トヨタ ピクシスエポック 「これぞ本物のエコカー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

これぞ本物のエコカー

2022.6.21

年式

2017年5月〜モデル

総評

まさに軽自動車らしいクルマだと思います。昨今は軽自動車でも上級化が著しいですが、それとは逆にシンプルで低価格を目指した、軽自動車の原点に立ち返った1台。そのコンセプトに共感できる人にはジャストな選択になることでしょう。

満足している点

リーズナブルなプライス、そして低燃費。本当に人にやさしいクルマとはどんなクルマかを考えたコンセプトで、ベーシックに徹することでそれを実現しています。豊富な装備よりも価格を重視するクルマ選びに最適なチョイスになるでしょう。

不満な点

左右一体で後席を折りたたむだけと、荷室のアレンジが少ないのは気になるところ。ただ、これはシンプルで安価で買いやすいことを重視した商品企画ゆえに、なるべくコストをかけずにという狙いに従ったものです。ここは価格を下げるために割り切った部分で、多様なアレンジを望むなら上位車種を選ぶのが正解といえるでしょう。

デザイン

2

今ベーシックスタイルの軽自動車を選ぼうとすると、スズキ アルト＆マツダ キャロル（アルトのOEM）もしくはダイハツ ミライース＆トヨタ ピクシス エポック（ミライースのOEM）の二択となります（ミラ トコットもあるがやや価格帯が高い）。ピクシス エポック（ミライースと同じデザイン）は丸みを帯びたデザインのアルトに対してソリッドな面で構成されたスタイルで、どちらかといえば少し事務的な感じがするピクシス エポックですが、こちらのほうが好みという人もいるかもしれません。

走行性能

3

ベーシックな軽自動車なので特筆すべきポイントはありませんが、軽量ボディゆえにキビキビと走り、ハンドリングやコーナリング性能も、軽さによる自然な感覚に好感を抱きます。動力性能も同様で、エンジンは特にパワフルというわけではありませんが、車両重量の軽さのおかげでワゴンやハイトワゴンの自然吸気エンジン搭載車に比べるとスッと前へ出てくれます。

乗り心地

4

快適な乗り味です。その理由は、車体が軽いので足回りを固めずに済んでいること。あらためて軽さって正義だと思います。ただ、段差などで大きな入力があるとドン！ と突き上げる感じが乗員に伝わってくることも。シートは前後とも立体的なデザインになっていて、しっかり身体を支えてくれるつくり。意外な美点は、後席座面のストローク感がよく、後席も座り心地が良いところです。

積載性

2

軽自動車にしてはめずらしく荷室の奥行を深めに作られていますが、気になるのはアレンジの少なさです。最近の軽自動車は左右独立でリヤシートスライドや折り畳みができるのが一般的ですが、ピクシス エポックでは折り畳みのみ。しかも左右一体でしか倒せないので、荷室を広げる際は強制的に2名乗車となってしまいます。

燃費

5

WLTCモードで25.0km/Lという低燃費は、パワートレインの高効率化と車体の軽さで実現したものです。誰が運転してもアクセルを踏みすぎないようにさえ気を付ければ、優れた燃費を引き出せるのがこのクルマの優れたところ。郊外の道を淡々と走るのであれば、20km/L超えも楽に実現します。

価格

5

誰でも手が届く買いやすさがこのクルマの魅力。そもそもそういうコンセプトで開発されたクルマだけに、もっともベーシックなグレード「B」では86万200と驚きの価格を実現しています。ただし、さすがにこのグレードは衝突被害軽減ブレーキなど、先進安全機能が装備されません。パーソナルユースなら、ホイールキャップや衝突被害軽減ブレーキを備える「L“SAⅡ”」以上をおすすめします。