トヨタ ヴェルファイア(2代目)▲アルファード(3代目)とともに高い人気を誇るヴェルファイア(2代目)。生産終了から2年を超え、流通量が順調に増えてきた

中古車としての旬を迎えつつある2代目ヴェルファイアに注目

高級×ミニバン×ちょっとスポーティの掛け算が、こんなに成功するとは! アルファードの兄弟車であり、独自のポジションを確立したヴェルファイアだ。

2008年、2代目アルファードのときに初代ヴェルファイアが誕生し、2015年に2代目へと移行、2023年に登場した現行型は3代目となる。その中でも今、中古車としての魅力が増しているのは2代目。流通量が増え、価格帯が一気にダウン、総額150万円台から狙える物件も流通し始めた。

2代目ヴェルファイアといえば、外装、内装のデザインが一気に洗練し、パッケージそのものも進化。安全装備などの内容も充実していった時期のモデルだ。2年ほど前まで現役だったこともあり、古くささを全く感じさせないのも中古車として魅力的なポイントのひとつだろう。

今記事では2代目ヴェルファイアの特徴を改めて振り返りつつ、当時のグレード体系などを整理。最新の中古車概況を分析するとともに、オススメの中古車を検討する。ぜひ中古車購入の参考にしてほしい。

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲基本性能はアルファード(3代目)と同じ。主に外観で差別化が図られていた

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1.モデル概要:スポーティさと高級を良質した精悍ミニバン

2段構えのヘッドランプが印象的なヴェルファイア(2代目)のフロントマスク。初代で好評だったデザインは、2015年1月にデビューした2代目にも受け継がれ、より大胆に進化した。

フロントグリルは大型化され、バンパー部分に食い込む意匠に。スポーティさと迫力を併せ持つ巧みなデザインワークとなっている。標準仕様の他にエアロ仕様となるZ系グレードが設定されており、両者で明確に異なるデザインが与えられているのも特徴だ。

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲ホログラム層を下地に仕込んだ木目調パネルを採用するなど内装も凝っていた

ボディサイズは全長:4930~4935mm×全幅:1850mm×全高:1880~1950mm(いずれもデビュー時)。トヨタ最大級&最高級のミニバンらしい、風格あるルックスとなっている。初代よりも全長が長く、全幅はほぼ同じ。全高はかなり低くなったが、低床化したことで初代と同等の車内高が確保された。

その低い全高は見た目だけでなく、走りにも利いている。スポーティさと快適さを両立した乗り味で、重量級ミニバンであることをあまり感じさせない。乗り心地がよいのはもちろんだが、ハンドリング性能もなかなかのもので、運転することを楽しめるミニバンだ。

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲2列目シートを後方に下げると、助手席をスーパーロングスライドできる機構を装備

パワーユニットの構成は2.5Lガソリン、3.5Lガソリンとハイブリッドの3種類で、アルファード(3代目)と一緒。2.5Lガソリン、3.5Lガソリンには2WD or 4WDが設定されるが、ハイブリッドはリアをモーター駆動とした四輪駆動のみとなっている。

広大で高級感あふれる車内もアルファードと共通の長所だ。グレードによって2列目シートがベンチタイプとなる8人乗り仕様と、キャプテンタイプとなる7人乗り仕様があり、さらにエグゼクティブシートを採用するグレードもある。一部グレードには、最大1160mmものスライド量をもつ助手席スーパーロングスライドシートも装備された。

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲2列目エグゼクティブシートはファーストクラスを想像させる座り心地

膨大なバリエーションも特徴のひとつ。主なグレードは下記のとおりだ。

「X」(~2021年4月):2.5L車、ハイブリッド車のベーシックグレード。8人乗り
「Z」:2.5L車、ハイブリッド車(2017年12月~)のエアロモデル。7人 or 8人乗り。Aエディション、Gエディションの設定あり
「V」(~2021年4月):2.5L車、ハイブリッド車の中級グレード。7人 or 8人乗り。
「ZA」(~2017年11月):3.5L車のエアロモデル。7人乗り。Gエディションの設定あり
「ZG」(2017年12月~2021年4月):3.5L車のエアロモデル。7人乗り。
「ZR」(~2021年4月):ハイブリッド車のエアロモデル。7人乗り。
「VL」(~2021年4月):3.5L車の上級グレード。7人乗り。
「エグゼクティブラウンジ」(~2021年4月):3.5 L車、ハイブリッド車の最上級グレード。7人乗り。
「エグゼクティブラウンジ Z」(~2021年4月):「エグゼクティブラウンジ」のエアロ仕様。7人乗り。
「Z ゴールデンアイズ」(2021年5月~):人気の特別仕様車をグレード化したもの。時期により「Ⅱ」と「Ⅲ」がある。

マイナーチェンジで最も大きなものは2017年12月で、バンパーなどのデザインが変更されるとともに、3.5L車の最高出力が301psにまで引き上げられた。また、それまで一部グレードにしか採用されていなかったトヨタセーフティセンスが全車標準となったのも、このタイミングだ。

さらに2021年5月には前年に実施された全車種併売化の影響を受けて、グレード体系が2.5L車、ハイブリッド車の「Z」および「エグゼクティブラウンジ」のみに大幅整理された。

トヨタ ヴェルファイア(2代目)
 

2.現行型との差異:価格帯も乗り味も2代目とは別モノに

これからヴェルファイアに長く乗りたい人にとって、2代目と3代目の差は気になるところだろう。現行型はどのように変わったのか?

