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  • スプートニクの恋人
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スプートニクの恋人 単行本 – 1999/4/20

5つ星のうち4.2 770個の評価

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a weird love story
*【weird】
とても奇妙な、ミステリアスな、この世のものとは思えない、

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。そして勢いをひとつまみもゆるめることなく大洋を吹きわたり、アンコールワットを無慈悲に崩し、インドの森を気の毒な一群の虎ごと熱で焼きつくし、ペルシャの砂漠の砂嵐となってどこかのエキゾチックな城塞都市をまるごとひとつ砂に埋もれさせてしまった。みごとに記念碑的な恋だった。恋に落ちた相手はすみれより17歳年上で、結婚していた。更につけ加えるなら、女性だった。それがすべてのものごとが始まった場所であり、(ほとんど)すべてのものごとが終わった場所だった。

●[スプートニク]
1957年10月4日、ソヴィエト連邦はカザフ共和国にあるバイコヌール宇宙基地から世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げた。直径58センチ、重さ83.6kg、地球を96分12秒で1周した。
翌月3日にはライカ犬を乗せたスプートニク2号の打ち上げにも成功。宇宙空間に出た最初の生物となるが、衛星は回収されず、宇宙における生物研究の犠牲となった。――(「クロニック世界全史」講談社より)
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商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

22歳の春、すみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進むような、激しい恋だった。恋に落ちた相手は17歳年上で、結婚していた。更につけ加えるなら、女性だった…。ミステリアスな恋愛小説。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (1999/4/20)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1999/4/20
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 309ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4062096579
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4062096577
  • 寸法 ‏ : ‎ 14 x 2.2 x 19.6 cm
  • Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 248,632位 (本の売れ筋ランキングを見る)
  • カスタマーレビュー:
    5つ星のうち4.2 770個の評価

著者について

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村上 春樹
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1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。

1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。

カスタマーレビュー

星5つ中4.2つ
770グローバルレーティング

お客様のご意見

お客様はこの小説について、読みやすさと雰囲気を高く評価しています。読み物として十二分に楽しめる内容であり、中毒性のある作品だと感じています。また、不思議な雰囲気があり、さっぱりな風を感じさせる本だと好評です。一方で、日本語の表現については意見が分かれています。何か日本語がおかしいという指摘や、浮いた言葉が少なく、ああした叙述に好感が持てるという声もあります。SFファンタジー的な記載が感情移入できないといった指摘があります。

10人のお客様が「読みやすさ」について述べています。8肯定的2否定的

お客様はこの小説について、読み物として十二分に楽しめると評価しています。さらっといっててスラスラ読める内容で、違和感なくスラスラ読めると好評です。また、中毒性のある本だと感じており、異国の雰囲気をたっぷり味わえる盛り合わせみたいな小説だと評価されています。作者が神戸出身であることも魅力の一つとして挙げられています。

"これはミステリ風でいて異国の雰囲気をたっぷり味わえる盛り合わせみたいな小説。すみれという女性がとても魅力的。読後感より途中の盛り上がりがいい。 自分が失われてしまうっていう感覚は、どんなんだろう。..." もっと読む

"さくっと読めるけど、不思議な世界にどっぷりと没入できました。" もっと読む

"...違和感なくスラスラ読めて、ちょっと不思議な雰囲気なのですが安心できる、私にはぴったりくる内容でしたー" もっと読む

"...解釈によって結末の印象が大きく変わるので、読後感はすっきりしないような、何とも言えない気持ちにさせられました。 この物語を完全に理解するには繰り返し読んでの考察が必要です。..." もっと読む

3人のお客様が「雰囲気」について述べています。3肯定的0否定的

お客様はこの作品について、不思議な雰囲気で安心できる内容だと評価しています。ノルウェーの森やねじまきは重すぎるものの、さっぱりな風を感じさせると好評です。

"これはミステリ風でいて異国の雰囲気をたっぷり味わえる盛り合わせみたいな小説。すみれという女性がとても魅力的。読後感より途中の盛り上がりがいい。 自分が失われてしまうっていう感覚は、どんなんだろう。..." もっと読む

