CARVIEW |

【新型カングー試乗】国産ミニバンでは希少なディーゼルが魅力…なのに推しはガソリン?
掲載 更新 carview! 文:西村直人(NAC)/写真:ルノー・ジャポン、西村直人(NAC) 13
ルノーの容積型ミニバン「カングー」が3代目になった
>>全7グレード!ルノー 新型カングーの詳細はカタログへ
>>総合評価4.0超え! ルノー カングーのユーザーレビュー
>>ルノー カングーの専門家の声を聞く
2023年3月から国内販売を開始したこの新型は、高い完成度から考えてカングー人気のさらなる飛躍は間違いなし。歴代で定評のある広いキャビンとラゲッジルームをさらに拡大させつつ、望まれていた走行性能と安全性能の両方をグッと乗用車に近づけたからだ。事実、初期導入モデルは完売間近というからすごい売れ行き。
まずはボディとキャビンの関係から

全長を従来型から210mm延長させ、5人がしっかり乗れる広いキャビン(後席の足元スペースが広くなった)と、従来型から17%以上、拡大させた容量775Lのラゲッジルームを両立。6:4分割可倒式(資料には6:4とあるが実際はほぼ7:3)の後席を倒した前席2名乗車状態では2800Lと同5%拡大させて超広々だ。
前方、側方、そして後方と年々、厳しさを増す衝突安全基準のなかで、物理的に剛性確保が難しいとされる「ダブルバックドア」(いわゆる観音開きのテールゲート)を継承し市場ニーズに応えた。後席両側は電動開閉機構こそ付かないが従来通りスライドドア方式を採用。
ラゲッジはほぼ直角の形状で使い勝手が大幅アップ

>>ルノー 新型カングーの公式画像48枚を見るならカタログへ
>>総合評価4.0超え! ルノー カングーのユーザーレビュー
>>ルノー カングーの専門家の声を聞く
さらに、開口部の四隅がほぼ直角になるような形状も引き継ぎ、地面から床面までの高さも594mmと重い荷物を持ち上げる際の目安となる600mm以下に留めた。つまり、どこからみてもラゲッジルームの使い勝手は大幅にアップした。
とはいえ、カングーは乗用車から派生した日本のミニバン勢とは成り立ちが異なる。新型を含め歴代カングーは商用バンがベースモデルとして存在し、そこに乗用車要素を加えたモデル。だから、トヨタ「ノア&ヴォクシー」、「シエンタ」、日産「セレナ」やホンダ「ステップワゴン」、「フリード」のような全方位で高いユーザー満足度の獲得を狙ったモデルとは根本的に趣が異なる。
国産ミニバンにはないディーゼルが魅力!?

>>意外とお手頃!? ルノー 新型カングーの価格帯
>>総合評価4.0超え! ルノー カングーのユーザーレビュー
>>ルノー カングーの専門家の声を聞く
そんなミニバン天国の日本市場で、違いをもっとも意識するのがパワートレーンだ。国内に導入された3代目カングーは1.3L DOHCガソリンターボ/1.5L SOHCディーゼルターボと2タイプの内燃機関で、前輪駆動モデルのみ(欧州にはBEVの「E-TECH」もある)。
いずれも直列4気筒で直噴化され、7速EDC(湿式のデュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせているが、いわゆるマイルドハイブリッド機構すら持たない。つまり電動化されていないのだ。
しかし、結論からすれば動力性能的に不足なし! ボア×ストローク比が1.3近い超ロングストローク型のガソリンはスペック(131PS/24.5kgf・m)から想像するよりずっと力強く、5000回転あたりまでは軽快に回る。
一方のディーゼル(116PS/27.5kgf・m)はトルクを活かした高速巡航時の安定感が抜群で、静粛性にしても全域で高い。両エンジンとも、7速EDCとのギヤマッチング度合いが高く(エンジン種別でファイナルギヤが異なる)、「ノーマル」、「エコ」、「ペルフォ」から走行モードが選べる。ペルフォはいわゆるパワーモード的な位置付けだ。
直進安定性や先進安全技術も向上
>>ルノー 新型カングーの先進機能一覧はカタログへ
>>総合評価4.0超え! ルノー カングーのユーザーレビュー
>>ルノー カングーの専門家の声を聞く
新設計のブレーキキャリパーは必要十分な制動力を生み出しつつ、多用する減速度(0.1~0.2Gあたりの乗員の頭が揺れない程度)でのタッチが絶妙だ。また、ステアリングのギヤ比を約12%小さくし、同時にダンパーの減衰特性を見直してロール速度を抑えたから(ホイールストローク量は従来型と同じ)、カーブでの運転感覚もずいぶんと乗用車的になった。
直進安定性は国産ミニバン勢と肩を並べる。これには、ルノー/日産/三菱のアライアンス(当時)が開発した「CMF C/Dプラットフォーム」が大きく貢献する。CMF C/Dは日産「エクストレイル」、三菱「アウトランダーPHEV」にも使われていて、メルセデス・ベンツ「Tクラス」に至ってはカングーの兄弟車であり、ボディの外板パネルを部分的に共有する。
先進安全技術も充実させた。代表的なところでは「衝突被害軽減ブレーキ」(歩行者/自転車対応)にはじまり、完全停止型で作動上限170km/hの「アダプティブクルーズコントロール」や、車線中央維持支援「レーンセンタリングアシスト」などを備える(よってSAEの自動化レベル2に準拠)。
シートに不満は残るが最大の魅力はMAX2800Lを誇る驚異的なラゲッジ

