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【試乗】フォルクスワーゲン ゴルフGTI(7代目・最終モデル)|世代交代直前まで行われた改良でなめらかなフィーリングに
カテゴリー: フォルクスワーゲンの試乗レポート
2021/05/02

45年ものあいだ作り続けられるスポーツグレード
フォルクスワーゲン ゴルフの中でもスポーツモデルといえば“GTI”である。
少し歴史的なお話をすると、1975年に初代ゴルフに設定されて、今回試乗する7代目のファイナルモデルまで45年ものあいだ作り続けられている、モンスター的なグレードである。
初代はコンパクトで強靭なボディに、インジェクション仕様のエンジンで110馬力を発揮した。この当時の責任者でチーフデザイナーであったヘルベルト・シェーファーが、当時ジウジアーロ(※編集部注 カーデザインの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ)が描いたゴルフの基本デザインを改良して、世に送り出したのである。
このヘルベルト・シェーファーは無類の「スポーツの方のゴルフ」好きで、GTIのシフトノブはゴルフボールをモチーフとしてデザインされた。
当初は5000台の限定的な生産であったが、人気のために増産して、ファーストモデルは実におよそ46万台も販売した。GTIはその後、着々と販売台数を伸ばして7代目まで延べ230万台以上が販売された。
そしていま、8代目が日本でも販売されようとしているが、エンジンには今回試乗する7代目のGTIのユニットを熟成させた、EA888 evo4というユニットが引き継がれる。


年次改良による見えない進化をはっきり感じる
その7代目ゴルフGTIの最終型を、山中湖で試乗したのでお伝えしたい。
基本的には、アップダウンのあるワインディングでの試乗だ。ゴルフ自体、世代が進化するにつれて大柄なボディサイズになったということもあって、GTIというネーミングにふさわしいキビキビとした雰囲気を失いつつあると思う方もいるであろう。
このプラットフォームはMQBの第1世代の、いわば先を見越してのモノであって、練りに練った骨格である。FFにハイパワーでも、キャビンと動力のフロントセクションに一体感があるフレームだ。
7代目のゴルフGTIが日本で発売するか否かのころに試乗した記憶をたどると、苦慮したDSG(ツインクラッチ式のAT)のセッティングも滑らかで、FFでありながらトラクションも良好であった。しかし欲を言えば、もっとエンジンとトランスミッションのしなやかさが増して、サスペンションも軽快さを感じさせられればいいと感じていた。
フォルクスワーゲンは、年次ごとに見えないブラッシュアップを怠ることがない自動車メーカーだ。国産車でも、最近になって年次改良をアピールしているが、フォルクスワーゲンの沈黙の年次改良は、私が知る限り20年以上前から行っている。これらの考え方を日本のエンジニアにももっと早く浸透させられれば、これまでの車作りがまた違ったものになっていただろう。


久しぶりのゴルフGTIだ。峠に差し掛かる直線で、少し踏んでみる。乾いたエグゾーストノートと、切れが最高のシフトアップで気持ちが高揚する。以前に試乗したときよりも発進とシフトアップもスムーズで、ギクシャク感が一気に減少した。動力伝達系だけでも進化が見え隠れする。
路面のごつごつとしたアンジュレーションを適度なインフォメーションとしてドライバーに伝えながら、同時にアライメント変化を最小限にとどめて、車の挙動を安定させるセッティングだ。雨天時の中高速コーナーでも安心できるセッティングである。
タイトなワインディングに差し掛かったところで、パドルでのシフトダウンを繰り返す。正直言ってエンジンブレーキの利きは良いとは思えないが、コントロール性の高いブレーキで補っている感じだ。
大柄なボディの車はタイトなコーナーを苦手とするが、ゴルフGTIはターンインがスムーズで、フロントヘビィにもかかわらずドライバーのステアリングには一切重みを感じさせない。これは、どこをどう改良しているか不明だが、7代目の初期のGTIよりも進化したフィーリングになっている。サスペンションもしなやかで、ロールを抑えてインパクトハーシュネスも穏やかにさせる。
性能を向上させて、より快適でパフォーマンスの高いFFハッチバックとなった。FFでこれほどまで全天候安堵してステアリングを握れる、ハイパフォーマンスのハッチバックはない。それが、最終年次となっても手綱を緩めず改良を行った、ゴルフGTIなのである。



【試乗車 諸元・スペック表】
●GTI
型式 | ABA-AUCHH | 最小回転半径 | 5.2m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.28m×1.8m×1.47m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.64m |
ミッション | 6AT | 前トレッド/後トレッド | 1.54m/1.51m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1380kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.13m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
トルネードレッド、アトランティックブルーメタリック、ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、タングステンシルバーメタリック |
||
オプション色 |
オリックスホワイトパールエフェクト |
||
掲載コメント |
- |
エンジン型式 | CHH | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 50リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 14.6km/L |
総排気量 | 1984cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 230ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
350(35.7)/4600 |
型式 | ABA-AUCHH |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | 6AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | トルネードレッド、アトランティックブルーメタリック、ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、タングステンシルバーメタリック |
オプション色 | オリックスホワイトパールエフェクト |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.2m |
全長×全幅× 全高 |
4.28m×1.8m×1.47m |
ホイール ベース |
2.64m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.54m/1.51m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1380kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.13m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | CHH |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1984cc |
最高出力 | 230ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
350(35.7)/4600 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 50リットル |
燃費(JC08モード) | 14.6km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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