"...違和感なくスラスラ読めて、ちょっと不思議な雰囲気なのですが安心できる、私にはぴったりくる内容でしたー" もっと読む

"最初に読むべき村上春樹の作品 ノルウェーの森、ねじまきは重すぎるが これはさっぱりな風を感じさせてくれた。 このご僕は村上春樹を全作品読めた。" もっと読む

8人のお客様が「物語性」について述べています。3肯定的5否定的

お客様はこの小説について、物語性やストーリー性に関する意見が分かれています。一部のお客様は、物語の世界に圧倒され、予定調和にも程があると評価しています。一方で、切なくもどかしく、最後の展開が非常に驚くという声もあります。また、筋立てがでたらめであることや、プロットの展開に違和感を覚えるお客様もいます。

"プロットはでたらめの一つ星だけど、この作者の人気の一端はオシャレで読みやすい文章にある、ということが確認できただけ、★ひとつおまけをしておきました。..." もっと読む

"...本書を読了して、今までとは違った視点で考えさせられることがあったので、☆は5つとした。 第15章は、浮いた言葉が少なく、ああした叙述には好感が持てる。..." もっと読む

"...SFファンタジー的な記載が感情移入できない。 すけべな描写が多い。 キザな修飾記述多過ぎてうざい。 物語がよくわからない..." もっと読む

"...結びつけば楽なのに、孤独ではなくなるのに、くっつきそうでくっつかない。 何かが起きそうで起きない、終始、切なくもどかしい。 なのに、おもしろくてすらすら読めてしまう不思議な小説。 荒野の中に一人いるような誰からも孤絶した孤独ではなく、..." もっと読む

4人のお客様が「描写」について述べています。2肯定的2否定的

お客様は、この作品の描写について意見が分かれています。冴えわたる一部の描写や舞台のギリシアの描写を高く評価しています。一方で、すけべな描写が多く、エセ文学的な表現になったという指摘もあります。また、キザな修飾記述が多いことも指摘されています。

"...夢は、シュールレアリズムの絵画のようで見事であり、ミュウの観覧車の話は村上ワールドの醍醐味であり、深夜の月あかりの丘の上の音楽は幻想的で印象に残る素晴らしい描写である。しかし、小説全体を通してみると、ダレ場が目立つように感じた。..." もっと読む

"...主人公が、失踪したすみれを探しにギリシャに行ったところから、10~20ページぐらいかもしれませんが、描写がおかしくなり、表現が急に安っぽくなり、エセ文学的になりました。でも、すぐに、いつものハルキに戻りました。その時に、この作品はもしかしたら・・・と思ったのですが。..." もっと読む

"...セックスフレンドはいるけど、孤独。夫はいるけど、孤独。 この「軽い孤独」が現代にあっているのかな。 舞台のギリシアの描写もとてもいい。孤独だけど。" もっと読む

"...SFファンタジー的な記載が感情移入できない。 すけべな描写が多い。 キザな修飾記述多過ぎてうざい。 物語がよくわからない..." もっと読む

3人のお客様が「文章」について述べています。2肯定的1否定的

お客様はこの小説の文章について意見が分かれています。オシャレで読みやすい文章であることを高く評価していますが、描写がおかしくなり表現が安っぽくなり、エセ文学的になったという指摘もあります。また、20ページ以上になると描写がおかしくなり、エセ文学的な内容になっていると指摘する声もあります。

"プロットはでたらめの一つ星だけど、この作者の人気の一端はオシャレで読みやすい文章にある、ということが確認できただけ、★ひとつおまけをしておきました。..." もっと読む

