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【アメリカ競馬】ローレルパーク競馬場(Laurel Park Race track)
アメリカの競馬場巡りということで、今回はメリーランド州にあるローレルパーク競馬場の様子を紹介したいと思います。
目次
ローレルパーク競馬場とは
1911年に開場されたメリーランド州ローレルにある競馬場。プリークネスステークスの行われるピムリコ開催の5月~6月初旬とティモニアムとピムリコ開催のある9月以外は年間を通して本場開催になります。
過去にはワシントンDCインターナショナルが行われ、欧州や日本からもタケシバオーなど多くの馬が遠征。何度かの中止もありながら2023年現在、ボルチモアワシントンインターナショナルターフカップS(G3: 芝1mile)としてピムリコ競馬場で開催が継続ししています。
しかし近年の施設老朽化や安全性への懸念、財政的課題などから、同競馬場は2026年のプレークネスステークス開催を最後に、競馬場としての運営を終了する予定です。現在は、中山競馬場と提携されており、中山牝馬ステークスにはローレル競馬場賞の冠名がつきます。
実施されている重賞競走(2025年現在)
General George Stakes (G3) Dart 7F *4歳以上
Barbara Fritchis Stakes (G3) Dart 7F *4歳以上牝馬限定
その他リステッド競走は多く実施されています。
ローレルパーク競馬場のロケーションとアクセス
アクセス方法
競馬場の横をMARCという鉄道がワシントンから走っておりLaurel Parkという駅も存在するようですが、口コミには廃れているなどの書き込みがあり、現在乗降扱いされているか定かではありません。本数は少ないですが、路線バスが競馬場を通っているようです。大規模な駐車場(無料)が設置されており、車での来場が基本。
競馬場の様子(非開催日)
年季の入っているスタンド、体育館の様な公共施設の佇まい
エントランス
ここでレーシングプログラムを購入することが出来ます
エントランスの奥にある馬券売り場。セパレートされた机に向かって集中して馬券検討が出来る環境が整えられている(もちろん無料で使用可)。
観戦スタンド
こちらは移動式の椅子を置くスタンド
こちらは固定の座席が取り外された跡。普段このスタンドを埋め尽くすほどの人が来ることはないのだろう。
スタンドからの眺望はなかなか良い
スタンド屋外
少しのベンチが設置されている
ゴール板
ゴール前にあるウイナーズサークル
距離が近いので馬が良く見える
コース全景
かつてG1競走が行われていただけあってさすがに立派なコース
以上がローレルパーク競馬場の様子でした。
本場非開催日の午前ということもあり、かなり閑散としていました。施設自体も年季が入っていますし、廃止も計画されている競馬場に新たなファンがここに来て競馬をやるというような期待はあまり出来ないのかも知れません。
ピムリコ競馬場改修に伴い、2026年はローレルパーク競馬場でプリークネスステークスが実施される予定ですが、50000人程が来場する当日はどのような雰囲気でレースが行われることになるのでしょうか。
半世紀ほど前、多くの有力な日本馬や欧州馬がこの競馬場に遠征をしてきた歴史があるからこそ、今の競馬場の雰囲気から哀愁を感じざるをえませんでした。
以前紹介したピムリコ競馬場の記事はこちらから
【アメリカ競馬】ウィルロジャースダウンズ競馬場(Will Rogers Downs)
アメリカの競馬場巡りということで、オクラホマ州の競馬場第3弾、ウィルロジャースダウンズ競馬場を紹介したいと思います。
過去に紹介したオクラホマ州の競馬場の記事はこちらから
essentialquality.hatenablog.com
essentialquality.hatenablog.com
目次
ウィルロジャースダウンズ競馬場とは
オクラホマ州第2の都市タルサ近郊のクレイモアにある競馬場。開場は1987年でオクラホマ州に現存する3競馬場の中で1番歴史が古い。コースは1周1マイルのダートコースのみで芝コースの設定はありません。2024年現在、ライブのサラブレッドのレースは3月~5月、クォーターホース、ペイントホースおよびアルパーサのレースは9月~11月に実施されます。2024年現在、サラブレッドのグレード競走はありませんが、リステッド競走としてMore Than Even Stakes (3yo/up, f/m, 8F)と Wilma Mankiller Stakes (3yo/up, f/m,6F)の2競走が実施され、クォーターホースではG2、G3の5レースが実施されています。