>>ルノー 新型カングーのスペック詳細はカタログへ
>>総合評価4.0超え! ルノー カングーのユーザーレビュー
>>ルノー カングーの専門家の声を聞く
1860mmの全幅と1810mmの全高なので、ボディの断面形状はほぼ正方形だ。よって、前面投影面積は大きい。それにも関わらず、空気抵抗係数を極力小さくした賜なのだろう。高速道路での燃費数値は筆者の実測値ながらガソリンで18.0km/L台、ディーゼルが21.0km/L台とカタログのWLTC値を難なく超えた。トヨタのハイブリッド・ミニバン勢には15~20%程度及ばないものの、これなら納得がいく。
乗り味も日本のミニバン勢とは異なる。まずシートサイズが小ぶりだ(筆者は170cm/66kg)。前席、後席とも背もたれ部分のサイズは大きいものの、座面の前後長が短い。また、頻繁な乗り降りを想定した商用バンモデルとシート骨格が同じであることから座面の角がそぎ落とされているので、太ももを中心とした下半身のサポート力にもの足りなさを感じる。ここが惜しい。
加えて、後席になるとそれは顕著で、座面はさらに短くなる。せめて背もたれ部分の角度調整ができれば、いくぶん楽になるのだが……。後席を頻繁に使用するならディーラーで確認したほうがいいと思う。
でも考えてみれば、最大2800Lのラゲッジルーム容量と信頼の走行性能の両立こそ新型カングー最大の魅力だ。ノア&ヴォクシーで2列目シートを使用せず、3列目のシートを格納したキャプテンシート仕様(最大容量状態)でも1563Lだから、カングーの驚異的な数値が際立つ。室内には高さがあり、各部の出っ張りが抑えられているから大きな荷物だって積みやすい。
ズバリおすすめは想像以上に力強いガソリンモデル?
筆者は過去、ミニバイクレース参戦時代にトヨタ「ファンカーゴ」に乗っていた。2列目シートを床下に収納した際のラゲッジルーム容量は2.16立方メートル(2160L)を誇り、車内各所のフックを活用すれば使いやすさはこの上なかった。
初代カングーの成り立ちはまさにファンカーゴのそれ。3代目となった新型では、広大なスペースと確かな走り、そして時代が求める先進安全技術の数々を備え見所を増やした。個人的には、滑らかに発進して力強く加速し、ディーゼルよりも前軸荷重が軽くなることから、サス設定がソフトになるガソリンモデルをおすすめします。
>>全7グレード!ルノー 新型カングーの詳細はカタログへ
>>総合評価4.0超え! ルノー カングーのユーザーレビュー
>>ルノー カングーの専門家の声を聞く
全国のルノー カングー中古車一覧 (454件)
みんなのコメント
ログインしてコメントを書く
査定を依頼する
あなたの愛車、今いくら?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
おすすめのニュース
サイトトップへ-
スポーツ 2025.09.28
トヨタのWEC富士6時間を大きく左右した、ふたつの”エマージェンシーピットストップ”
-
業界ニュース 2025.09.28
新「コンパクトSUV」発表! イタリアンなボディ×オシャレな「ベージュ色」がカワイイ! 燃費が良いエンジンを搭載した特別なフィアット「600ハイブリッド」とは
-
業界ニュース 2025.09.28
3000個限定! ランドクルーザー250 3Dキーチェーン登場
-
業界ニュース 2025.09.28