"...主人公が、失踪したすみれを探しにギリシャに行ったところから、10~20ページぐらいかもしれませんが、描写がおかしくなり、表現が急に安っぽくなり、エセ文学的になりました。でも、すぐに、いつものハルキに戻りました。その時に、この作品はもしかしたら・・・と思ったのですが。..." もっと読む

"無事に商品を受け取りました。ありがとうございました。本の内容については、よく分からなかったです。ただ、著者の読みやすくおしゃれな文章が好きなので、そこは満足でした。" もっと読む

3人のお客様が「日本語」について述べています。0肯定的3否定的

お客様はこの小説の日本語について、何かおかしいと感じています。浮いた言葉が少なく、叙述に好感を持っている一方で、キザな修飾記述が多くうざいという指摘もあります。また、すけべな描写が多いことも指摘されています。物語がよくわからないという意見もあります。

"...本書を読了して、今までとは違った視点で考えさせられることがあったので、☆は5つとした。 第15章は、浮いた言葉が少なく、ああした叙述には好感が持てる。..." もっと読む

"...SFファンタジー的な記載が感情移入できない。 すけべな描写が多い。 キザな修飾記述多過ぎてうざい。 物語がよくわからない..." もっと読む

"とても好きです 何か日本語がおかしいな..." もっと読む

村上春樹の女性観
星5つ中4つ
村上春樹の女性観
ことあるごとに読み返す一冊です。 いやもうほんとにおっしゃることごもっともです、って感じですよ。 人間って孤独なもんですよね、たとえ家族がいようと恋人がいようと。 それでも人は生きていけるしなんなら再生したり救われたりも可能だったりするし。 いやきれいにまとまってますよね。 文章もペロッと読めちゃうんですよ。 村上春樹の文章は基本的に超読みやすいと思っていて 中でもこれは短いしとびきり読みやすいうちの一冊に入ると思います。 また、主人公のKのご都合主義なセックス体験の描写が他の作品と比較すると わりと控えめなので(一体どうしたんだ!?)読みやすいです。 短編集の「レキシントンの幽霊」(1996)もおそろしいほど読みやすいです。 余談ですがあまりにも読みやすいので引っ越しの時に売りました。 ところで、Kへの手紙やフロッピーディスクのなかのすみれの文章、 Kが言っているような心の震えを喚起されるような文章といった印象がないのが残念。 Kはすみれの表現力をいたく買っているんですよ。 そこまで魅力的な文章ならぜひ拝読したいものですが、 実際「これがすみれの文章なんですよ」って提示されたものは その辺の馬鹿な女の子が書いたような文章、って感じなんですよね。 そのあたり村上春樹の女性観というかそういうものが透けて見えるように思います。 (逆説的に私自身の女性観を突き付けられることになっているわけですが) 断片的にはですが、陰毛がどうのこうの的な表現は独特だと思います。 そのあたりが作家志望者たるゆえんということでしょうか? 写真はロドス島のビーチにて、2018年7月。 残念ながらハルキ島に行く時間はありませんでした。
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2024年7月3日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫Amazonで購入
    以前、長編を読んだが、どこがよいのかサッパリわからなかったし、
    短編には面白いものもあったが、それ以上読もうという気は起きなかった。

    作家・作品の好き嫌いは誰にでもあり、世界的に評価され、多くの方に支持されていても、自分には合わなかった、あるいは少数派であったというだけだと思っていた。
    では、なぜ本書を手に取ったのか、それは後で記す。

    そもそも作家一般には、その構想力や筆力で、敬意を持っている。
    小説は余り読まないが、活字はずっと好きだった。
    日本は、知りたいことのほぼ全てを、母語の日本語で読める有り難い国で、本を全く読まない方は、もったいない。
    どんな本でも活字に親しむ方が増えるのは良いことだ。

    本書の出だし感想は、失礼ながら歯の浮くような言葉が並んでいて、読むのが気恥ずかしくなるといった所だった。
    では、なぜ放り出さなかったのか。
    それは、著者の素晴らしさは、どこにあるだろうかという視点で本書を読み始めたからだ。