ペイントホースとアルパーサについてはフェアメドウズ競馬場の記事でも紹介しましたが、ペイントホースは馬体をペンキで2色に塗り分けたような毛色が特徴で、アルパーサは斑点模様があるのが特徴。ペイントホース、アルパーサともにクォーターホースやサラブレッド、さらにはアラブ種との交配が認められている品種で、アイダホ州、オクラホマ州、テキサス州、ニューメキシコ州、カリフォルニア州といったアメリカ中西部の競馬場でレースが実施されています。
2024年9月に竜巻の被害に合い、厩舎の一部が破損。訪れた日(同年9月末)もその被害の状況が垣間見えました。
ロケーション
まわりには何もない草原のど真ん中に位置します。近隣のクレアモアという街から7マイルほど、フェアメドウズ競馬場のあるタルサからは30マイルほどの距離です。
競馬場の様子
スタンド
指定席などは無い屋外型のスタンド。
昔の野球場のような座席。これで2700人収容とのこと。
スタンドからは馬場全体が見渡せます
なにも無く殺風景、それがまた良い…
スタンド1F(観客席の下)。
このフロアにある唯一の券売所
2Fにはターフクラブもあるようです
SIMULCASTの指示に従って建屋の奥に行ってみます
レーシングプログラムや馬券が売られています。私は若くはないですが、プログラムを購入する際、ID確認をされました。
席も多く設置されており、全国のレースが放映されています。それにしても人がいない…。
カジノも併設されています(250台のスリットマシンが設置されているとのこと)。競馬場エリアには無いレストランもあります。どの競馬場もそうですが、カジノエリアは明るく高級感がありますね。
イベント会場
結構な頻度でバンドによるコンサートが行われているようです
パドック
当日はクォーターホースのレースでしたが、パドックは周回してくれませんでした。
騎手の勝負服は馬主服ではなく馬番毎に決まった色の服を着用。これは以前紹介したフェアメドウ競馬場でも同じです。
レースの様子
1R:Mixed(ペイントホースとアルパーサの競走)ALLOWANCE : 賞金$9,000
(出走6頭すべてがペイントホース)
350Yのスタート
ゴール前の追い比べ
勝馬は5番。レース後はウイナーズサークルでの撮影
2R:Mixed、MAIDEN : $8,000(出走6頭のうちペイントホース4頭、アルパーサ2頭)
ペイントホース
はっきり色が分かれています
アルパーサ
斑点模様が特徴ですが、ひばらから腿にかけて見える点がそれ?
こちらはもう1頭のアルパーサ。斑点模様の特徴が分かりません。
350Yのスタート(スタンドからの眺望)
直線中間
ゴール
3R:QH(クォーターホース) CLAIMING : $15,000
300Yのスタート(ゲート前からの観戦)
5頭立ての人気薄の3頭をBOXで買った馬券が当たりました
馬単21倍
ウイナーズサークル
以上がウィルロジャースダウンズ競馬場の様子でした。
さいごに…
草原の中にあるいわゆる”ザ”ローカルな競馬場でした。写真で紹介したように場内は閑散としていて、地元の人とおぼしき人たちが少しずつ馬券を楽しむ憩いの場です。馬券の売り上げも1Rで約$12700、2Rで約$10000と、経費やそれほど高額でもない賞金を差し引くと明らかに赤字ではと心配になってしまう状況…。ここもカジノの売り上げで競馬の経費を補填している典型的な競馬場だと推測します。ケンタッキーダービーやG1に繋がるレースは将来的に行われることはないと思いますが、近隣のフェアメドウズ競馬場やレミントンパーク競馬場とともにオクラホマ州の競馬文化を引き継いでいってくれることを願います。
1Rの投票数
2Rの投票数
(Wild Turkey Distillery)ワイルドターキー蒸留所【バーボントレイル#18】
バーボントレイル第18弾ということで、ワイルドターキー蒸留所の様子を紹介します。
目次
ワイルドターキー蒸留所とは
ワイルドターキー蒸留所は、ケンタッキー州ローレンスバーグにあるバーボン蒸留所で、1869年にリピー(Ripy)兄弟によって設立。ワイルドターキーという名前は、1940年代に蒸留所の役員がターキーハンティング(七面鳥狩り)の際に蒸留所の101プルーフバーボンを提供したことがきっかけで生まれ、このエピソードがブランド名の由来となっています。
