「生活が成り立っていたら、それで良いじゃないか」住んでいる家を追い出されず、必要な設備あるが故に暑さ寒さに健康を損なう事もせず、貧困を絵に描いた様なみすぼらしい服を纏わずに済み、そして身体の健康を守る為に必要な食餌を得る事が出来る。これだけあれば後は何とかなる、そういう気持ちがこの言葉から窺われます。実際、この言葉を発した人はそういう気持ちで口にしたのでしょう。私は違います。この言葉を口にした人はそうなのです。それだけの条件がクリアされたら、本当に後は何とかなるのでしょう。しかし私はそうではありません。私は自分の生活にこれらの条件が整っていなくてもいいから、それでもこれらとは別のものが欲しいの…

共に迷い共に悩む文学と指し示す文学。私は読んでこの違いをよく感じます。前者は必ずしも解決を与えてはくれません。私の探しているものは常に後者でした。しかしドストエフスキーの『地下生活者の手記』は私にとって衝撃でした。多分読んだ『回数』からすればこの本が一番多いと思います。迷う文学ですが、既にこれは指し示す文学です。迷いながら、彷徨しながら、決定的に指し示すのです。これ程徹底的に完全に指し示した文学は、私にとって他に一つしかありません。誠実に悩み、狂う程に苦しみ、恐ろしいまでに『迷う』。結局それは指し示しているのです。人間の生きる意味を。答えを見出せないまましかし徹底して妥協を肯（がえ）んぜず生き…

知性を売り物、と謂うか看板に掲げたものは世の中に多く見ますが、私は昔からあまり好きではありませんでした。私は人間の知的活動に拠って『便利』にはなっていると思いますが、それで私が救われたなどという事を一度として経験していないからです。私を救ってくれたのはいつだって知的なものではなく情的なものでした。また私が疲れ果てて明日を生きる力を失っていた時に毎日私を慰めてくれたものも、矢張情的なものでした。私は人間の至純の情に触れて生き返るのです。私は哲学の本を読むのが好きです。しかしそれは既に『全く別のものに拠って』落ち着く事が出来ていて心の平衡を失っていない時に読むのが好きなだけであり、哲学の本を読む事…

一郎の靴箱から盗み取って、三郎が勝手に手紙を読んだのだ。 一郎はそれを咎めはしなかったけれども、三郎の行為そのものよりも、彼の手紙を見る目に驚いた。 手紙には、転校する聡子からの美しい告白が書かれてあったけれども、三郎はこう言った。 「自分の気持ちに嘘をついて、あなたはこのままでいいのですか？ なんて書かれていたよな」 同じクラスの聡子とは確かに仲が良かったけれども、一郎には幼馴染の彼女の雪子がいて、小さい頃から雪子と三郎とはずっと一緒だった。 手紙には確かに、『あなたのことを好きになってはいけないとわかってはいたけれども、好きになってしまった。報われない恋の結末は、あなたの幸せを祈るほかあり…

少し暑さが戻りました。できるだけ日陰を選ぶようにしてウォーキングをしたのですけれど、30分でもけっこう疲れてしまって…🚶体力が落ちているのか、それとも暑さのせいなのか？ にほんブログ村 ペン字書写との付き合い方 最近続いた、手紙を書く機会 ペン字書写をしていてよかった！ ペン字書写との付き合い方 X（旧Twitter）のお題を使わせていただいて、《朝活書写》を始めて3年近くになります。最初の頃は、気まぐれな向き合い方で、書いたり書かなかったりでした。でもここ2年くらいは、できるだけその日のうちに書く習慣がつきました。 komorebi-promenade.com 昨年末からは、《書写食堂のお品…

拝啓 Q様 新米の美味しい季節となりました。Q様、お変わりございませんでしょうか。 あなた様が故郷に帰られてから、もう1年半が過ぎました。たまにはお便りくださいね。と拗ねてみたり。年の功もなく寂しく思っております。 先日、働きに出ているCから、職場の人間関係で辛いとの連絡が入りました。何やら先輩と揉めているのだとか。前もあなた様といっしょにCを慰めたことを懐かしく思いだしました。 今回は私もあなた様もスグにはいけない、下宿先でのことでしたので、随分と肝を冷やしました。お菓子や、冷凍牛丼（笑）を応援として送ってみたり、アドバイスや人間関係のYouTubeのリンク送ってみたり（汗）狼狽したものです…

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