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EV時代が来る前に堪能したい、メルセデス・ベンツ C63 AMGが搭載した超絶6.2L自然吸気V8!
2019/11/30

名作ガソリンエンジンならではの「あの感覚」はいつまで堪能できるのか?
いきなりタイトルと矛盾することを言うようだが、EV(電気自動車)の時代が来るのかどうか、一市民にすぎない筆者にはわからない。まあ来るような気はしているが、来るのは意外と「燃料電池車の時代」なのかもしれない。
そのあたりの詳細はイマイチ不明だが、ひとつだけ確信をもって言えることがある。
それは「石油をガンガン燃やすタイプのエンジンの時代は完全に終わった」ということだ。
その種のエンジンはすでに「ダウンサイジングターボ(小排気量エンジンに過給器を組み合わせて効率的に動かすエンジン)」や、「電動化技術(同じく比較的小排気量なエンジンに、電気モーターなどを組み合わせて効率的に動かす技術)」にほぼ駆逐されている。
そして今、現在こそ中古車として「石油をガンガン燃やす系エンジン搭載車」を買い、公道を走ることは許されているが、それすらも今後は「どうなることやら」である。
具体的には、その種のエンジンを搭載する車には(今以上の)超重税が課せられたり、「○○年までには廃車にしなければならない」なんて法案が可決される可能性も、決してゼロではないはずだ。
つまり、その種のエンジン=ガソリンを比較的ガンガン燃やす代わりに、このうえない快楽を感じさせてくれるエンジン――の魅力を堪能したいのであれば、「急いだ方がいい」ということだ。
もちろん、上記のような規制は今日明日すぐに施行されるというものでもない。それゆえ「今がラストチャンス! お急ぎください!」的に安っぽくあおるつもりはない。
だが、長期的なトレンドは確実に「絶滅方向」へと向かっている。だからこそ、「まあ乗るならなるべく急いだ方がいいでしょうね」とは言いたいのだ。
ではどんなエンジンが搭載されたどんな車に今、乗っておくべきなのか?
その問いには何種類もの解答が想定できるが、有力な解答のひとつは先代の「メルセデス・ベンツ C63 AMG」だろう。

燃費はお世辞にも良くない。だがその感触と性能は「宇宙でも有数」
AMGについては筆者以上にお詳しい人も多いだろうが、あえて簡単な紹介をまずはさせていただく。
AMGとは、もともとは1967年創業の独立系メルセデス・ベンツチューナー。ハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(Aufrecht)とエアハルト・メルヒャー(Melcher)がグローザスバッハ(Großaspach)の地で創業したということで、それぞれの頭文字を取って社名は「AMG」になった。
モータースポーツの世界を席巻しまくったAMGは、1980年代からはメルセデスへの正式なパーツ供給と車両の共同開発を行うようになり、1999年には「メルセデスの1部門」に。メルセデスという巨大なブランドビジネスの中で「モータースポーツ」と「市販のスポーツ&スポーティモデル開発」を担当しているのが、現在のメルセデスAMGだ。

そして今回ご紹介する先代メルセデス・ベンツ C63 AMGとは、そんなAMGが、そのレーシングテクノロジーを注入しまくった珠玉の6.2L V8自然吸気エンジンを搭載した「小さなモンスター」である。
現行モデルの「メルセデスAMG C63」はさすがに時代の潮流をとらえて「バカでかい自然吸気エンジンではなく、比較的小排気量(4L)なエンジンをツインターボで加給する」というモダンな方式に改められた。
だが先代が発売された2007年、いや、その開発が行われていたさらにちょっと前の世の中は、まだ「イケイケ」だった。ちなみに2008年のいわゆるリーマンショックも、まだまだ起きていなかった。
それゆえ先代C63 AMGが搭載したエンジンは、排気量6.2Lの自然吸気V型8気筒という、小さなW204型Cクラス(先代メルセデス・ベンツCクラス)に載せるのは「……正直どうなんだ?」と思わざるを得ない方式であった。
そしてもちろん、燃費は極悪だった。 まあ比較的新しい世代のエンジンではあるので、大昔のアメ車のように「リッター2km」なんてことはないのだが、走り方にもよるが「リッター4~6kmぐらい」というのが、先代C63 AMGのおおむねの実燃費である。


だが、燃費が極悪……ってほどでもないかもしれないが、まあ悪い代わりに、その官能性と絶対的なパフォーマンスは「宇宙でも有数レベル」と言えるものになった。
ダウンサイジングターボやハイブリッドシステムなどで感じられる「小さなエンジンが頑張って回っている感触」とはまるで異なる大排気量・自然吸気ならではの余裕と、本気を出したときの炸裂っぷりが「宇宙でも有数レベル」なのだ。
成り立ち的には「レース用エンジンのデチューン版」と言えるC63 AMGの通称ロクサンエンジンは、その痛快さと能力に関しては過去のフェラーリ製自然吸気V8エンジンにまったく負けていない(と筆者は思う)。
フェラーリが搭載していた自然吸気V8とAMGのロクサンエンジン、そのどちらを「東の正横綱」とするかは意見が分かれるところだろうが、いずれにせよ、両者ともきわめて素晴らしい横綱級のガソリンエンジンである。

「文化遺産」として考えるなら格安すぎる中古車相場
以上のとおり、モータースポーツのガチなテクノロジーがフィードバックされたエンジンを搭載した先代メルセデス・ベンツ C63 AMGはかなり素晴らしい車だったが、素晴らしいだけあって、その新車価格も素晴らしいものだった。具体的には1020万~1500万円である。
だが今や、その中古車の平均価格は259.5万円で(※2019年11月下旬現在)、価格帯は車両価格で178万~561万円。走行2万~4万km台あたりの「まずまず好条件な物件」が集中しているゾーンは250万~400万円ぐらい――といったところ。
50万円や100万円で買える中古車と比べるなら、もちろんこの相場は「けっこう高額」だと言えるだろう。
だが、「宇宙でも有数レベルの素晴らしいエンジンを搭載した文化遺産」として考えるなら、250万~400万円ぐらいというのは「そ、そんなに安くていいんですか?」と言いたくなるプライスだ。
もちろん、高性能車というのは単純にタイヤ代すら高額であり、なおかつ整備や修理に必要な部品類の値段もけっこう高い。また、超ハイパフォーマンスゆえにデリケートな部分もある。
それゆえ「中古車相場は意外と安いから、皆さんぜひ買いましょう!」みたいに安易な勧め方はできない。先代メルセデス・ベンツ C63 AMGとは、ある程度は予算に余裕がある人限定でオススメしたい選択肢だ(そもそも6.2Lゆえ年額11万1000円となる自動車税も強烈な負担である)。
だがそれでも――この強烈すぎるほど強烈な6.2L自然吸気の味わいは、堪能できるうちに堪能しておくのが正義であると、筆者個人は考えている。

▼検索条件
AMG Cクラス(2007年10月~2014年6月生産モデル)×全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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