本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、富士通 執行役員常務 CSSOの山西高志氏と、Dell Technologies グローバルCTO 兼 CAIOのJohn Roese氏の「明言」を紹介する。
「“CSSO”としてサステナビリティー経営をグローバルにドライビングしていきたい」
(富士通 執行役員常務 CSSOの山西高志氏)

富士通 執行役員常務 CSSOの山西高志氏
富士通の執行役員常務でCSSO(Chief Sustainability & Supply Chain Officer:最高サステナビリティー&サプライチェーン責任者)を務める山西高志氏は、同社が先頃開いたサステナビリティー経営についての記者・アナリスト向け説明会で、上記のように述べた。CSSOという役職はまだ珍しいが、同氏の説明を聞いて企業の在りようを追求する重要な役割だと感じたので、CSSOとしての前向きな姿勢を示した発言を明言として取り上げた。
山西氏は富士通でサプライチェーンおよび調達の業務に長らく従事し、2024年4月にCSSOに就任した。同氏はCSSOの役割について、「当社でCSSOに就いたのは私が初めてだが、前任者でサステナビリティー領域を担うCSO(Chief Sustainability Officer)に“S”がもう1つ加わった格好だ。私はこれを、サステナビリティー経営にサプライチェーン変革が不可欠なことから、それを“理念から実行へ”と進めるのが自らの使命だと受け止めている」と説明し、「CSSOとしてサステナビリティー経営をグローバルにドライビングしていきたい」と力を込めた。この発言を明言として取り上げた(図1)。

(図1)CSSOの役割(出典:富士通の説明資料)
富士通はサステナビリティー経営の実現を目指している。その姿勢は、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」との同社のパーパス(存在意義)からも見て取れる。その上で、同社は2030年に向けて「デジタルサービスによってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニーになる」とのビジョンを掲げている。
このビジョンに向けて取り組むことにより、成長と企業価値向上を図っていこうというのが、同社が考える「価値創造の道筋」だという。
そこで、同社ではビジョンに向けた取り組みとして、「必要不可欠な貢献分野」と「持続的な発展を可能にする土台」からなるマテリアリティー(重要なテーマ)を定めた。同社が考える価値創造の道筋からすると、その位置付けは「中期経営計画」も合わせて図2に示すような構図となる。

(図2)価値創造の道筋(出典:富士通の説明資料)
筆者は以前にも山西氏を取材したことがあるが、価値創造の道筋を示したこの図を見るのは初めてだ。この図の詳しい説明はなかったが、中期経営計画の位置付けなど興味深い点が見て取れる。
ちなみに、必要不可欠な貢献分野のマテリアリティーとしては「地球環境問題の解決」「デジタル社会の発展」「人々のウェルビーイング(心身の健康や幸福)」、持続的な発展を可能にする土台のマテリアリティーとしては「テクノロジー」「経営基盤」「人材」と、それぞれ3つをメインカテゴリーとして位置付け、それぞれの下に合計25のサブカテゴリーを設定している(図3)。

(図3)マテリアリティーの概要(出典:富士通の説明資料)
今回の山西氏の話を聞いて、改めて富士通のサステナビリティー経営の実現に向けた道筋が一段とブラッシュアップされていることを感じた。あとは同氏が言うように「理念から実行へ」と突き進めるか、注目していきたい。