歩道も車道もモード切替で安全走行! 免許不要で乗れるパナソニック初の特定小型原付「エムユー」の実力とは
-
スポーツ 2025.09.28
ジョアン・ミル、ホンダで初表彰台に「驚きだった。久々に全周回を楽しんだ」/第17戦日本GP
-
スポーツ 2025.09.28
逆転戴冠に向け「窓が開いた」ポルシェと、無得点も「まだリードしている」フェラーリ。バーレーンで決着へ
-
業界ニュース 2025.09.28
360度グリグリ走れる電動バイク!? SF映画に出てきそうな「スクリュー・バイク」 難易度が高すぎるDIY動画に世界中から驚きの声
-
スポーツ 2025.09.28
「ルールの解釈の仕方が違った」結果の“3分ペナルティ”。トヨタ8号車は2周遅れの“テスト走行”に/WEC富士
-
業界ニュース 2025.09.28
新車200台! トヨタ「新シエンタ」どこが変わった? 全長4.2m級「ちょうどイイクルマ」のスゴさとは! “かゆいトコ”に手が届いた「改良点」に旧型オーナーも悔しがる!?
-
業界ニュース 2025.09.28
「ホットハッチの灯が消える…」まだ在庫はある? スズキ「スイフトスポーツ」まもなく販売終了 特別仕様「ZC33Sファイナルエディション」に集まる注目と惜別の声
-
業界ニュース 2025.09.28
約40年前の日産が面白すぎる!! ワゴンがオープンカーに大変身した「日産エクサ」が斬新すぎた!
-
業界ニュース 2025.09.28
【レクサス】「LS」が一部改良!F SPORT専用色の人気の“白”が全グレードで選べるように
あわせて読みたい
サイトトップへ-
コラム 2025.9.28
【シレッと】「シビックタイプR」が販売再開。「レーシングブラックパッケージ」が約18値上げも注文殺到でまたすぐ停止の事態に?
-
コラム 2025.9.28
「センチュリーはそこじゃない!」 豊田章男会長がSNSで反応…配置変更の裏に隠された10月13日の意味深な予告とは
-
コラム 2025.9.28
「驚愕の価格設定」の声。スズキ初のBEV「eビターラ」国内発表に大反響…グレードごとに異なる航続距離が悩ましい?
-
コラム 2025.9.28
「いつになったら手に入るのか」の声。ネットに蔓延る「ランクル250」の “ガソリン車なら買える説”は嘘…供給はいまだ安定せず
-
コラム 2025.9.28
タイカンやモデルSがライバル。北欧発の高級BEVメーカー・ポールスターの“頂点セダン”の価格や実力は?
-
コラム 2025.9.28
“巨大キドニーグリル”時代は本当に終わるのか? BMWデザイン責任者が語る巨大化の背景と未来戦略とは
-
コラム 2025.9.27
「N-ONE e:」発売をネットはどう評価?? 「サクラ」比で100㎞以上長い航続距離、走りに好印象も、価格と質感に不満の声
-
コラム 2025.9.27
「ライズ」に2007人乗り「ライズスペース」計画進行中? コンパクトSUV市場でインパクト大も、ダイハツ不正問題の影響は
-
コラム 2025.9.27
【通常は選べないアノ装備も標準!】三菱「トライトン」に「ブラック エディション」が新登場。精悍なブラック仕上げで存在感アップ
ログイン
あなたにおすすめのサービス
あなたの愛車、今いくら?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
コメントの多い記事 2025.09.28更新
関連サービス
