産業医

医師、薬剤師、看護師。私たちの健康と命を支える医療現場は、こうした専門職の方々の尽力によって成り立っています。しかし、その裏側では多くの医療機関が深刻な人材不足という課題に直面しています。この「医療従事者の不足」という社会課題を解決するため、医療機関と専門職とを繋ぐ架け橋となっているのが、医療系人材サービス企業です。 今回はその中でも、調剤薬局大手「日本調剤グループ」の中核企業として、薬剤師の紹介・派遣を起点に、医師や看護師まで領域を広げる総合人材サービス会社、株式会社メディカルリソースの決算を分析します。 驚異的な財務健全性を誇る同社のビジネスモデルと、日本の医療インフラを人材という側面から…

「人生100年時代」と言われる現代、私たちは自身の健康とどう向き合っていくべきでしょうか。単に病気を治療するだけでなく、病気そのものを未然に防ぐ「予防医療」の重要性が、社会全体でますます高まっています。そんな中、60年以上にわたり首都圏の人々の健康を見守り、支え続けてきた存在がいます。今回は、「解憂（かいゆう）」、すなわち人々の憂いを解き放つという壮大で温かい理念を掲げ、健診事業から産業保健、高齢者福祉までを一貫して手掛ける総合医療・福祉グループ、医療法人社団同友会の決算を読み解きます。年間60万件という圧倒的な健診実績を誇る同法人が、どのように社会の健康課題に取り組み、成長を続けているのか、…

こんにちは！今回は職場の安全衛生管理に欠かせない**「衛生管理者の選任」**について、具体的な条件や注意点をわかりやすく解説します。 「50人いないから関係ない」「アルバイトはカウントしない」など誤解が多いテーマですが、知らなかったでは済まされません。違反すれば罰則も…！ この記事で、事業場ごとの選任義務・必要人数・手続き・罰則まで丸ごと理解できます。 1. 衛生管理者の選任義務とは？ まず基本から。 常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者の選任が法律で義務付けられています。 ここで重要なのが「労働者」の数え方。 ☑ 正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員も含めてカウン…

髄膜炎の入院治療は2か月半におよびました。 最後の２週間は、電解室や腎機能のデータから「すこし様子を見ましょう」というので、症状もないし点滴や検査も特にやることもなく、かと言って病室で仕事をする気持ちにもなれず、ベッド脇の椅子に座って、池井戸潤とか東野圭吾とか軽く読める本を片手に、窓の外に見える飛行機をぼーっと眺めるような毎日でした。 これからの人生の過ごし方を考えた、と前回書きました。 ２か月半もの間、休業したのですが、目下すぐに仕事を辞める訳にもいかない、しかし若い頃のようにガツガツどん欲に仕事に打ち込む気力も無くなった。これから自分に果たして何ができるのか、何をしたいのか、改めて考えまし…

Dr.けーぴょんちゃんです。 呼吸器内科医をやっていると石綿（アスベスト）健診の依頼を受ける場合があります。 肺癌や悪性中皮腫など高度な治療を要する場合も少なくありません。 そもそも労災申請するにはどうすればよいか、皆様ご存じでしょうか。 労災申請には、患者自身が申請する「労災請求」と、会社が申請する「事業主経由」の方法があります。 会社が労災を認めないケースもあるため、そうした場合は労働基準監督署に直接相談するように我々医師は勧めることになります。 労災認定されるメリットとして、治療費が自己負担がなくなったり（健康保険ではなく労災保険が適用される）、休業補償（給与の一部補填）、障害補償などが…

Dr.けーぴょんちゃんです。 医師・看護師における労災認定された事案数（精神障害）を見つけました。 医師についてはだいぶ認定数が横這いになっているようですが、看護師さんの認定件数が増えていること、医師・看護師さんともに30歳代が多いことが特筆すべきですね。 たしかに自分も現在34歳ですが、働き方改革の良い点・悪い点もあり、医師6-15年目（30-40歳頃）に救急診療などが集中しがちであることも実感しております。 若手の臨床現場の確保（直接美容「直美」や直接産業医「直産」）という課題解決も必要である気がしました。 医師・看護師における労災認定された事案数（年代別・精神障害） 参考文献 令和6年版…

Dr.けーぴょんちゃんです。 日本で働く外国人数はどれくらいかご存じでしょうか。 実に約230万人もいらっしゃいます。 国策として外国人労働者を受け入れる我が国ではもっと増えることが必至とされています。 在留資格別外国人労働者数の推移 国別の内訳は以下の通りです。 国籍別外国人労働者の割合 南/東アジアの国々の方々（ベトナム、中国、フィリピン、ネパール、インドネシア）が多いんですね。 これらの国々の衛生環境次第では、結核を含む感染症の持ち込みが多く、欧米から約5年遅れてようやく日本も水際対策（VISA発給前に結核陰性証明書）が行われはじめようとしています（現時点では始まっていません）。 呼吸器…