片親疎外において洗脳を受けやすい子どもの年齢は?
片親疎外とは、簡単に説明すると、一方の親(疎外親)が子どもともう一方との関係を破壊することです。疎外親は、子どもともう一方の親との接触を妨害し続けたり、子どもをを洗脳し、もう一方の親(標的親)を拒絶するように仕向けたり、ときには、積極的に攻撃させます。離婚に際してこの現象が発生することが多く、疎外親は子どもに嘘を吹き込み、標的親に対して嫌悪感を持つよう仕向けます。時には、「標的親による虐待があった」といった事実無根の記憶を子どもに植え付けることすらあります。
一般的には「幼い子どもの方が騙されやすく、成長するにつれて洗脳を受けにくくなる」と考えられがちですが、実際には 年齢が高い子どもの方が片親疎外影響を受けやすく洗脳されやすい ことが知られています。
- 片親疎外において洗脳を受けやすい子どもの年齢は?
- 年齢の高い子どもの方が洗脳されやすい実例
- 実際の取材から明らかになった事実
- 親権・監護権を巡る裁判が疎外親に有利に働く
- 年齢の高い子どもの方が洗脳されやすい理由
- 年齢が高い子どもの方が片親疎外による洗脳が深刻化しやすい
年齢の高い子どもの方が洗脳されやすい実例
幼少期に離婚を経験した子どもは標的親を探す傾向がある
幼い頃に離婚を経験し、疎外親によって標的親との接触を断たれた子どもは、成長とともに「自分にはもう一人の親がいるはずだ」と考え、標的親を探し、関係を再構築しようとする傾向があります。
標的親との関係修復を望む子どもの平均年齢は18歳とされています。中には、48歳になって初めて片親疎外の事実に気付き、標的親を探し出したケースもあります。
十代で片親疎外が始まると洗脳されやすい
思春期に片親疎外が始まると、標的親への拒絶がより強固になりやすい傾向があります。標的親に対して激しい侮蔑の言葉を投げかけるだけでなく、関係修復を試みる兄弟姉妹からの呼びかけにも一切耳を貸さないことが少なくありません。
このドキュメンタリー映画では、比較的幼い時期に片親疎外を受けた子どもは、後年になって標的親との再会や関係修復を試みるケースが多い一方で、十代で片親疎外を受けた子どもは、標的親との関係を徹底的に断ち切ろうとする様子が映し出されています。
象徴的なのが、片親疎外により離れ離れになった兄妹のエピソードです。
幼いときに片親疎外を経験した妹は兄との関係を取り戻そうと何度も試みますが、疎外親に強く洗脳された兄はそのすべてを拒み続けます。年齢の高い子どもの方が洗脳されやすく、その洗脳が解けにくいのです。
実際の取材から明らかになった事実
今回の記事は、紹介したドキュメンタリー映画の作者が発信する情報と、実際に片親疎外によってティーンエイジャーの子どもたちから拒絶を受けている自分の経験をもとに作成しています。
この動画の中で、作者は、実際の取材を通して分かってきた、当初の予想と大きく違ったことの一つが、小さい子どもよりも、年齢の高い子どもの方が、疎外親による洗脳を受けやすいことだったと述べています。
親権・監護権を巡る裁判が疎外親に有利に働く
アメリカなど共同親権が法制化されている国においても、片親疎外は大きな問題となっており、多くの親子が断絶しています。その理由の一つに、親権や監護権を巡る裁判が疎外親に有利に働くことが挙げられます。
裁判では「子どもがある程度の年齢に達したら、子どもの意見を聞く」というプロセスが行われることがあります。しかし、実際には、ある程度の年齢に達した子どもほど洗脳されやすく、裁判の過程で疎外親の側を選び、標的親への負の感情を表明するケースが多いのです。
片親疎外を巡る裁判や社会情勢では、このように、いわゆる一般的な常識や習慣が、事態の悪化を招き、子どもを虐待親の元へ留めることが多く発生します。
年齢の高い子どもの方が洗脳されやすい理由
1) 損得勘定と親以外に大事なものがある
