[書評]修道院の食卓:修道院ライブラリー(ブリエラ・ヘルペル著、ペーター・ゼーヴァルト編)
本書「修道院の食卓」は、出版社の創元社の情報では、修道院ライブラリー全4部作の第2巻に当たるらしい。他に、第1部「修道院へようこそ」(参照)、第3部「修道院の断食」(参照)、第4部「修道院の医術」(参照)がある。
![]() 修道院の食卓 (修道院ライブラリー) |
なぜ修道院の本を読む? ごく個人的な関心からでしかない。そろそろ隠棲を深めようと思うのだ、なんてことはなく、日頃愛用している「修道院のレシピ」(参照)の背景と、西洋における食の伝統が知りたいということがあった。
その個人的な関心は満たされたかというと、ちょっと微妙なものがあった。つまらない本ではないが、当然といえば当然なのだが、現代人への文脈化が強い。つまり、現代の世俗的な生活をしている人に示唆的な修道院の食生活をご紹介しましょうということだ。特にその健康的な食事という点に重点が置かれている。
![]() Canticles of Ecstasy Hildegard von Bingen |
本書にも記載があるが、ドイツでは近年ヒルデガルトのブームがあったらしい。彼女は、ベネディクトゥスの系統の修道女で、神秘体験を経て有名なり、ルーペルツベルク(Rupertsberg)に女子修道院を建てて院長となる。本書からもわかるように、神秘家でありながら、自然科学的な傾向もあり、医学や薬草学の知識もあり、ドイツの薬草学の祖とも見られている。
ヒルデガルトは音楽家でもあり、その音楽はまさに彼女の神秘体験の音楽的な表現にも思われる。感動する。
本書に戻って、具体的にレシピ集として見るとどうかなのだが、私の印象では、全体的にドイツ的な食の発想もレシピから伺われるところは面白い。簡素な食材で簡単にできるものもあるし、特別にレシピというほどでもないものもある。反面、かなり手の込んだパンの作り方などもある。当然というべきかシュトレンもレシピもあるが、ちょっと簡素すぎる印象はある。
Happy Advent!
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