1.はじめに
本書は2025年9月上旬現在、丸善丸の内本店で平積みされています。
帯に、”運は100%自分次第”とあります。すなわち、運は天は任せではなく科学的な根拠があり、自分の持ちようによりいくらでも変わる、ということです。
個人的には「何事にも100%は無い」と考えているので、この言葉自体を全面的には賛同できません。例えば大学受験であれば、マークシートに勘で黒塗りしたところがたまたま正解だったり、書き問題の大問がたまたま自分の得意分野だったり、なぜかその年だけ受験希望者が少なかったり、ということもあります。
それでも、何の努力も勉強もせずに合格するのは難しいと思いますし、今までの知識を総合的に考えたうえで働いた直感の選択が正解に結びつけられた、得意なジャンルを広げていくことが合格率を高めることにつながる、と考えることもできます。
以下では、印象的だった部分を紹介していきます。
2.内容
(1)運のいい人は世界の中心に自分をすえる
- 自分を世間の標準に合わせる必要はありません。いちばん大事なのは自分です。その自分を最大限に生かすのです。私は、これが運のいい人になるための絶対条件だと思っています。いまの自分、自分の体、自分の考え、自分の価値観、自分の直感など、とにかく自分のありとあらゆるものを生かすのです。
- 他人の尺度でなく、自分の尺度で行動する。他人がどう思うかではなく、自分が心の底から「心地よい」「気持ちよい」と思える行動をするのです。つまり、運がいい人というのは、自分なりの「しあわせのものさし」をもっている⇒そのしあわせの状態を積極的につくり出す努力をしている⇒自己一致の状態(自分を好きな状態)になる⇒人に好かれる、という図式が成り立ちます。
(2)運のいい人は「自分は運がいい」と決め込む
- 根拠はなくとも「自分は運がいい」と決めたしまったほうが、実際に運はよくなるのです。自分は運がいいと思っている人は、「自分は運がいいのに契約が取れなかった。ということは、準備の段階で自分にミスがあったのかもしれない。あるいは自分に勉強不足のところがあるのかもしれない」などと考えます。一方、自分は運が悪いと思っている人は、「自分はこんなに努力しているのに、運が悪かったから契約が取れなかった」と考える。運がいいと思っている人には努力の余地が生まれますが、運が悪いと思っている人にはその余地は生まれない。
- よく、子どもをもった母親が「子どもを育てることで自分が成長できた」と言うのを聞きます。これは実際にそのとおりで、だれかを育てることは自分を育てることにつながるのです。そして、それは実の子どもかどうかは関係なく、他人の子どもであれ、部下や後輩であれ、だれでも目いっぱいの愛情をもって育てれば、自分も共に成長できるのです。
(3)運のいい人は目標や夢を「自分なりのしあわせのものさし」で決める
- 「もし幸運の神さまがいるとしたら、その神さまが放った幸運の矢をとらえる準備ができていたことだ」と私は考えています。その準備の中でももっとも重要なのが、明確な目的を持ち、常に忘れないこと。セレンディピティを発揮した人たちは、自分はこれをやりたい、これを達成したいという思いを強く持っている。
- 運を手に入れられるかどうかは、その人がもともともっている運のよしあしではなく、「ゲームをおりるか、おりないか」の差にすぎないのだ、ともいえるでしょう。そこで、目的や夢へ向かう道のりは常にランダムウォークモデルのように進む、と心得ておくのです。マイナスの出来事が立て続けに起きるかもしれないけれど、いつかは必ずプラス方向に振れるときがくる、と考える。
- 語学を勉強する人がやってしまいがちなのが、漠然と「話せるようになりたい」と考えてしまうこと。語学は所詮、コミュニケーションの手段の1つにすぎません。なので、その手段を使って何をしたいか、どんな状態になっていたいかを具体的に考えるのが重要です。そしてそれを目標に、達成後の自分の姿を頭の中にイメージしつづけるのです。
- 運がいい人といわれる人に共通するのは、自分にマイナスの出来事が起きたときに、けっして自暴自棄にならないことはもちろん、一時は嘆き悲しんだり、苦しんだり、落ち込んだりもしたでしょう。とことん打ちのめされたかもしれません。でもやけっぱちにはならない。ふてくされたり、何もかも投げ出したりはしないのです。ある意味、マイナスの状況をいったん引き受けているのです。そして「では、どうするか」と切り替えている。
3.教訓
結局は、ブレない、降りない、に尽きるということと理解しました。
運を「偶然」ではなく「選択と習慣」の結果として捉える、自分のものさしで信じたことを続けたことが結果に表れる、ということです。
資格試験でも、合格することを目的とするのではなく、合格後にその資格を活かしてどんなことをしたいのかが明確になると、さらに学習意欲は増すし、モチベーションも維持できます。その結果、合格できる確率が上がるのだと思います。
現在、個人的には産業カウンセラーの資格取得を目指して養成講座に通学しています。スクーリングが終わっても、同じ目的を持つ同志と学びを深めながら、一緒に研鑽をしていきたいと考えています。
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