幼い子どもは、世界が自分と両親で完結しているようなものです。お父さんやお母さんと一緒に遊びたい、そばにいてほしいという純粋な気持ちで、両方の親の存在を強く望みます。そのため、片親疎外によって一方の親との接触を断たれると、単純に「寂しい」と感じます。
一方で、十代になると、物事を損得で判断する能力が発達し、親以外にも大切なものが増えてきます。学校生活、友人関係、趣味、恋愛など、親の存在が生活の中心ではなくなっていきます。
このような時期に、例えば標的親との面会をめぐり、疎外親から「標的親と会わなければ新しい自転車を買ってあげる」といった取引を持ちかけられたとします。この年齢の子どもは損得を計算できるため、「一度面会を断るだけで新しい自転車が手に入るなら、その方が得だ」と合理的に考え、面会を拒むようになります。
2) 疎外親が発する空気(ボディランゲージ)を理解できる
子どもが標的親を拒絶するのは、子ども自らが疎外親の標的親への嫌悪感に同調するからです。疎外親の手法として、子どもに標的親のネガティブキャンペーンを展開し、拒絶するように嘘を吹き込みます。
十代になると、このような言葉だけでなく、疎外親が発する空気(ボディランゲージ)を理解できるようになります。
私が面会時に子どもたちを迎えに行くと、モラハラ妻は子どもたちに口では「お父さんと出かけたいの?」と言いますが、態度は明らかに「一緒に行ってほしくない」と伝えています。十代の子どもたちはこの空気を敏感に察知し、「お父さんと一緒に行きたくない」と答えます。
ボディランゲージは、実際に口から発する言葉よりも強力な影響を与えます。
3) 忙しい
十代になると、学校の勉強、部活、友達との付き合い、恋愛などで忙しくなります。標的親との面会や、疎外親からの片親疎外を振り払って標的親との関係を築くことが、時間的にも精神的にも負担になってきます。結果として、標的親との面会や関係構築を拒絶した方が楽だと感じるようになります。
4) 反抗期
思春期になるとイライラすることが増え、親に対する反抗心が強まります。片親疎外の環境では、疎外親が標的親への反抗を肯定するため、子どもは安心して標的親に対して反抗することができます。こうして、反抗期の感情のはけ口が標的親に向けられるようになります。
5) 良かったころの記憶がある
幼児の頃に片親疎外が始まった子どもは、さらに小さい時の記憶がないため、「なぜかわからないけど一方の親と会えない」と漠然と考えています。
十代になってから片親疎外が始まる場合、子どもは家族がうまくいっていた頃の記憶を持っています。誕生日パーティー、家族旅行、一緒に楽しく過ごした時間など、幸せだった頃の思い出が残っています。
そのため、十代にとって両親の離婚は、ただの家族の変化ではなく、深い悲しみとショックを伴う出来事になります。
疎外親は、この子どもが受けた悲しみを標的親への憎しみに変換します。標的親が離婚の原因を作った、もしくは身勝手に離婚を選択したと主張し、すべての責任を標的親に押し付けます。そして、疎外親も子どもも「共にその犠牲者である」という印象操作を行います。
十代の子どもは、離婚の悲しみとショックが大きいため、それが標的親への強い憎しみに変わります。「家族の幸せを壊したのは標的親だ」と思い込むようになります。
また、家族がうまくいっていた頃の良い思い出がある分、それを否定するために「標的親は非常識で酷い親でなければならない」と考えます。そうでなければ、過去の幸せな記憶と現在の憎しみが矛盾してしまうからです。
その結果、標的親をこれ以上ないほどの悪者に仕立て上げ、徹底的に拒絶するようになります。
この状態が続くと、過去の記憶が完全に歪められることもあります。良かった頃の記憶は消え去り、標的親は「常に自分に虐待を加えていた」「無視していた(ネグレクト)」という認識にすり替えられてしまいます。
私の長男が現在この状況でした。私は、子供達とはそれなりに沢山の時間を一緒に過ごして来ましたが、この記憶が完全にねじ曲がり、父親は、子供達と全く遊ぼうとしなかったとか、大事なときに一緒にいなかったと記憶しています。