蒸留所のマスターディスティラーは1954 年に入社したジミー・ラッセルが務めていますが(業界で一番長い)、息子のエディ・ラッセルも彼の後を継ぎ、2015 年より共同マスターディスティラーを務めています。
2009年以降、蒸留所はイタリアの酒類メーカーカンパリ社が所有しています。カンパリ所有後はラッセルズ リザーブ、レア ブリード、マスターズキープなどブランドを拡大。蒸留所は 2011 年に近代化され、新しい施設が建設されました。現在の年間生産能力は900万プルーフガロンで、今後500万プルーフガロンの増強が予定されているとのこと。
蒸留所のロケーション
ケンタッキー川を望む高台にあります。レキシントン市街からは30分程の距離にあり、ブルーブラスハイウェイからも近くアクセスもよい。
蒸留所見学ツアー
しばらくコロナ渦で中止されていたツアーですが、2024年より復活。予約は蒸留所のH/P(OUR DISTILLERY)から行います。工程見学は2ツアーあり、発酵、蒸留工程と熟成庫を巡るWild Turkey Distillery Co. Production Tour($25)とBorn from the Barrel - Russel's Reserve Immersion というラッセルズリザーブの製造工程と蒸留所で最も古く象徴的な建屋で行われる樽詰め工程を見学出来る($65)ツアーがあります。これ以外にも$45の試飲だけのコースも設定されています。
ツアーの様子
蒸留所に到着し、まずはビジターセンター正面玄関にあるカウンターでチェックイン。時間になるとビジターセンターの前からバスにのり、製造施設に向かいます。
施設には数分足らずで到着。従業員も使っていると思われる扉より中へ入ります。
扉を入ってすぐのところにブランドのパッケージが展示されています。ターキーの描かれている方向からボトリングされた年代が分かるというのは有名な話ですが、正面を向いていたターキーは目が怖いとの理由で1999年より横向きになりました。2011年からワイルドターキー8年、12年などのパッケージはさらにリニューアルされています。
発酵槽のある大きなフロアの横にはLABやCONTROL ROOMなどがあります。SENSORYは"感覚的"という意味らしいのですが、ウイスキーには数値化出来ない管理、配合が重要なのでしょう。
ワイルドターキーでは伝統的な製造を継承していると言いつつも、現在はすべてコンピューター制御された生産が行われています。
発酵フロアの隣の部屋でウイスキーに使われる原料や水、粉砕、糖化、発酵の一連の工程説明が行われます。ネットではワイルドターキーのマッシュビルはコーン75%、ライ麦13%、麦芽大麦12%との情報もありますが、ここでの説明は非公開とのことでした。このツアーでは原料の粉砕工程は見ることが出来ません。
発酵工程
30000ガロンの発酵槽が24槽。今まで多くの蒸留所を見学してきましたが、ここまでの規模を見たのは初めてです。発酵にかかる時間は3~4日とのこと。
蒸留工程
蒸留工程は通路からガラス越しの見学です。こちらの蒸留器は高さ52フィート(15.8m)で全銅製。見えている部分は建屋の2階からで、カラムスチルの中間部分になります。
糖化工程
蒸留器の通路を挟んで反対側にあるのが糖化工程。こちらもガラス越しからの見学になりますが、4機のマッシュタンが見えました。
一通りの製造工程の見学を終えると再度バスに乗り、熟成庫に向かいます。
バスの車窓から見えた建設現場。こちらは特にガイドさんからの説明はありませんでしたが、上で紹介した今後予定される生産増強の新しい蒸留施設になるのでしょうか…
熟成工程
バスに乗り込むこと1~2分、熟成庫が近づいてきます。
ぱっと見かなり歴史がありそうな建屋が立ち並びます。
今回のツアーで見学した熟成庫
A倉庫です
こちらの倉庫群は1800年後半から1900年初頭に建てられたものです。内部はレッドオーク材で造られているとのこと。
最長何年もののウイスキーが眠っているのでしょう…
”余談” 熟成庫からほど近くに見えるケンタッキー川にかかる廃線の鉄道橋(奥の橋)。この橋ではバンジージャンプイベントも行われるとのことです。
試飲
ツアーの最後はビジターセンターに戻り試飲タイム。このツアーで試飲できるのはロングブランチ、ラッセルズ、ワイルドターキー(スタンダード)、ワイルドターキー ライです。
以上がツアーの様子でした。
さいごに…
