徒然草

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。 💭ポイント 後ろ向きの狛犬を深い謂れ有りと早合点し感動した聖人。真相は子供のいたずらで、知ったかぶりの滑稽さを描く。 『徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース 🌙現代語対訳 丹波の国に出雲という所があります。出雲の国の出雲大社を移して、立派に造られています。 丹波たんばに出雲いづもといふ所ところあり。大社おおやしろを移うつして、めでたく造つくれり。 しださんという人が管理する所だったので、秋の頃、聖海上人が、 …

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。 💭ポイント 主人のない家や鏡の比喩から、心に様々な思いが浮かぶのは、心に確固たる主がなく、空であるからだと考察している。 『徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース 🌙現代語対訳 主人のいる家には、見知らぬ人が、勝手に入ってくることはありません。 主ぬしある家いえには、すずろなる人ひと、心こころのままに入いり来くることなし。 主人のいない家には、通りすがりの人が、むやみに立ち入り、 主あるじなき所ところには、道行…

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。 💭ポイント 質問には曖昧に答えず、明快に教えるべきだ。要領を得ない伝え方も不愉快で、これらは世慣れない未熟者のすることだと説く。 『徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース 🌙現代語対訳 人が、何かを質問した時に、「知らないわけではないが、 人ひとの、物ものを問とひたるに、「知しらずしもあらじ。 ありのままに答えるのは、差し出がましい」とでも思うのか、 ありのままに言いはんは、をこがまし」とにや、 相手を惑わすよ…

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。 💭ポイント 欠点のない人物とは誠実で寡黙な人のこと。逆に、知ったかぶりで人を軽んじる態度は、あらゆる欠点の根源だと説く。 🌙現代語対訳 「あらゆる過ちがないようにしたい」と思うのであれば、 「よろづの咎とがあらじ」と思おもはば、 何事においても誠実で、相手によって態度を変えず、 何事なにごとにもまことありて、人ひとを分わかず、 誰にでも敬意を払い、口数を少なくするに越したことはありません。 うやうやしく、言葉ことば少すくなから…

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。 💭ポイント 料理人の気の利いた振る舞いを例に、演出よりもありのままの自然な言動の方が優れていると説く。 『徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース 🌙現代語対訳 園（その）の別当入道（べっとうにゅうどう）は、比類のない料理の達人でした。 園そのの別当べっとう入道にゅうどうは、さうなき庖丁者はうちやうじゃなり。 ある人の家で、見事な鯉がふるまわれた時、 ある人ひとのもとにて、いみじき鯉こいを出いだしたりければ、 皆…

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。 💭ポイント 五条内裏での化け狐の目撃談。人のように座り碁を覗いていたが、正体を見破られ慌てて逃げ去った。 『徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース 🌙現代語対訳 五条の皇居には、化け物がいたそうです。 五条ごじょう内裏だいりには妖物ばけものありけり。 藤大納言様が、こう語っておられました。 藤とう大納言だいなごん殿どの、語かたられ侍はべりしは、 上級貴族たちが、黒戸という部屋で碁を打っていると、 殿上人てんじょ…

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。 💭ポイント 優れた職人は少し切れ味の鈍い刀を使うもので、名工の妙観の刀もそうであったという話。 🌙現代語対訳 腕の良い職人は、 よき細工さいくは、 少し切れ味の鈍い刃物を使うと言います。 少すこし鈍にぶき刀かたなを使つかふと言いふ。 妙観の刀も、それほど切れ味の鋭いものではありませんでした。 妙観みょうかんが刀かたなは、いたく立たたず。 📚古文全文 よき細工さいくは、少すこし鈍にぶき刀かたなを使つかふと言いふ。妙観みょうかんが…