10月に入りました。
虫の声も鎮まり涼しい秋の夜長、皆様いかがお過ごしでしょうか。
シンガーソングライター 宇多田ヒカルさんの著書
「点-ten-」(2009年3月19日初版第一刷発行)を
本棚から取り出して久しぶりに読み返した事や
彼女の音楽にまつわる自分の記憶をつらつら書いていきたいと思います。
生い立ちやデビュー以前、以降のエピソードや
文章で綴られる彼女の鋭い感性に驚かされると共に
飾らない真っ直ぐで素直な言葉から、どこまでも愛する音楽に向き合う姿勢、
批判的ですらある自己分析、苦悩、様々な葛藤と
それを乗り越えようとする強い意志が伝わってきて
背筋が伸びる思いがしました。
音楽ファンにとっても、宇多田ヒカルさんのファンにとっても
貴重な資料となりうる書籍だと思います。
これまで何度か読み返していますが、読むたびに新たな発見がある様に感じます。
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ここ最近、9月19日にCD/配信でリリースされた
宇多田ヒカル、米津玄師両氏の初コラボレーション楽曲「JANE DOE」を
良く聴いています。
・箱庭的でおとぎ話のような世界観
・ふたりの男女のすれ違い(昭和歌謡曲のムードを感じさせる)
・お二方の音楽性の違いにも由来する異質感(歌詞や終盤のヴォカリーズ)
・アレンジの素晴らしさ
秋の夜長、寝付けない心の琴線を揺らしまくる楽曲に出会って
かなり揺さぶられてしまっています。
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ここから個人的な思い出話です。
私が大好きな宇多田ヒカルさんの楽曲に初めて出会ったのは中学生の頃。
実家のリビングにあるテレビを眺めていると
音楽配信チャンネルから流れていた「Automatic」のミュージックビデオに目を奪われ
お小遣い貯めて初めて買った、2枚目のアルバム「Distance」
CDショップから自転車を走らせて急いで家に帰り、一人ラジカセの前を占領して
音量をできるだけ(近所迷惑にならない範囲に)上げて
毎日何度も繰り返し聴いていました。
アルバム表題曲の「Distance」から「サングラス」への流れが特に好きで。
「はやとちり」という楽曲も好き。(リミックスも良いのです)
あんまりにも同じCDを繰り返し聴き過ぎる私の様子を見て
親やきょうだいが呆れ返る位でした。
「Deep River」以降の作品はほどほどに聴いていて、少し熱が落ち着いていましたが
彼女より下の世代、今30歳前後の人は
彼女の20代中旬〜後半の作品
「ULTRA BLUE」や「HEART STATION」に影響を受けた人も
多いんじゃないかなと感じています。
2010年からの活動休止の後、復活し2016年にリリースされた「Fantome」
彼女の歌声の変化、柔らかさと優しさ、熟みが増した声色に
懐かしさではなく全く新しいフェーズの音楽を目の当たりにしている事に気付き
目が覚めるような思いがしたのを覚えています。
2018年の「初恋」に収録されている「あなた」という楽曲が
大切な我が子への愛情を歌った歌だと気付いて涙しました。
(たまたまですが、彼女が息子さんを出産したと報道された同じ年に
私自身にも子どもが生まれたので、
彼女の子への愛情や思いがまるで手にとる様に伝わってきた。そう感じて
共感しやすかったのかもしれません。)
彼女の楽曲は空間や時間、生活に根ざした記憶と強く結びついていて
時間が経ってもその記憶は一向に消える気配がありません。
それこそ今のような季節の境目にふと思い出して聴きたくなるんですよね。
手に取った本や、耳にした楽曲を通して
日々の活力をもらっている毎日。
日夜制作を続けられているアーティストの方々や支えるスタッフの方々に
感謝の気持ちでいっぱいです。
今回もとりとめない内容になってしまいましたが
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!