    本書を読む前に下品だと思ったが、検索語で「村上春樹のどこがよいのですか?」と入れてみた。
    私と同じような感覚の方もいたし、皆さんの返答もまじめなもので参考になった。

    また今回、「村上春樹」の説明ページも読んでみた。
    「評価」として様々な方のコメントが並んでいて興味深く面白かった。
    ざっと目を通したが、あえて肯定的な意見にも目を留めた。

    印象的だったのは、外国の方で、
    ジェイ・ルービン氏の「言葉が読み手の心の中に飛び込んでくる」
    ドナルド・キーン氏の「米国文学の影響を強く受けた村上春樹の小説には興味がない」、

    国内では、河合隼雄氏の
    「現代人の心の傷とその癒しについて多くのことを考えさせられた」だった。

    臨床心理学者としての、河合氏の作品は若い頃、何冊か読んでいる。
    確か彼は、スイスのユング研究所に学んでいた。
    読書という行為を癒やしの視点で捉えるならば、物語読書において、臨床心理学的には「より高次の心の統合性を目指す試み」ということか。

    カウンセリング関係の本も読んだことはあるが、専門家ではないので、すっかり忘れてしまった。
    ただフロイトとユングの大まかな違いや、ユングの集合的無意識やシンクロニシティは面白い発想だなとして覚えている。

    夢は、フロイト的な無意識が抑圧されたものの現れか、
    あるいはユング的な、夢は無意識からのメッセージなのか。
    河合氏がどのような立場で、どんな考えを支持しているかも知らない。
    しかし、ユングにおいては、夢は個人的な無意識の現れで、
    集合的な無意識の現れは、「昔話・神話」を通してであるとされる。

    だとすると、現代の昔話・神話の書き手である現代作家の村上春樹氏の作品を、そうした視点で捉えることも可能であろうし、自分の浅学から勝手に想像すれば、河合氏の好意的な反応もうなずけた。

    ユング的な視点に立てば、村上春樹氏の作品が世界的に受け入れられているのは、人類の集合的無意識の現れだとする見解もありかもしれないし、そんなのは、ただの戯言だとする意見もあり得る。

    もっと単純に、フロイト寄りの、我々が野生動物であった頃の原始的な衝動を無意識がかかえていて、それを作家が開放してくれるから、読者が喜ぶといった解釈も成り立つ。
    喜ぶが通俗的なら、ルービン氏の「言葉が読み手の心の中に飛び込んでくる」でもよい。

    本書を読了して、今までとは違った視点で考えさせられることがあったので、☆は5つとした。
    第15章は、浮いた言葉が少なく、ああした叙述には好感が持てる。

    もし始めたばかりのロシア語学習が継続して、少し文章が読めるようになったら、この第15章をロシア語で見てみたい。
    他の章は、申し訳ないが病的な匂いがして物語に入り込めなかった。
    実は自分自身に病的な(ADHD的・アスペルガ―的)な自覚があり、そうした雰囲気は避けたいという心理が働いているのかも知れない。

    こうした病理学的言葉が流布していない、私の育った昭和であれば、多少変わった人も、それぞれの個性としてとらえ、ゴチャゴチャした社会の中(多くの明治人が存命の時代)で居場所があったと思う。
    現代のように高度に細分化・マニュアル化された社会では、個性的な人物は、より居心地が悪いだろうと想像される。
    だからこそ逆説的だが、本書のような癒やしにもなる物語が受けるのかなと考えた。

    小説は余り読まないし、人が亡くなる話も好まないが、簡潔な文体が心地よいので、たまに「松本清張作品」を開く。
    清張作品の殺人犯も考えようによっては皆病的だ。
    物語の進行上、殺人事件が起きるわけだが、動機としては軽い気がする。
    本作も推理小説仕立てなら、もう何人も殺されているだろう。
    大事件が起きずに、マッタリと進行していくのは、かえって健常だという見方もできる。

