医療機器

私たちが病院で受けるCTやMRI検査、あるいは心臓や脳のカテーテル治療。これらの高度な医療は、日進月歩で進化する医療機器によって支えられています。特に、患者の身体的負担を最小限に抑える「低侵襲治療」は現代医療の大きな潮流であり、その最前線では、血管内から病巣にアプローチするカテーテルなどの精密なデバイスが活躍しています。しかし、これらの最先端機器の多くは海外で開発されており、日本の医療現場で安全かつ有効に使用されるためには、専門的な知識を持った架け橋の存在が不可欠です。 今回は、医療機器、特に血管造影やインターベンション治療の分野で、世界の優れた技術を日本の臨床現場に届け続ける専門商社、シーマ…

人工関節や脊椎の治療、スポーツによる外傷。骨や関節の疾患・ケガを治療する「整形外科」は、超高齢社会の日本において、人々が健康で活動的な生活を続けるための、まさに“体の土台”を支える医療分野です。手術の現場では、医師の高度な技術はもちろん、最先端のインプラントや手術器械、そしてそれを熟知し、手術を滑に進行させる専門家のサポートが不可欠です。 今回は、大阪・奈良を拠点に、特にこの「整形外科」分野に特化して医療現場を支える専門商社、日光医科器械株式会社の決算を読み解きます。西日本最大級の医療商社グループ「オルバヘルスケアホールディングス」の一員として、ニッチな領域で深い専門性を発揮する同社のビジネ…

手術室で使われる最新の医療機器、患者さんの命を繋ぐカテーテルやインプラント、日々の診療に欠かせない注射器やガーゼ。私たちが病院で受ける医療は、こうした無数の医療器材によって支えられています。しかし、これらの製品を、世界中のメーカーから安定的に、そして迅速に医療現場へ届け、在庫を管理し、時に経営の相談に乗る専門家の存在はあまり知られていません。 今回は、1921年の創業から100年以上にわたり、岡山を拠点に中四国・関西の地域医療を支え続ける、大手医療機器ディーラー「株式会社カワニシ」の決算を読み解きます。オルバヘルスケアホールディングスの中核企業として、医療現場の「ライフライン」を担う同社のビジ…

「どうき・息切れ・気つけに、救心、救心」。このフレーズを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。テレビCMでもおなじみの「救心」は、世代を超えて日本の家庭で親しまれてきた常備薬の代表格です。その製造元である救心製薬株式会社は、大正2年の創業から100年以上にわたり、生薬（しょうやく）の力で人々の健康を支え続けてきた老舗企業です。 現代はストレス社会とも言われ、セルフメディケーション（自己治療）への関心が高まっています。このような時代背景の中、伝統的な和漢薬のスペシャリストである同社は、どのような経営戦略を描いているのでしょうか。今回は、第78期の決算公告を基に、救心製薬の財務の健全性、…

建設機械、家電、電子機器など、日本の「ものづくり」を代表する大手メーカーの製品には、世界中から集められた無数の部品や素材が使われています。その複雑なサプライチェーンを最適化し、メーカーが必要とする部品を、世界中から探し出し、最適なタイミングで供給するのが「専門商社」の役割です。郷商事株式会社は、特定のメーカー系列に属さない「独立系」という立場を強みに、建産機から電子部品まで幅広い分野で日本の産業を支えてきた実力派企業です。 今回は、グローバルに事業を展開する独立系専門商社、郷商事の決算を読み解き、その強みと健全な財務内容に迫ります。 【決算ハイライト（通算71期）】資産合計: 25,570百万…

超高齢社会を迎えた日本において、医療のあり方は「病院で治す」時代から「地域で支える」時代へと大きくシフトしています。その中で、最も身近な医療専門家として私たちに寄り添う「かかりつけ薬局」の役割は、ますます重要になっています。広島に本社を置き、中国地方5県で100店舗以上の調剤薬局を展開する株式会社エスマイルは、まさにその最前線で地域医療を支える企業です。 今回は、医薬品卸大手スズケングループの中核企業として、地域包括ケアの実現を目指す同社の決算を読み解き、これからの薬局が目指すべき姿と、その活動を支える強固な経営基盤に迫ります。 【決算ハイライト（43期）】資産合計: 8,171百 (約8…

心筋梗塞や狭心症といった心臓疾患の治療で、今や欠かせない存在となった「ステント」。狭くなった冠動脈を内側から広げる、金属製の小さなメッシュ状の筒です。このステント治療は多くの命を救ってきましたが、金属が体内に永久に残り続けることによる長期的な課題も指摘されてきました。もし、ステントが血管を修復するという役目を終えた後、体内で安全に分解・吸収され、跡形もなく消えてなくなるとしたら。それは、まさに医療の未来を塗り替える“夢の技術”です。 この、体内で溶ける「生体吸収性ステント」という、医療機器開発の最高峰に挑む研究開発型ベンチャーが、熊本に拠点を置く「株式会社日本医療機器技研」です。今回は、大手化…