にも
自分が出ていって
人を呼びにいくべきだろうか? いや、職員室の明かりはすでに消えている。
では、見て見ぬふりをするべきか?
「…………」
それが
「……なんて言ってられないか。くそっ」
かなめは考えるのをやめて、柱のかげから飛び出し、
「待ちなさいよっ!」
『ああん?』
男たちは
(ううっ、いきなり
思いながらも、足は
「か……彼女、イヤがってるじゃない! 放してあげなさい!」
要はナメられないことだ。強気で行こう、強気で。そうすればなんとかなるかも……。
リーダー格らしいスキンヘッドの男が、彼女の前に進み出た。
「そう
「ウソよ! あたし見てたんだから!」
「そんなこと言って~。ホントは仲間に入れて欲しいんじゃないの~? ねえ?」
スキンヘッド男は、
「
相手の手を払って、
「お……」
それまで笑っていた連中が
「なにこのアマ? なにこのアマ?」
「だいじょぶ~、タカちゃん?」
取り巻きの一人がスキンヘッドの男にたずねた。彼はしばらく顔を押さえ、黙りこんでいたが、
「……ってぇ。鼻血でた」
すごみのある目で、かなめを
「この女よ……マジでムイちまおうか?」
リーダー格の
「マジで?」
それぞれが、かなめの全身を
「え……? って……ホントに……
そしていまは、冗談ではなくなった。
男たちはずいっと一歩、前に大きく
「あのー。不幸な
もはや返事もしてくれない。不良連中はにじり寄ると、一斉に飛びかかってきた。
「や……ちょっ! やめてよ!! ホント!」
「いまさらやめるかよ……!」
女の細腕で
「放せ──っ! チカン! ヘンタイ! レイパーっ!! ひ、人を呼んで~~っ!!」
……などと
「うるせえよ、黙らせろ」
一人が彼女のみぞおちを
だんっ!!
「…………!?」
あたりには、彼らのほかはだれもいない。
なにが起きたのか理解できた者は、ひとりもいなかった。
さらに続いて──
だんっ!! だんっ!! だだんっ!!
男たちはたて続けに吹き飛ばされた。空中できりもみして地面に
「…………?」
それきり、あたりは静かになった。
かなめは乱れた着衣をなおしてから、のろのろと身を起こした。
佐伯恵那は
「あ、あの……これは一体……」
「いやー。こっちが聞きたいわよ……」
気絶した連中の
そこで──
手の
「まさか……」
茂みをかきわけて、全身に
「
ボロ切れ男は言った。
手にはイタリア製のセミオート式ショットガン。こちらも
宗介の姿に、かなめは
「……もしかして、ずっとそこにいたの?」
「
思わず
「じゃあ、彼女の二メートル手前で、ずっと
「
こころなしか胸を張っているようにも思えたが、カモフラージュのせいで、ゴミの
「俺の
何時間も、何時間も……。ぴくりとも動かず、草木の一部となって、彼女に
「ところが彼女は、いつまでたっても立ち去らない。いい
がすっ!
かなめは宗介を
「痛いじゃないか」
「
「それは無理だった。そこの連中と彼女がグルかもしれないと──」
「
何度も蹴たぐり、右へ左へと転げ回す。
「む……。立ち上がれん。ネットがからまって……」
「知るかっ!」
もぞもぞともがく宗介を、佐伯恵那
「この人が……相良くん?」
「いかにも。俺が相良宗介だ」
「だって……こんな……」
その顔に、みるみる
「さ……相良くん。わたしの手紙、読んでもらえましたか?」
宗介は苦労して立ち上がり、
「あの
「違います! ピンク色の……」
「それなら、
「ば、爆破って……」
恵那は
(それにしても、なんつー会話かしら……)
かなめは頭を
「そもそも君は何者だ。どうやら
「狙いって……」
「おとなしく話せ。
言って、ショットガンのポンプを『じゃきんっ!』と前後させる。こんな
「あんまりだわ……。ひどい……!」
佐伯恵那は泣きながら、その場を走り去っていった。かなめには、その後ろ姿を見送ることしかできなかった。
「ああ、気の
しかしまあ、これはこれで良かったのかもしれない。この世の中、もっとマシな男はいくらでもいるわけだし……。
宗介は
「おかしな女だ。人を呼びつけておいて『ひどい』だと?
「それはあんたのことでしょ……」
かなめは深~いため息をつくと、宗介を置き去りにして
●
「またか……」
彼は
「やめんかっ!」
かなめが横から現れて、宗介をはたき倒した。彼は頭をさすりながら、
「千鳥。痛いじゃないか」
「……おはよ。爆破はダメ。
「いかん。
「そお?」
かなめはいきなり宗介の靴箱に手を伸ばすと、パタパタと何度も
「やめ……」
思わず
「どう、平気でしょ? じゃあ教室でね」
かなめはそのまま行ってしまった。
「…………」
取り出すとメモが
《これはささやかなお礼。とりあえず、
「ふむ……」
宗介はメモをポケットにしまい、弁当箱を大切に
〈南から来た男 おわり〉
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