私は日本の会社のサラリーマンでアメリカに永住しているわけでは無いので、辞令があれば日本に帰国することになります。帰るまでにいつかは訪れてみたいと思っていたあこがれのワイルドターキー蒸留所、今夏ついに再解禁され、念願叶いツアーに参加することが出来ました。築100年を超える熟成庫はワイルドターキーが長年親しまれてきた歴史の積み重ねであり、その雰囲気に深く感銘を受けました。次の100年もこの地でバーボンが造られ続けることを願ってやみません。
バーボントレイル第17弾(バーズタウンバーボンカンパニー)の記事はこちらから
【競走馬の街】フロリダ州オカラのサラブレッドのいる風景
先日の記事では”世界の馬の首都”オカラにある牧場Ocala Studを紹介しましたが、今回は同じくオカラにあるサラブレッドに関わる施設や牧場の風景を紹介したいと思います。
目次
フロリダ州オカラのロケーション
オカラは冬場でも昼間の気温が20℃を超えるとても温暖な気候の土地で、日本でいうトカラ列島と同じ北緯になり亜熱帯気候。自然環境にも恵まれ、シルバーグレンスプリングスはフロリダ州の穴場の観光地として知られています。
街をI75州間高速道路が南北で通貫しており、観光地のマイアミからは約5時間、ディズニーのあるオーランドからは約1時間でアクセス出来るロケーション。
フロリダ州のサラブレッド生産の現状
Ocala Studの記事でも紹介したように、オカラは温暖な気候や石灰を豊富に含む土壌などの環境に恵まれる為、競馬産業が非常に盛ん。育成、調教については確かにアメリカでも有数な地区といえるのですが、生産数の面では右肩下がりの現状にあります。
サラブレッド生産数(血統登録数)
※データはThe Jockey Clubより引用
2013年は全米2位をほこった生産数もここ10年で約半減、22年には4位に転落。全米全体で見ても2013年には21431頭あった生産数も2022年は16747頭と21.9%減少。
2023年現在の繁殖牝馬および種牡馬数
※データはThe Jockey Clubより引用
過去の記事でアメリカの競馬場を紹介してきましたが、全体の特徴として言えることは人が少なく、閑散とした競馬場が多かったこと…。日本ではインターネット投票の拡大やアニメなどとのコラボレーションもあり盛り上がりを見せる競馬産業ですが、アメリカでは産業全体の規模が縮小しています(ここ数年でもアーリントンパーク競馬場、ゴールデンゲートフィールズ競馬場が閉鎖)。インフレにともなう格差拡大(ミドル層以下の貧困化)、エンターテイメントの多様化、若い世代から関心が得られていないなどの理由があげられるのではないでしょうか…。
オカラの競馬のある風景
ここからはオカラの競馬に関わる施設、牧場を撮影した風景を紹介します。Googleマップの上空写真を参考に馬のいそうな場所(トラックなどがある)に実際に行って見ました。
OBS(オカラブリーダーズセールスカンパニー)
年間5回のセール(2歳馬トレーニングセール、イヤリングセール、ミックスセール)が行われます。
OBS SalesのH/P
トレーニングセール上場馬が調教供覧を行う馬場
スタンドにはカジノも併設されています
牧場の風景
サウスウェスト100thストリート
3頭の子馬たちに遭遇
人慣れしているのか、こちらに向かって来てくれました
調教用の馬場がありました
通り最奥の牧場
各所で見られる白い柳のような植物、こちらはスパニッシュモスと言うようです。着生植物で北米南部からアルゼンチン中部に至る広い分布を持ちます。
サウスウェスト85thストリート
こちらは住居横の放牧場で馬を飼育しています。オカラではこのような小規模の馬産家も少なくありません。
奥にはペイントホースがいます。
先ほど、フロリダではサラブレッドの生産数が減少傾向にあることを示しましたが、やはり行く先々で廃業した牧場を多く目にしました。
こちらはWinding Oaks Farmsの跡地、2014年に廃業した牧場になります。古くはTartan Farmsと言われた牧場ですが、ケンタッキーダービーやBCクラシックに勝利したアンブライドルドはこの牧場で生産されました。
以上がオカラのサラブレッドのいる風景でした。
さいごに…
”世界の馬の首都”と呼ばれるだけあって周辺には多くの牧場がありそれを実感することが出来ました。今回行くことは出来ませんでしたが、Bridlewood Farmのように育成、調教の分野で成功している牧場もあるようです。ただ実態は最後に紹介したように廃業した牧場も数多くあり、厳しい現状があります。
