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フェラーリ カリフォルニアTとは「どんな人」に向いている車なのか?【NEXT EDGE CAR】
2021/04/08

「フェラーリとしては便利な」2+2のクーペカブリオレ
こちらは3月27日発売の雑誌カーセンサーEDGE 5月号に掲載された、自動車評論家・永福ランプ(清水草一)さんの人気連載「NEXT EDGE CAR」の、担当編集者から見た「別側面」である。アナログレコードで言うB面のようなものと思っていただきたい。
なお「NEXT EDGE CAR」というのは、「今現在はまだ名車扱いされていないが、近い将来、中古車マーケットで名車または名品と呼ばれることになるだろうモデルを探そうじゃないか」というのが、そのおおむねの企画趣旨である。
筆者のようなド庶民を自認する人間にとっては「自分の人生には1ミリも関係ない車」。しかし、いわゆる富裕層にとっては「注目に値する1台」。
それが、フェラーリ カリフォルニアおよびカリフォルニアTだと言えるだろう。
フェラーリ カリフォルニアは、日本では2009年3月に発売されたフェラーリ初の2+2 FRクーペカブリオレ。ルーフは電動開閉式で、格納所要時間は14秒。ラゲージルームにはフェラーリ史上初のトランクスルー方式が採用され、ラゲージ容量は通常時で360L、ルーフ格納時でも260Lが確保されている。
そんな「フェラーリとしては便利なボディ」のフロントミッドに搭載されたエンジンは、最高出力460psの直噴4.3L V8で、トランスミッションは7速のデュアルクラッチ式AT。お買い物にも適している仕様ながら0−100km/h加速は3.8秒で、レーシングカーばりの発進加速が可能になる「ローンチコントロール」も搭載された。
2012年には、エンジンの最高出力を30ps向上させるマイナーチェンジで「カリフォルニア30」となり、2014年のビッグマイナーチェンジでエンジンを3.9Lの直噴V8ターボ(最高出力560ps)に変更。それと同時に車名が「カリフォルニアT」になった――というのが、フェラーリ カリフォルニアおよびカリフォルニアTのざっくりとしたヒストリーである。
そして現在の中古車相場は、おおむね下記のとおりとなっている。
●カリフォルニア|総額1200万~1600万円
●カリフォルニア30|総額1200万~1600万円
●カリフォルニアT|総額1500万~2200万円



庶民がこれを無理してまで買う意義は見いだしにくい
さて、本稿の冒頭で筆者はカリフォルニア/カリフォルニアTのことを「筆者のようなド庶民の人生にはほぼ1ミリの関係もない車である」との旨、記述した。
その理由は、「庶民にとってフェラーリとは一世一代の買い物だから」である。
スーパーカー界の超名門であり、超人気商品でもあるフェラーリの各モデルは、中古車として買うにしても非常に高価だ。
安いものでも1000万円ぐらい、高いものになると3000万円を軽く超える。いわゆる富裕層ではない人が頑張って買っている中古フェラーリの価格は、「1000万円台半ばぐらい」という場合が多いだろうか。
富裕層にとって、1000万円台半ばというお金がどういう意味を持っているのか、筆者は知らない。だが少なくとも筆者にとってのそれは、「超大金」である。一括払いをするにせよ(……そもそも持ってるのか?)、長期ローンを組むにせよ。
そしてもしもそんな一世一代の買い物をするとしたら、やはり人は「心から納得できるもの」を選びたいと思うものだ。例えば住宅を買う場合でも、そのメンタリティは同じであろう。
で、フェラーリにおける「心から納得できるもの」とは何か――というのはもちろん人それぞれだが、基本的には、フェラーリの王道であり、世界の頂点でもある「V8またはV12エンジンのミッドシップモデル」こそ、人生における渾身の一撃的なお買い物として選びたい――と考える人が9割を超えるだろうと推測する。
少なくとも「近所のスーパーへのお買い物にも便利な、オートマで2+2のクーペカブリオレ」を、虎の子の貯金を大放出するか、もしくは長期ローンを組んでまで買いたいと考える人は皆無に近いはずだ。
そうであるがゆえに、筆者は「カリフォルニア/カリフォルニアTとは、筆者のようなド庶民の人生にはほぼ1ミリの関係もない車である」との旨、断言したのだ。


とはいえ富裕層にとっては、話はまったく別だ
だが、ここまで申し上げてきたことは、あくまで筆者のような「日本人の平均年収ぐらいの収入でぼちぼち生きている人間」の感覚にすぎない。
そして世の中には、日本人の平均年収の2倍や3倍、いや、そんなレベルをはるかに超えて10倍やそれ以上の収入を得ている人も、たくさん――とまでは言えないにしても、まあまあいらっしゃる。
そういった人々にとっては、今回ご紹介する2015年式フェラーリ カリフォルニアTなどは素晴らしい選択肢だ。
なぜ素晴らしいかといえば、「スーパーマーケットなどへ出かけるための、いわば事務的な移動時間のクオリティが上がるから」である。

筆者の卑近な例を持ち出して恐縮だが、筆者も現行型のスバル レヴォーグ STIスポーツEXという素晴らしいステーションワゴンを購入したことで、日々の事務的な移動時間のクオリティが爆上がりした。ちょっとそこのイオンまでの移動すらが「快感」に変わったため、もう毎日が楽しくて快適でたまらないのである。
フェラーリを好む人が、フェラーリ カリフォルニアTを購入することでも、話のレベルは違うかもしれないが、本質的にはこれと同じ現象が起こる。すなわち、自分のほぼすべての移動時間がフェラーリのフィーリングで埋め尽くされることで、「日々の圧倒的な快感」が生まれるのである。
もちろん、2座式のV8ミッドシップフェラーリでイオンに行くのも不可能ではない。しかし、荷物はあまり載らないし(トイレットペーパーひとつ買うのも大変だ)、雨の日は出動させたくないし――ということで、V8ミッドシップフェラーリでイオンに行くという行為はあまり現実的ではない。
しかし、カリフォルニアないしはカリフォルニアTであれば、おおむね問題ないのだ。
筆者にとって1000万円台半ば以上というのは、とてつもない大金であるため、当然ながら「お買い物カー」としてカリフォルニアTを選ぶことは絶対にない。
だが、例えば1800万円という総額を「180万円」ぐらいに思えるのであれば――つまり年収のケタがひとつ違う人にとっては――フェラーリ カリフォルニアTというのは、かなり素敵な選択肢である。
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フェラーリ カリフォルニア(初代)×全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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