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ホンダ S2000(初代)は機関系よりもボディの状態を要チェック!中古車購入時のチェックポイントまとめ
2020/09/21
「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」
そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!

走行距離が少ない物件ほど入念なチェックが必要
NAエンジンながら最高出力250psを発生させ9000回転を許容するエンジンと、そのスタイリングが相まって根強い人気を誇るS2000。中古車市場では高値安定となっている。
年式を大きく分けると、前述の2Lエンジンを搭載した前期型(1999年4月~2001年8月)・中期型(2001年9月~2005年10月)と、2.2Lエンジンとなった後期型(2005年11月~2009年6月)となる。
今回は、出力が大きく超高回転型の2Lエンジンで、年式が比較的新しく人気の中期型の物件をチェックした。
「エンジンはタフ。またオーナーは車好きの方が大半なので、走行距離が延びていても基本的なメンテナンス・整備がされている物件が多い」と言うのは、S2000をメインに販売しているHMR HONDAの代表、石川さん。
逆にあまり乗られていなかったり、低い回転数でしかエンジンを回していない物件は要注意だという。そこで、具体的にチェックするポイントを聞いた。

今回見た車
ホンダ S2000(初代)
現段階ではホンダ最後のFRスポーツ。根強い人気で中古車相場は値上がり傾向にあり、200万~300万円がボリュームゾーン。前、中、後期と大まかに分けられるが流通台数はほぼ同比率。走行距離5万㎞以下と比較的低走行の物件も20%ほどある。
●支払総額/204.7万円(税込)
●年式/2001年式
●走行距離/8.4万km
※2020年8月25日時点の情報
実車で見ておきたいチェックポイント
スタイリッシュで年式を感じさせないS2000だが、デビューからすでに20年が経過した。
比較的古いモデルとなるので、ボディのサビといった重要な項目をチェックする必要がある。ぜひ実車を見に行く際の参考にしてほしい。
CHECK POINT 1
ボディつなぎ目のサビ
ボディの劣化は補修が困難なため、まずはサビや腐食の具合を確認したい。
走行距離が少ない物件は車を動かしている頻度が低く、空気の流れが滞留しがち。それがボディの劣化につながるという。
下まわりを見たいところだが、エンジンルーム両サイドのパネルのつなぎ目などでも確認は可能。サビが多い物件はボディも劣化している恐れがある。

CHECK POINT 2
トランクルームの雨漏れ
雨水が本来の経路をたどらず、トランクに浸入してしまっているケースがある。
通常、幌とボディの隙間に浸入した雨水は、レインレールと呼ばれる水の通路を伝って車外に排出されるようになっている。
しかし、このレインレールが破損すると、水がトランクに流れ込みボディの腐食につながる。トランクの内張りを確認し水の痕跡がないか確認しよう。

CHECK POINT 3
シフトレバーの感触
フィーリングにもこだわってホンダが自社開発した6速ミッションは、S2000の魅力のひとつ。
しかし、ミッションオイルの交換をおろそかにしていた物件では、シフトレバー付け根の古いオイルが劣化、変質してガムのようになり、シフトフィールの悪化を招く。
実際にシフト操作をして「グニャリ」とした感触の物件は、オイル交換を怠っていた可能性あり。

CHECK POINT 4
シート横側の劣化具合
スポーツカーらしくホールド性の高いバケットタイプのシートを採用しているが、それ故に乗り降りの際に擦れて、破れや変形が起きている場合がある。
特にサイド部分はレザーとなっているので、過去の手入れにも左右される部分。
純正にこだわらないのであれば、Aftermarketのスポーツシートに交換してしまうのもひとつの解決策と言えるだろう。

CHECK POINT 5
幌の折れ目の擦れ具合
幌の開閉の際、折れ目がつく部分が擦れて穴が空いてしまうことがある。
小さな穴でも放っておけばそこから雨が浸水し、ボディの劣化につながる恐れも。
写真で指差しているところが、開閉時に折れ目がつく部分。幌交換は15万円弱かかるが、前・中期型は交換歴があるものも少なくないので、劣化具合が心配な人は、交換済みの物件から選ぶのもあり。

CHECK POINT 6
ラジエターのカシメ
ラジエターは樹脂と金属でできているが、その2つをカシメている部分が劣化して、クーラントが漏れてくる場合がある。
リザーバータンクの冷却水が減っていないかはもちろん、ラジエター本体から目視で水が漏れていないか、地面に漏れた跡がないかをチェックしておきたい。
ラジエターの破損はエンジンに大きな影響を与えるので見逃せない。

10万㎞を超えた車は特にここに注意
先述のとおりデビューから20年が経過したS2000。
走行距離が10万kmを超える個体はざらに存在する。そこで10万kmを超えた車両の場合、特にどんな部分をチェックするべきか聞いてみた。
CHECK POINT 1
タイミングチェーンの緩み
タイミングチェーンを使用しているので、ベルトのように交換する必要はない。
しかし、張り具合を調整するテンショナーの劣化でチェーンが緩むことがある。
最悪エンジンブローにもつながるので、アイドリング時に「カチャカチャ」という音がしたら納車前に確認をしてもらおう。
CHECK POINT 2
リアブレーキキャリパー
前後バランスに優れるS2000は、リアブレーキの発熱量も多く、その熱によってブレーキキャリパーのピストンが固着することがある。
そうなるとブレーキが利いたまま、もしくは利かなくなるなどの不具合が出る。
そのような場合はオーバーホールが必要になってくる(片側1.5万円程度)。
CHECK POINT 3
アイドリングの安定感
アイドリングが安定せず、ブルブルするような状態の物件はイグニッションコイルの劣化が疑われる。
アクセルオフしたときにエンスト気味になる場合はスロットルボディや空気の流入量を制御するRACVが汚れている可能性がある。
前者は交換、後者は洗浄で対応できる。

取材協力
HMR HONDA
ホンダスポーツカー専門店。良質なホンダの中古スポーツカーを厳選して在庫している。ホンダ車に精通したスタッフが、購入からアフターメンテナンス&チューニングまでサポート。中古車の販売では、動画を活用した車両紹介を取り入れている。遠方で車を観に来れない方でも安心して購入できるように細部まで紹介されている。
住所:東京都武蔵村山市残堀1-38-2
電話:042-520-7577
※雑誌版カーセンサー 2020年11月号(2020年9月17日発売)の記事「気になる車に会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています。

訪問した人
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。
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