6) 人格障害の世代連鎖
片親疎外を引き起こすのは、多くの場合、人格障害的な特徴を持つ親(疎外親)です。彼らは極端に利己的他罰的な思考を持ち、自分の非を認めることができず、対人関係での操作的な行動が顕著です。そして、人格障害は世代を超えて連鎖する傾向があります。毒家系の毒は連鎖します。
人格障害者の最大の特徴の一つは、自分の誤りを決して認めないことです。特に片親疎外のケースでは、洗脳を受けた子どもが大人になったとき、その影響がどのように現れるのかを考えることが重要です。
人格障害の親のもとで育ち、監視役の標的親を失い、十代以降に片親疎外の影響を受けた子どもは、洗脳から抜け出すことが困難になる理由の一つが、人格障害を受け継ぐことで「自分が間違っていた」と認めることが難しくなるからです。ある程度成長した後に洗脳された場合、「幼かったから仕方がなかった」という言い訳も通用しづらくなり、さらに自分の間違いを認めづらくなります。
そのため、「標的親は悪者でなければならない」という心理が働き続け、たとえ事実と矛盾する証拠があったとしても、標的親への憎しみを持ち続けようとします。これは、疎外親の自己正当化のメカニズムと非常に似ています。
先に紹介したドキュメンタリーでは、「年齢が高くなってから疎外を受けた子どもが標的親との関係修復を強く拒否する」様子が描かれています。この背景には、人格障害の世代連鎖が関係しており、その影響を直感的に理解できる場面が多数見られます。
このように、人格障害は単なる個人の問題ではなく、家庭環境や教育の影響を通じて次世代へと受け継がれていきます。
年齢が高い子どもの方が片親疎外による洗脳が深刻化しやすい
比較的大きな子ども、特に十代の方が、幼児期の子どもよりも片親疎外に深くはまりやすく、標的親への強い拒絶を示し、時には激しく攻撃することがあります。
それは、十代ならではの独特な理由があるからです。
損得勘定ができるようになり、親の言葉だけでなく、態度や空気感から発せられる“波動”を敏感に感じ取るようになります。日々の生活が忙しくなり、片親疎外に抗う時間的・精神的な余裕がなくなります。流れに身を任せた方が楽だと感じるようになり、疎外親によるネガティブな働きかけに流されやすくなります。反抗期の感情を利用され、標的親への敵意が増幅されることもあります。また、かつての家族の良い記憶を否定しなければならないという心理が働き、標的親を過剰に悪者扱いするようになります。
十代の子どもからの拒絶に苦しんでいる標的親のみなさんの辛さは、計り知れません。しかし、この拒絶は、標的親自身に問題があるからではなく、十代特有の心理や状況によるものなのです。
もし、この状況に心当たりのある標的親の方がいれば、これらの理由を理解することで、拒絶されることへの苦しみがほんの少し軽くなるかもしれません。離婚によって子どもを傷つけてしまった申し訳なさを抱えつつも、「これは十代特有の反応なのだ」と思えれば、気持ちに余裕が生まれることもあるでしょう。
片親疎外がなかったとしても、思春期には親への反抗や距離を取る時期があったかもしれません。親と一緒に過ごすよりも、友達や恋人との時間を優先し、社会的なつながりを築いていくことも、子どもの成長には大切な過程です。
この状況は決して簡単ではありませんが、今はただ、子どもの成長を信じて見守ることも、ひとつの選択肢かもしれません。
また、片親疎外を子どもの立場で経験された方にとって、本記事や当サイトの他の記事が「目覚め」のきっかけとなることを強く願っています。もし、ご自身がどちらかの親との断絶を経験し、その原因が片親疎外であると気付かれた場合は、ぜひ関係の再構築を考えてみてください。一組でも多くの断絶された親子が再びつながり、断絶親子が少しでも減ることを心から願っています。
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