先回紹介したOcala Studもそうですが、質の良い種牡馬を繋養出来ないのも実態としてあり、少しでも産駒の成績があがると、何倍もの種付け料をとれるケンタッキー州レキシントンに移動していくようです。
競馬産業が縮小する北米においてこの先厳しい将来が想像されますが、フロリダでのサラブレッド生産が途絶えないことを切に願って、北米の競馬を応援し続けたいと思います。
Ocala Stud記事はこちらから
essentialquality.hatenablog.com
【アメリカ競馬】タンパベイダウンズ競馬場(Tampa Bay Downs)
アメリカの競馬場巡りということで、フロリダ州のにある競馬場第2弾、タンパベイダウンズ競馬場を紹介したいと思います。
目次
タンパベイダウンズ競馬場とは
タンパ市北西部のオールドスマー地区にある競馬場。1926年にタンパダウンズ競馬場の名称で開場し、以降サンシャインパーク競馬場、フロリダダウンズ&ターフクラブ競馬場、現在のタンパベイダウンズ競馬場と幾度と名称を変えている。コースは1周1マイルのダートコースと7Fの芝コースの設定があり、芝コースは1998年からの開始と歴史が浅い。
ライブのレースは毎年11月中旬から5月初旬まで開催される。主要レースは2月に開催されるケンタッキーダービーのプレップレースであるタンパベイダービー(G3)。過去にはケンタッキーダービー馬のStreet Sense、ハスケルSとウッドメモリアルに勝利し、欧州にに転籍したVerrazano、ベルモントSの勝馬Tapwritなどが勝利をしている。
その他では芝中距離の牝馬限定重賞競走のヒルズバラーS(G2)が有名で、国内の重賞を勝ちまくり、アスコットのクイーンアンSに勝利したTepinなどが勝利している。
下記は2024‐2025年シーズンに行われるステークスレース一覧(レーシングプログラムより)
競馬場のロケーション
タンパのダウンタウンから車で30分程の距離に位置。周辺には森があり、海沿いのクリアウォーターやイーバーシティといった観光名所とは違いのんびりとした落ち着いた雰囲気が漂います。
入場料
スタンドには$3の入場料が必要(水曜日は無料)。ダンパベイダービー開催日は$15。クラブハウスは$5で入場可。その他、Boxシートやビュッフェ付きの観戦席などの有料席もあります。スタンドの横には無料で入場出来るエリアもあり、そちらにも券売機やモニターも設置されています。
なお駐車場は無料で利用出来ます。こちらもタンパベイダービー当日は有料になるとのこと。
競馬場の様子
スタンド玄関、通常こちらで$3支払い入場します。私の訪れたクリスマスイブ当日は特別に無料で入場出来ました。
入場口を入った正面にあるレーシングプログラム売り場
1冊$2.25。昔のJRAのレープロみたいなタイプ
こちらのプラグラムには残念ながら指数は掲載されていません。
グランドスタンド
コース側から見たスタンド全容
スタンド2Fの観客席。こちらは入場料のみで利用出来ます。
スタンド2Fのベランダ席、こちらは$25で有料。馬場全体が見渡せます。
ベランダ席から見た風景
スタンド1F
他場のレースを放映するモニターも多く設置されています。この日はクリスマスイブでタンパベイダウンズと他2場しか開催されておらず、放映されているのは同じ映像ばかり…。
有人券売所
券売機
バー
グッズ売り場
展示エリア
競馬場の歴史を振り返ることが出来ます。
スタンド2F
観客席の奥はポーカールーム。中をのぞくと確かにカジノでした。
グランドスタンドに併設するクラブハウス。南国感あふれる装い。
スタンド外の無料エリア
先ほど紹介したように、モニターと券売機も設置されています。
無料エリアから見たパドック
競馬場に住むワニ
モニターに映し出されたワニ…(場内放送によるとアリゲーターとのこと)。フロリダ州の池や沼などの水辺にはたいがいワニがいるようで、彼は馬場の池を住みかとしています。調べたところ、アリゲーターはそこまで攻撃的では無く臆病でめったに人は襲わないらしい…(クロコダイルは逆にかなり攻撃的とのこと)。
レースの様子
レースに出走する馬は向こう正面にある厩舎エリアから馬場を歩いてパドックへ向かってきます。
装鞍所兼パドック
鞍を着けて再度馬場入り
この日はステークス競走も無く、比較的距離の短いレースばかり。
1Rは1頭取り消しの5頭立て。早速馬券を買ってみましたが…不適中…。
ウイナーズサークルでの勝ち馬
次のレースはスタンドから観戦
8頭立ての未勝利戦、馬場入りの様子から真っ先に切った2頭での決着…。何年競馬やっても正解は分かりません…。