    まあ、日常生活の落とし穴、日常に潜む危険・恐怖・狂気、心の闇などを、作家の執念で紡ぎ出す物語は、表現方法は違っても同じなのかもしれない。

    いずれにしても、私には文学的な感性が不足していて、小説を癒やしの為に、七面倒臭く読みたいとは思わないが、もしかしたら自分も癒やされているのかも知れない。
    だが、やはり私には「米ソのロケット開発物語」といった本の方が癒しとなるかな。
    それで結局は、キーン氏のように、好みは人それぞれということに落ち着くし、
    本書には興味深いことに、小説を好まない人間の心理も上手く描写されている(p.34)。

    それと本書を手にした理由は、ロシア語版を先に入手したからだ。
    ロシア語版は、内容を知らずに買った。
    気まぐれのロシア語学習は、まだ33文字もおぼつかない。
    すぐ止めるかもしれないが、初歩の段階でロシア語の本を手元に置くと嬉しい気持ちになる。

    ソ連の「スプートニク」という響きは、自分にとっては懐かしい。
    ソ連時代の輝かしい題名に惹かれて購入した年配のロシア人がいたら、本書の感想を訊いてみたいものだ。
    文中にも説明があるが、ロシア語のスプートニクを「露和辞典」で再度確認した。

    意味は、①「道づれ」(文例に「旅仲間・人生の伴侶」)②「つきもの」(用例として「失業は資本主義につきものである」)③「衛星」④「人工衛星」とあった。『博友社ロシア語辞典 昭和50年 第1版』より。
    「つきもの」の例文が時代を感じさせる。【作家には「憑き物」が、SPUTNIKだ!?】(以上)
    9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2023年9月23日に日本でレビュー済み
    フォーマット: Kindle版 (電子書籍)Amazonで購入
    これはミステリ風でいて異国の雰囲気をたっぷり味わえる盛り合わせみたいな小説。すみれという女性がとても魅力的。読後感より途中の盛り上がりがいい。
     自分が失われてしまうっていう感覚は、どんなんだろう。なにかが出来なくなるとか老いを感じるということはあるけど、この小説に出てくることはそうじゃない。あちらとこちらの問題となっているけど。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2024年8月18日に日本でレビュー済み
    フォーマット: Kindle版 (電子書籍)Amazonで購入
    入り組んだ感情を持つ人たちの、誰一人報われることのない恋の物語かと思っていたのですが、後半からは急にオカルトが入ってきます。
    そしてそこから、それまでもちょこちょこ垣間見えた哲学的な描写が非常に色濃く現れるようになり、物語の世界に圧倒されました。

    ただ、ラストのあれは夢なのか現実なのか、こちら側からなのかあちら側からなのかは判然としません。
    解釈によって結末の印象が大きく変わるので、読後感はすっきりしないような、何とも言えない気持ちにさせられました。

