マツダ MAZDA3 セダン 「もはや希少なコンパクトセダン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

もはや希少なコンパクトセダン

2025.2.25

年式

2024年10月〜モデル

総評

2019年にデビューしたマツダ3セダンはまとまりのいいスタイリングを特徴とするが、SUVやミニバンの人気に押されていまひとつ存在感が薄い。だが、改めて試乗すると取りまわしのしやすさ、軽快な走行フィール、大きすぎないボディは使い勝手良好。後席も必要にして十分なスペースがあり、トランクルームも広い。デビューからまもなく6年を迎えるが、古さはまるで感じさせない。

満足している点

Cセグメントのセダンとしては上質な仕上がりを見せており、乗り降りや運転のしやすさはもとより、上質なインテリアは1クラス上のモデルと比べても遜色のないレベルにある。価格設定についても先進安全装備や快適装備を充実させているにもかかわらず、メインの20Sツーリングでも280台とリーズナブル。経済性においてもSUVより有利だ。

不満な点

ファストバックと比べるとラインアップが少なく、さらにリーズナブルな1.5リッターガソリン車も用意されない。トランスミッションも6速ATのみの組み合わせで、ファストバックでは選べる6速MTもセダンには未設定。かつてのスカイアクティブXはすでにセダンでは廃止になっているが、イメージリーダーとしてのスポーツセダンはあってもいいのではないか。

デザイン

4

このクラスは実用性を重視したスタイリングになりがちだが、マツダ3セダンはメッキを用いた端正なフロントマスク、湾曲した面が印象的なサイドビューが印象的。オーソドックスなセダンボディでもなかなかスタイリッシュに仕立てられており、ファストバックでは気になった斜め後方の視界もセダンではさほど気にならない。

走行性能

4

20Sツーリングに搭載される2リッターエンジンは最高出力156馬力、最大トルク199Nmを発生し、1380kgのボディには必要にして十分な性能だ。ハンドリングは軽快で、操舵に対するクルマの動きに違和感はない。ワインディングでも安定した乗り味が得られ、ペースを上げて走っても不安な挙動は見られない。

乗り心地

4

まず気付かされるのは静粛性の高さ。エンジンノイズが低く抑えられており、加速時も耳障りに感じられない。前ストラット/後トーションビームの足まわりはやや硬質な印象があり、一般道の荒れた路面やギャップで硬さを感じてしまう。

積載性

4

トランクルームは奥行き1m少々、高さ540mmを確保しており、67Lのスーツケース3つ、もしくは9インチのゴルフバッグ2個を収納することが可能。リヤシートは6:4の分割可倒式を採用しており、スキー板などの長い荷物も積載できる。

燃費

4

WLTCモード燃費は16.7km/L。2L（マイルドハイブリッド）のセダンとしては悪くない数値で、高速＆一般道をおよそ500km走行した際の実燃費は13.9km/Lを実現。ガソリン車に対して車両価格は28のアップとなるが、高い経済性にこだわるならば1.8リッターのディーゼルターボを搭載したXDシリーズを選ぶのも悪くない。

価格

5

マツダ3セダンはFFのみの設定で、ベースグレードの20S Sパッケージは258ほど。快適装備の充実した20Sツーリングでも280台だ。最新の軽スーパーハイトワゴンの200オーバーがザラになりつつあるいま、250台から設定されるマツダ3セダンのプライスタグに、ビックリするほどリーズナブルに感じられるのは自分だけ？