こんばんは。
今月も読書記録を書いておこうと思います。
9月に読んだのは5冊でした。
映画化された作品が2冊と、
ノンフィクションが1冊。
では1冊ずつの感想を…
「僕には鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴著
★★★★★
とても面白かった。
表紙が可愛らしいのでライトな作品かと思ったけれど、著者さんはめちゃくちゃすごい先生だし、画期的な研究成果がたくさん載っていました。
そしてそれを読み物として楽しく読ませてくれるのが最高でしたよ。
研究対象のシジュウカラは知らないことばかりだったけど、すごくわかりやすかった。
観察と実験によって鳥が言葉を話すことを証明した動物学者の著者さん。
野鳥と、研究に向き合う真摯さに胸が熱くなったし、実験のことが書かれた部分にはとてもワクワクした。
野鳥達は他の種の鳥の言葉も理解し、天敵から逃れて生き残る技を持っている。他の動物にも鳥達の言葉を理解している種がいるとは驚き!
他の種の動物の言葉が理解できないとあきらめているのは実は人間だけかもしれない。
私も常々、自然をコントロールするのではなく人間の知性を全力投入して上手く共存していける道を探していけるといいなと思う。
「ドヴォルザークに染まるころ」町田そのこ著
★★★☆☆
ドヴォルザークの曲「家路」
黄昏の切なさと一日の充足感とを思う。
廃校になる小学校での一日限りのお祭り。そこでは卒業生、在校生、教師…様々な人の"故郷"への郷愁、閉塞感、憤り、希望…様々な感情が交錯する。
私は誰に自分を重ねるだろうか…って考えたのだけど、どの人にもあまり全体的には共感は出来ないかなぁ。でも、どの人にも一部分は私にもあるというか。人って環境や人間関係で変わっていくのだなと改めて思いました。
「8番出口」川村元気著
★★★☆☆
話題の映画のノベライズ読んでみました。
映画は未見です。
この作品、はじめはゲームだったのね。
不条理系ホラー。
写真が多く挿しこまれてイメージしやすい。
そのルールが俯瞰で読んでいると「わかるじゃん!」って思うけど、自分がこの立場になったらと思うとただただゾッとする。
奥さんになるはずの人が映画だと小松菜奈さんなのね。彼女との結婚を渋るやつなんておらんやろ!って思わず突っ込んでしまった笑
後半にはなかなかな出来事が起こるのだけど、どうやって映像化したのか気になる。
このシュールな内容はきっとフランスなどでは受けるのでは?と思っていました。
「君の顔では泣けない」君嶋彼方著
★★★☆☆
高校生の男の子と女の子の体が入れ替わる。
そこからが男の子の目線でとてもきめ細かく描かれていた。
これね、途中まではこんなことある?って思っていたんですよ。
入れ替わった2人は自分の"性"を結局は受け入れたりするのだけど、それっていわゆる心の性と身体の性が一致してないということでずっと苦悩するんじゃないかとイメージしたから。
でもね、読むうちに"性"を決めるのは体か又は心か…という疑問も浮かんできた。
女の子サイドからの気持ちは短編で描かれているけれど、もっと深く長く読んでみたいとも思った。
映画の主演は、高橋海人くんと、芳根京子ちゃんなんですよね。これも映画化でどうなったのか見てみたいな。
「夜市」恒川光太郎著
★★★★☆
「夜市」と「風の古道」の二篇からなる。
この作品はタイプライターズでも紹介されてましたよね。
その時にザッと読んだのだけど、もう一度きちんと読んでみた。
どちらも面白い。
ホラーというより私にはダークファンタジーにも思えるのよね。
日常から一歩外れて迷い込む異世界。
そういうの好き好きー。
見たこともない世界だけど、情景がありありと想像できた。怖いけれど儚くノスタルジーを覚える不思議な読後感。
夜市の後半では何故かとてもシュールレアリスムの絵画を連想したなぁ…マグリットとかデ・キリコ。
風の古道では色々なものが頭をよぎった。
最近、ホラーとかダークファンタジーのジャンルはあまり読んでなかったけれど面白かったからまた読んでみようかな。