まず外観ではヴェルファイアを象徴する2段構えのヘッドライトではなくなり、1段のつり目型に。フロントグリルはさらに大型化され、押し出し感の強いフェイスデザインとなった。確かに迫力はあるが、アルファードとの差異は2代目の時代よりも少ないようにも感じられる。ここは好みの分かれるところだろう。

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲巨大なフロントグリルが印象的な3代目ヴェルファイア

ボディサイズについては、全幅は一緒、ホイールベースも同寸だが、全長は3代目の方が2代目より60~80mmほど長くなった。取り回しの良さはさほど変わらないが、車両感覚をつかむうえで3代目はやや苦労するかも。もっとも車庫入れなどに関しては各種センサーやカメラがあるので問題なさそうだ。

最も大きく異なるのはパワーユニットで、3代目は2.4Lガソリンターボエンジンとハイブリッドの2種類となった。2.4Lガソリンターボはアルファードに設定のない、ヴェルファイア専用のもの。2代目の途中で廃止となった3.5L V6ガソリンに代わる、パワフルなエンジンだ。

ハイブリッドはパワーユニットを一新、システム最高出力、燃費とも大きく向上した。2代目で設定のなかった2WDをハイブリッドで選べるようになったこともトピックだ。

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲2.4Lガソリンターボエンジンは最高出力279psを発生

このエンジン搭載に合わせてシャーシも強化。ブレース追加などにより、4代目アルファード以上にボディ剛性が高められている。グレードラインナップも大幅に変わり、「Zプレミア」と「エグゼクティブ ラウンジ」の2種類へと大幅に整理された。

総じて言うと、3代目ヴェルファイアは外観こそ4代目アルファードに近づいたものの、パワーユニットや乗り味は大きく差別化され、ドライバーオリエンテッドなキャラクターがより明確になった……というところ。こうした流れには、2020年の全車種併売化が影響していることは間違いない。

販売価格が655万円~になったこともポイント。2代目最終型の最廉価グレード「2.5 Z ゴールデンアイズⅢ」の新車価格は430.6万円だったので、実に220万円以上も高くなったことになる。

この価格アップは当然、中古車価格にも反映されており、3代目ヴェルファイアの中古車平均価格はなんと800万円オーバー。現行型の国産最高級ミニバンであることを考えても、さすがに現在の水準は……。先代までのヴェルファイアとは別モノ、と考えても当然だろう。

 

3.中古車状況:流通量の増加にともなって価格帯もリーズナブルに

ここからはヴェルファイア(2代目)の中古車状況を見ていきたい。中古車平均価格はヴェルファイア(2代目)が現行型だった当時、生産終了に向かって下降傾向にあったが、それ以降は横ばいに。2024年も大きな変動なく中古車平均価格360万円前後で推移していた。

ところが2024年後半に入ってから、急速に下降。2025年4月時点で330万円前後にまで下がってきている。最も価格の安い物件では総額150万円前後から狙える状況だ。
 

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲2024年5月~2025年4月までの中古車平均価格推移


この背景には中古車市場での流通量が順調に増えている影響が考えられる。カーセンサー掲載台数は生産終了直後から順調に増え続け、2025年4月時点で4000台を超えるまでに増えている。流通量、価格とも中古車として狙いやすい状況であることは間違いないだろう。

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲2024年5月~2025年4月までの中古車流通台数推移
 

4.中古車のオススメ①:コスパ狙いなら2.5Lガソリンの「Z」

コスパ重視で選ぶなら、2.5Lガソリン車の「Z」系グレードがオススメだ。ヴェルファイア(2代目)の中で2.5Lガソリンエンジンは最もベーシックなパワーユニットだが、街中のドライブなら力不足をほぼ感じない。燃費も11.6km/L(JC08モード)とまずまずで、実用的なエンジンとなっていた。

新車価格では「X」の方が安かったが、ヴェルファイア(2代目)はエアロパーツをまとった「Z」系グレードの人気が高く、中古車市場での流通量も圧倒的に多い。コスパと選びやすさにおいて、「2.5 Z」が有利というわけ。
 

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲パワーユニット別でも中古車市場で最も流通量が多いのは2.5Lガソリン車だ

例えば2015年年式・走行距離4.9万kmの「2.5 Z Aエディション」なら総額221.8万円。流通量が多いグレードだけに、年式はやや古めでも走行距離少なめの物件が多く見つかる。

ちなみに「Aエディション」はオットマン付きの助手席スーパーロングスライドシートが装備された仕様。装備内容が充実しているパッケージ車が多いことも「Z」の利点だ。

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5.中古車のオススメ②:最終型でもリーズナブルな「Z ゴールデンアイズⅡ&Ⅲ」

生産終了から約2年という現在のタイミングなら、年式が新しめの物件を見つけやすい。前述したようにヴェルファイア(2代目)は2021年5月の変更で最終型となり、グレード体系が大幅に整理された。最終型のグレードは2.5Lガソリンとハイブリッドの「Z ゴールデンアイズ」のみだ。

「Z ゴールデンアイズ」は「Z Aエディション」をベースにヘッドランプ内部のゴールド加飾、両側電動スライドドアなどを施したエアロ仕様で、充実した装備内容が魅力だ。カーセンサーの検索で2021年5月以降に設定された「Z ゴールデンアイズⅡ」「Z ゴールデンアイズⅢ」に対象を絞ると、約80件がヒットした。

トヨタ ヴェルファイア(2代目) ▲「ゴールデンアイズ」は個性的なルックスと充実した装備で人気だった

価格の一例を挙げると、2021年式・走行距離3.9万kmの2.5Lガソリン「Z ゴールデンアイズⅡ」で総額339.9万円。最終型はおよそこのあたりが中古車価格の下限となるだろう。

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ハイブリッド車の目安価格は総額400万円~。こちらも一例を挙げると、2022年式・走行距離4.9万kmの「Z ゴールデンアイズⅡ」で総額407.9万円となっている。

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※記事内の情報は2025年5月13日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ、篠原晃一
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。

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