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アウディ最小SUVのQ2は新車ではなく「中古」で買うに限るいくつかの理由
カテゴリー: 特選車
タグ: アウディ / Q2 / EDGEが効いている / 伊達軍曹
2020/03/27

ダウンサイジングコンセプトに基づく「小さな高級SUV」
こちらは、雑誌「カーセンサーEDGE」で8年以上続いている自動車評論家MJブロンディさんの長寿連載「EDGEセカンドライン」のB面。すなわち、なぜかその取材現場に同席している自動車ライター伊達から見た「同じ車の別側面」だ。
第11回目となる今回は、2020年3月27日発売のカーセンサーEDGE 5月号で取材した2017年式アウディ Q2 1.0 TFSI スポーツのB面をお届けする。
結論から申し上げると、こちらの個体は――というかアウディ Q2というSUVは「中古車として買うことこそがベスト」であると、筆者には感じられた。
結論に関するご説明へと進む前に、アウディ Q2という車についてのごく簡単な解説だけはしておこう。

アウディ Q2は、「Q7」をサイズ上の頂点とするアウディ製SUVファミリーの末弟。すなわち「いちばん小さなアウディ製SUV」である。日本へは2017年6月から正規輸入が始まっている。
「アウディとしてはいちばん小さなSUV」ではあるものの、その車台はA1ではなくA3がベース。駆動方式はクワトロ(フルタイム4WD)ではなく全車FFで、搭載エンジンは1L直列3気筒ターボと1.4L直列4気筒ターボの2種類となる。
ボディサイズは全長4200mm x 全幅1795mm x 全高1530mm。Q3より全長が200mmも短いことで「都市部での機動性」は大いに高まっており(とはいえホイールベースはQ3より10mm短いだけなので、車内はさほど狭くない)、全高も1550mmを切っているため、「一般的な立体駐車場に入れられる」というのもアウディ Q2の美点だ。
導入当初は、装備をやや省いた「1.0 TFSI」と、充実装備の「1.0 TFSI スポーツ」という2種類の1L 3気筒ターボ搭載モデル、そして直4ターボである「1.4 TFSI シリンダーオンデマンド スポーツ」の計3グレードでスタート(※280台限定のファーストエディションは除く)。
2018年9月には仕様変更が行われ、ベースグレードの装備を充実させるとともに、計3グレードの車名をそれぞれ「30 TFSI」「30 TFSI スポーツ」「35 TFSI シリンダーオンデマンド スポーツ」に変更した。
で、今回の取材車両は仕様変更が行われる前の「1.0 TFSI スポーツ」、いちばんの売れ筋グレードである。

ダウンサイジング時代とはいえ、このサイズに400万円は抵抗がある?
筆者は本稿の冒頭付近で「アウディ Q2というSUVは中古車として買うのがベスト」という旨の発言をした。
その理由というか本意は、アウディ Q2というSUVの新車価格はシンプルに申し上げて「小さいくせにけっこう高いから」である。
具体的には、前期型の廉価グレードである「1.0 TFSI」が299万円……って、このグレードだけは意外とお安いのだが、1.0 TFSIは様々な装備が省略されていたため、あまり魅力的なグレードではなかった。実際コレを買った人もあまりいなかったようで、2020年3月半ば現在、1.0 TFSIの中古車流通量はわずか1台である。
しかしLEDヘッドライトが標準装備となり、トラフィックジャムアシスト(低速域での運転支援機能)を含むセーフティパッケージがオプションで用意された「1.0 TFSI スポーツ」はなかなか魅力的なグレードで、1.4Lの直4ターボを搭載した「1.4 TFSI シリンダーオンデマンド スポーツ」も、当然ながら魅力的である。
しかし前者の新車価格は364万円と、いきなりけっこうなお値段となり、後者に至っては405万円。……支払総額で考えると前者が400万円級で、後者がおおむね450万円級となるはず。
アウディの最新SUVなのだから「いい車」なのは言うまでもなく、もはや車のサイズで威張る時代ではないことも、よくわかっている。
だがそれでも――この小さな、シリーズ最小となるSUVに、400万円とか450万円というなかなかの大枚を投入するのは、強力な心理的抵抗をクリアしなければならない。
もはや「サイズ=価値」ではないことを脳ミソの新しい部分(?)は十分理解しているのだが、それでもどこかに残っている石器時代の脳(?)が、「こんなちっこい車に400万円も出すのはちょっと……」というような指令を出してしまうのだ。
だが新車ではなく「中古車」であれば、アウディ Q2を取り囲む景色はガラリと様相を変える。

だが総額200万円台でイケるとなれば話は別だ
例えば前期型の1.0 TFS Iスポーツ、現在の後期型で言う30 TFSI スポーツを新車として買うには、前述のとおり400万円級の予算が必要となる。だが、「1.0 TFSI スポーツの中古車で良し」と考えるなら、予算感は「総額230万円ぐらいから(ボリュームゾーンは総額280万円ぐらい)」へと一気に下降する。
今回の取材車両はまさにそんなニュアンスの中古車の典型で、車両価格249.9万円/支払総額269.9万円の2017年式1.0 TFSI スポーツ。当然「中古車」ではあるのだが、走行距離はわずか1.0万kmだ。
これを「新車同然!」と書いてしまうと、どこかの方面から怒られるのかもしれない。だが実際に現車をチェックした筆者に言わせれば、この個体は「ほとんど新車みたいなモノ」としか形容できない何かであった。
それゆえ、今回はこの個体に試乗はしていないのだが、以前に試乗した広報用車両の印象が、99%の確率でそっくりそのまま当てはまるはず。
それはすなわち、「4つのサスペンションおよびタイヤがしなやかに動き、乗り心地良好なのだがコーナリング性能はなかなか高く、取り回し性能も良好で、インテリアはひたすら上質でおしゃれな“小さな高級車”」という印象である。
総額400万円台となると筆者も多少ビビり、「コレじゃなくて国産の、もうちょっとだけ大きなサイズのSUVを新車で買おうかしらん……」と、正直思う。
だが総額200万円台であれば――心置きなく「様々な面でのダウンサイジング」という昨今のトレンドに身を投じ、同時に、最新アウディならではの上質感および硬質感に身を委ねてみたい……という欲望に駆られる自分を否定できない。
この部分について貴殿らがどうお感じになるか、当然ながら他人である筆者にはわからない。
しかし「中古のQ2」は、もしも貴殿が新しめのSUVの購入を検討しているのであれば、少なくとも一度は検討のテーブル上に広げてみるべき素材であるとは、断言したい。



自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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