    この物語を完全に理解するには繰り返し読んでの考察が必要です。
    そんな時間があるなら積読本を消化したいので、私はよくわからないままこの作品は終わりにしますが、完全に理解は出来なくても、読み物として十二分に楽しめる出来でした。
    4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2024年8月28日に日本でレビュー済み
    フォーマット: Kindle版 (電子書籍)Amazonで購入
    一度では理解しきれない部分が多くあると思う、もう一度時間をおいて読みたい
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2023年9月16日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫Amazonで購入
    すばい対応
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2024年2月17日に日本でレビュー済み
    フォーマット: Kindle版 (電子書籍)Amazonで購入
    すみれ がお気に入りの登場人物です こういう感じの人 確かに居るなと思う
    ギリシャの島に 行きたくなります
    何か 明確に聞いてある訳じゃないんだけど 生きていく力が 沸いてくると思う
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2025年3月13日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫
    「スプートニク」は、1957年に旧ソ連が打ち上げた世界初の人工衛星で、1号は無人、2号はライカ犬を乗せていた。しかし、衛星は回収されず、そのライカ犬は、宇宙における生物研究の犠牲になった。という記述が冒頭に記されています。
    作家志望の「すみれ」は22歳。大学を中退し、28歳までという約束で親から支援を受けながら、小説のプロトタイプのようなものを毎日、書き続けている。
    主人公の「ぼく」は、「すみれ」の2年先輩で、大学を卒業後、今は小学校教師となっている。
    「ぼく」は、「すみれ」の書く小説の世界でただ一人の読者である。そして、「ぼく」は、「すみれ」に恋している。とても強い恋だ。
    しかし、「すみれ」が22歳の春に、生まれて初めて恋をした相手は17歳年上の既婚者で、更に女性だった。
    その女性は実業家で「ミュウ」という愛称で呼ばれている。
    「ミュウ」が、ビートニクの作家、ジャック・ケルアックのことを「スプートニクっていうやつでしょう?」と言ったことから、「すみれ」は「ミュウ」を「スプートニクの恋人」と呼ぶようになった。
    「ぼく」→「すみれ」→「ミュウ」というどこまでも一方通行であり続ける恋の行方は?
    「すみれ」は「ミュウ」の秘書のような立場になり、商用でヨーロッパまで一緒に出かけることになります。
    そして、ひょんなことからギリシャの小島にバカンスがてら滞在することになるのですが、島に滞在して数日後に「すみれ」はパジャマとサンダルだけの格好で、忽然と姿を消してしまいます。
    「ぼく」は「ミュウ」から突然の電話連絡を受け、取る物もとりあえずギリシャに向かいます。
    その島の滞在先で、「ぼく」が「すみれ」の残した文章から知りえたこととは・・
    昔、パリでピアノを学んでいた「ミュウ」は、25歳の時、フランス国境に近いスイスの小さな町を気に入り、しばらく滞在することに。しかし、その町で「ミュウ」は信じられない光景を目にし、一晩で髪は真っ白になり、生の喜びのようなものを奪われてしまいます。
    その秘密を「ミュウ」から聞き出した「すみれ」は「ミュウ」に愛を打ち明けますが、「ミュウ」はどうしても気持ちを交えることが出来ません。
    それが「すみれ」が姿を消した理由なのか?
    果たして「すみれ」は再び姿を現すのか? それとも「スプートニク」に乗せられたライカ犬のように・・。
    「寂寥」という言葉が小説の中に出てきますが、この『スプートニクの恋人』の全編を覆うのは、もの寂しさでしょうか?
    一つ一つの人工衛星がそうであるように、人々はただすれ違い、また遠のいていく存在であるのか?
    地球の引力に引き寄せられ、大気の中で燃え尽きるまで・・。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2022年1月9日に日本でレビュー済み
    フォーマット: 文庫Amazonで購入
    読みながら、三部作の鼠やノルウェーのレイコさんや、あちら側とこちら側のことなど、これまでの村上作品を思い出したけど、だからと言ってこれまでの焼き直し、という代物ではない。
    あちら側とこちら側、その境に扉があって、それを開くか閉ざすか、留まるか押し込められるか。
    しかも、あちら/こちらは、解放/束縛、魅惑と危険/凡庸と安全といった単純な二元ではない。

    相変わらずの語り口で淡々と、ある時は心地よいリズムで読み進められるのだけど、あちらとこちらについて自らに問いかけるような読み方をしてしまったので、重みのようなものも感じた。

    終わり間近に、主人公が担任しているクラスの小学生が万引きをし、スーパーの保安室に呼び出される章がある。
    この章がとてもよい。
    あちら側とこちら側について自分なりの整理ができるきっかけのような話。
    この章があってラストに繋がったから、わたしは図らずも落涙してしまったのだと思う。
    9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート