知的財産

特許出願の拒絶理由通知の対応として、除くクレームが認められています。 これは化学分野で公知技術である物質だけを除くために活用されるものと思っていましたが、機械や電気の分野でも利用されているとのことで、少し違和感を感じています。 特に機械では構造物の特許において、ある概念を除くというような技術思想の考え方はあまり馴染まず、電気分野でもあるキャラクタ物を除くなどで活用できるとはいえ、発明の捉え方としてそれで良いのかというのもあります。 一部に公知技術を含む発明が特許されているのは昔から行われており、すべての発明特定事項に公知技術が含まれていれば新規性・進歩性で拒絶されるという認識です。 除くクレー…

こんにちは、暖淡堂です。 前回、実用新案の制度について説明しました。 今回は、実用新案の例を紹介したいと思います。 特許庁のデータベースの運営や、知財関連の教育を行っている組織であるINPIT。 そこが管理しているJPlatPat（特許、実用新案、商標のデータベース）で検索してみました。 JPlatPatは以下のリンクから。 誰でも簡単に検索できます。 特許情報プラットフォーム JPlatPat 2025年1月1日から1月31日までの1ヶ月に出願された実用新案の件数は357件でした。 １件、わかりやすかったものを紹介します。 （わかりやすいというのは、結構大事なことです） 以下になります。 【…

弁理士の独立と聞くと、事務所を借りて特許事務所を立ち上げることを思いつく。 自宅事務所でもレンタルオフィスでも良く、自分一人で集客して業務を受任して納品する形態であり、誰に依存することもない働き方。 昭和時代から弁理士登録すれば独立開業してナンボ、 という世界観が形成されていました。 私が独立開業した平成14年も然りですが、昭和と比較して、事務所勤務又は企業勤務を選択する弁理士が多かった点は、弁理士業界をとりまく環境があまり良くないという現れだった気がします。 現在では弁理士で独立開業する人の割合も減少し、また中小規模の特許事務所には就職せず、大規模の特許事務所か企業勤務を希望する人の割合が増…

弁理士としてクライアントの知財創出に関与していると、 知財の権利取得は、クライアントの持つ知的財産に関する暗黙知の形式知化であると思い知らされる。 知的財産権として顕在化させることによる知の継承の意味がある。 これは組織の知だけでなく、個人の知の結晶でもある。 企業活動の成果として、知的財産権という形で残すことにより、知が後世に受け継がれていく。技術・デザイン開発の成果を客観的に伝達可能なものとして見える化できる。 これは知財評価鑑定において定性的な観点で高く評価されるべきもの。 知的財産権というと、模倣したらすぐに訴訟という話が前に出がちであるが、訴訟したいのは手数料が入る弁護士・弁理士だけ…

昭和40年～60年代、弁理士がめっちゃ儲かったといわれています。 30人規模の特許事務所で毎年、ハワイ旅行に行っていたように。 小規模の事務所は、 所長と所員との距離か近く、 所員だけでコミュニティができています。 コミュニティに馴染めば、とても心地良い。 それが平成になって、それでも平成10年頃までは儲かっていた弁理士業。 平成14年～平成25年くらいに徐々に衰退していき、 現在は別の局面を迎えている気がします。 大企業から大量に特許出願を出す時代は終わりました。 ベンチャー企業の知財を専門になる弊所では、一人勝ちができ好都合です。 この弁理士不況の時代、 これまで二極化していた特許事務所業…

弊所クライアントである芸能事務所さま。 昔も今も芸能事務所の大きな収益源の一つは、コンサートグッズの販売です。 コンサートグッズ（以下、グッズという。）といっても、簡易なものから複雑で高価なものまであります。 グッズは中国などの外国で低コストで製造されていることがほとんどですが、昨今では日本製のものが出回っていたりします。 実はグッズにも知財戦略があるのです。 それも芸能事務所の威信をかけた負けられない知財戦略が・・・。 結論的には、グッズの出願戦略として、 実用新案又は意匠の出願になることが多いです。 理由は早期に実施され、かつライフサイクルが短いグッズが多いから。 これは実用新案の無審査登…

私は弁理士として、日頃、特許明細書や意見書などの起案に従事しています。 この積み重ねを応用したことにより、私が最も成功した弁理士、いや士業になれたのは紛れもない事実です。 この特殊スキルは、弁理士業だけに適用しておくことは勿体ないと感じることがあります。他の仕事でも十分に活用できる。着眼点や思考方法が意外に使えるのです。 例えば、自分が起業家として、取締役として関与する会社の実務家として、契約書を起案したり、契約事項をチェックすることがあります。このときのスキルは、特許明細書の特許請求の範囲の起案方法と全く同じ思考回路が働きます。 用語定義の確定のほか、上位概念・中位概念・下位概念の概念的把握…