以降のレースも、当たってもトリガミだったり、不適中だったり…。
以上がタンパベイダウンズ競馬場の様子でした。
さいごに…
のんびりとした親しみやすい雰囲気がある競馬場でした。地元の人々が少額ずつ馬券を買うような、家族連れにも楽しめる環境です。緑豊かな敷地と整備された芝コースは、天候の良いフロリダの気候と相まって、こころの休まる空間を演出します。同じくフロリダのリゾート地にあるガルフストリームパーク競馬場とは雰囲気が全く異なるのが印象的でした。
先回紹介した同じくフロリダ州にあるガルフストリームパーク競馬場の記事はこちらから。
(Bardstown Bourbon Company) バーズタウンバーボンカンパニー【バーボントレイル#17】
バーボントレイル第17弾ということで、今回はバーズタウンバーボンカンパニー(Bardstown Bourbon Company)の様子を紹介したいと思います。
目次
バーズタウンバーボンカンパニーとは
2014年にPETE LOFTINによって設立された新鋭の蒸留所。2016年より蒸留が開始され、現在700万プルーフバレルの生産能力を持つ、全米でも有数の生産能力をほこる蒸留所です。ケンタッキー州レキシントンと州間高速I65を結ぶブルーグラスパークウェイの車窓からみえるモダンな建屋と熟成庫の風景は、バーボンの街バーズタウンの新しいランドマークになっています。
2024年現在販売されているブランドは、自社で蒸留、熟成されたウイスキー100%を使用したORIGIN SERIES、他社蒸留所を含む厳選した長期熟成ウイスキーを使用したDISCOVERY SERIESや他社蒸留所と協力してブレンド開発されたCOLLABORATIVE SERIESなど多種にわたります。
蒸留所ではレストランとバーも併設されており、食事も楽しめます。
バーにはここの蒸留所以外のウイスキーも置かれています。
ロケーション
上でも紹介しましたが、ブルーブラスハイウェイが蒸留所の横を通っています。ランプからも近くアクセス良好。レキシントン市街からは車で約1時間の距離。
蒸留所ツアー
蒸留所では様々なニーズに合わせたツアーを提供しており、ウイスキー工程を見てテイスティングを行うスタンダードなコース$22、自分のウイスキーをボトル詰め出来るコース$295、マスターディスティラーの話を聞きながら工程をまわるコース$250ほか、ビンテージのウイスキーを試飲出来るコースやカクテルを作るコースなど数多くのコースが設定されています。ツアーの予約は蒸留所のH/Pの"PLAN A VISIT"から行いますが、土曜日はツアーが満席になっていることも多いので、希望日時がある場合は早い予約がおすすめ(月曜日、火曜日は休み)。
その他、ルイビルのダウンタウンにはサテライトのテイスティングルームも設置されており(こちらもH/Pから予約出来ます)、こちらでも自社ブランドのウイスキーやカクテルなどを楽しむことが出来ます(日曜日休み)。
Bardstown Bourbon CompanyのH/P
現地に行かなくても同じくPLAN A VISITのBardstown Distillery 360 Tour から蒸留所の様子が動画で見ることも出来ます。
ツアーの様子
ツアーは建屋ロビーのカウンターでのチェックインからスタート。
ロビーには小さなバーも併設されており、有料でウイスキーやカクテルなどが提供されます(チェイサーは無料…)。
ツアー開始
時間になったらツアー開始、この日は平日だったせいか少人数パーティーです。
まず蒸留所紹介の動画を見ていきなり試飲…。
テイスティング出来るのは4種類で、熟成前のニューポットと3種類のウイスキーが楽しめます。ウェルカムテイスティングから始まり、工程を見学しながらテイスティングを進めていくウィレット蒸留所のようなツアーもありますが、いきなり4種類のフルテイスティングから始まるツアーは初めての経験です。
テイスティング後、いよいよ工程に向かいます。まずは糖化工程から。
糖化工程
マッシュタンは2基あり1基が稼働中でした。
発酵工程
糖化工程の隣に発酵工程があります。8つの発酵槽がありどれも稼働中でした(発酵工程は3日間とのこと)。
発酵中のもろみを味見させてもらえます。
蒸留工程
こちらには2基の連続式蒸溜機があります。
2基とも稼働中で、室内はかなりの熱気…。
樽詰め工程
熟成工程
ツアーの最後は熟成庫に向かいます。
倉庫の壁はガラス張りで美しい…。見栄えを重視したのか、室内の温度を重視したものなのか…?
内部も明るく開放感があって美しい…。やはりディスプレーを重視したガラス張りの造りなのでしょう。
熟成工程の説明後、最後のテイスティングタイム。こちらは熟成中の樽から直接試飲です。
20年2月15日樽詰めの4年熟成ものでした。
以上でツアーは全行程終了です。
ツアー終了後はギフトショップでの買い物を勧められますが、参加は自由。
上で紹介したブランドの商品が売られています。海外への出荷もあるようですが、2024年現在、代理店経由での日本への出荷は無いとのこと。
さいごに…
歴史の浅い蒸留所で、まだ日本での認知度はあまりないと思います。ただ生産能力がある蒸留所なので、今後日本への公式出荷がはじまる可能性もあります。今日見た風景を思い出しながら日本でバーズタウンバーボンカンパニーのウイスキーを楽しめる日が来ることを望みます。
バーボントレイル第16弾、ミクターズ蒸留所の記事はこちらから
【フロリダの牧場】オカラスタッド(Ocala Stud)
過去、ケンタッキー州にあるいくつかの牧場と種牡馬を紹介してきましたが、今回はフロリダ州のサラブレッド生産牧場を見聞したく、同州オカラにあるオカラスタッドを訪ねてきました。
目次
フロリダ州におけるサラブレッド生産
アメリカのサラブレッド生産といえばケンタッキー州のレキシントンが有名ですが、フロリダ州でも多くのサラブレッドが生産されています。とくに同州オカラはレキシントンやイギリスのニューマーケットと同じく”世界の馬の首都”と呼ばれ、競馬産業が非常に盛ん。その理由として温暖な気候と石灰を豊富に含む土壌があげられます。
1. 温暖なフロリダでは、冬場の日中の気温は20度を上回るため、真冬氷点下が日常のレキシントンに比べると幼駒の育成に適している。
2. 石灰が豊富な環境で育つ牧草にはカルシウム含有量が多く、そのカルシウム成分がサラブレッドの骨の強化や健康維持に寄与する。
それら環境的な利点もあり、フロリダ州オカラ地区では現在のサラブレッド産業の発展につながっています。
※ただ真夏は暑く湿度も高いため、蹄病にり患しやすくなるデメリットもあり、また育成できる牧草も限られるため、飼料は他州から輸入しなければならない現状もある。
オカラスタッドについて
オカラスタッドは1956年にJoe O'farrellによって開業した牧場で、初代よりO'farrell家が経営を続けています。牧場は全3か所からなり、敷地面積は全体で500エーカーほど。種牡馬の繋養、サラブレッド繁殖、育成、調教が主な事業(従業員は60名ほど)。60年を超える歴史において、委託馬含め250頭以上のステークス勝馬を輩出した実績をほこり、2歳馬の調教と販売においてオカラを代表する名門牧場となります。
過去繋養された種牡馬としてはフロリダでのサラブレッド生産の基礎を築いたRough'n Tumbleをはじめ、Distinctive、Explodent、Sovereign Dancer、Mighty Appealing、Saint Ballado、Notebook、Pentelicus(エターナルビートの父)、Trippi(エーシンウェズンの父)、Kantharos(後にHill’n Dail Farmに移籍)など…。現在も8頭の現役種牡馬を繋養しています。
調教実績にも輝かしい経歴があり、過去のダービー馬との関わりでは、キャリーバックは誕生、育成、調教、アンブライドルドとストリートセンスについては調教に携わっています。
ロケーション
I75州間高速が牧場の横を走っており、インターからも近く車でのアクセスは良好。当然周辺には公共交通機関も無いので、車での移動が必須となります。地理的にはマイアミから約4時間、アトランタから約5時間ほど…。
牧場の見学方法
同牧場はツアーなどは行っておらず、見学をしたい場合は牧場H/PのContact USより直接アポイントをとる必要があります。Contact USの記入欄に名前、メールアドレスなどを記入し、SubjectとCommentsに牧場見学の旨を書いて送信すると、指定したメールアドレスに返信が来ます(メールやり取りから見学日時を決めるながれ)。ツアーでは無いので料金はかかりませんが、好意で見学をさせていただける立場であることをお忘れなく…。
牧場のH/Pはこちら
牧場見学当日の様子
牧場に到着したら、まずは正門より車で事務所に向かいます。事務所に入り、見学のアポイントがある旨を説明し見学が開始する流れとなるはずですが、私の場合は事務所にいた方がアポイントがあることを知らなかったみたいで、メールでのやり取りを見てもらい担当の方に連絡し見学が始まった感じでした。私のように英語が堪能ではない場合はすぐにメールを見せられるように準備しておくのも良い手段かと思われます。
牧場事務所
私の牧場見学の主な目的は種牡馬見学でした。種牡馬見たい旨を説明すると、種牡馬厩舎まで自分で車で行くように言われ、厩舎の位置と道を教えてもらえます。通常ならその説明に従って進みことは済みますが、私は道を間違えてしまい迷っていると、スタッフの方が気づいたのか、種牡馬厩舎まで案内してくれました。
種牡馬厩舎
種牡馬厩舎に着くと、どの馬が見たい?と尋ねられたので、まずは一番見たかったWin Win Winから見せていただくことにしました。私一人の為に種牡馬展示をやっていただきます。
このWin Win Winという馬、競馬関連の記事でも紹介されていた馬ですが、父親がマイルチャンピオンシップを勝ったハットトリックです(その父はサンデーサイレンス)。2024年、初年度産駒のNOONIがSorrent StakesというDel merで行われる6FのG3に勝利し、同馬に種牡馬としての初のグレード競走勝ちの実績をもたらしました。所属は名門厩舎のB.Baffert師。このWin Win Win自身も競走馬としてForego Stakes(G1)勝ちの実績があります。
Win Win Win 2025年種付け料:$8,500(2024年は130頭ほどに種付け)
Khozan
ガルフストリームパークのAllowanceに12 3/4馬身差で勝利。フロリダダービー(G1)では本命視されていたがレース直前に故障し引退。種牡馬としては2020年から2024年まで連続でフロリダ州のリーディングサイヤーに輝く。2024年をもってJourneyman StudからOcala Studに移籍。
2025年種付け料:$6,000(2024年は60頭ほどに種付け)
※日本ではジャスパーゴールドがJRAで4勝の実績
Gretzky the Great
Summer Stakes(G1)勝ち - 2025年種付け料:$3,000
Roadster
Santa Anita Derby(G1)勝ち - 2025年種付け料:$7,500
Colonel Liam
Pegasas World Cup Turf(G1)2勝、Turf classic Stakes(G1)勝ち
- 2025年種付け料:$6,500
Adios Charlie
Jerome Stakes(G2)勝ち - 2025年種付け料:$3,000 牧場で一番の高齢種牡馬
※日本ではエルフィンコーブがJRAで4勝の実績
Awesome Slew
Commonwealth(G2)勝ち、G3を2勝 - 2025年種付け料:$4,000
今回は見られませんでしたが、Clark H(G1)勝ちのSeeking the Soulも同牧場に繋養されています(放牧中なのか厩舎内には不在でした)。
以上が繋養されている種牡馬でした。
種牡馬厩舎内
種付け場(Ocala Studでは2月中旬から6月にかけて種付けを行うようです)
次に調教トラックを見せてもらいました。ここからは自由に撮影して良いとのことでしたので、トラックの先まで歩いてみました。1周5/8マイルの馬場です。
トラックの一番奥(南側)
馬場に使用される土
ゲート
トラックの奥には育成馬の厩舎が見えます
以上がOcala Studの様子でした。
さいごに…
今回、初めてのフロリダの牧場ということで楽しみだったと同時に、初めてツアーではない個人的なアポイントメントでの見学であった為、少し不安でもありました。ただ、お会いした牧場のスタッフの方々がとても親切で、英語に不慣れな私にも本当にやさしく対応いただけました。お目当ての種牡馬たちに会えたのもそうですが、私の為だけに時間を割いていただいた個人種牡馬展示会も含め、皆さんのやさしい対応がなにより温かくうれしかった…。
牧場全体を見させていただいた印象は、厩舎や牧柵などはレキシントンにあるクールモアやダーレーなどの大手牧場と比べ、やはり年月が経ち、お金をかけきれない感じは否めませんでした。ただレキシントンには無い環境的なメリットはあると思うので、今後Ocala Studから1頭でも強い競走馬が誕生することを願ってやみません。
今回の訪問は私のアメリカ生活の中でかけがえの思い出になりました。
さいごに牧場の風景写真を何枚か…
レキシントンにあるアシュフォードスタッド(クールモア)の記事はこちらから
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