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【人生初の車が輸入車で何が悪い?】例えば22歳のための「いきなりアルファロメオ 156」購入ガイド
カテゴリー: 特選車
タグ: アルファ ロメオ / アルファ156 / EDGEが効いている / 人生初の車が輸入車で何が悪い! / 伊達軍曹
2019/05/25
▲「最初はどうせぶつけるんだから」とか「若い人はお金がないから」などの理由で「最初は安めの国産中古車を」と言う人は多い。だが、例えばこのアルファロメオ 156で車人生をスタートさせたって特に問題はないはずなのだ路上で「小型車ショー歌」を歌う謎の青年
見たところ22歳ぐらいの青年が、国産リッターカー専門店前の歩道で路上ライブをしていた。
「……なぜここで?」と思ったが、思いのほか歌も演奏も上手であったため、わたしは足を止めてしばし聴き入った。
自作と思われる歌詞は日産 マーチや三菱 ミラージュなどを褒め称える内容で、なかなかおもしろいモノだった。だがどこかヤケクソ感のある歌いっぷりが気になったため、わたしは声をかけた。「なぜそんな歌を作ったのですか?」と。
「……僕の自信作『小型車ショー歌』を“そんな歌”呼ばわりされて不愉快ですが、よござんす、お答えしましょう。僕は本当は国産リッターカーなど買いたくないのです。なので、ヤケクソ気分でこのような歌を作ってみました」
さらに詳しく聞くと、事情はおおむね以下のとおりだった。
▲なぜか国産中古車店の前で路上ライブをしていたよくわからない青年(のイメージ)見立てのとおり彼は22歳の新社会人。学生時代にバイトで貯めたお金と、今後の月給を元手にアルファロメオ 156というイタリア車、それも「V6エンジン搭載グレード」を買うつもりでいた。
しかし断念した。なぜならば、会社の先輩や上司らに猛反対されたからだ。
「結局は壊れまくって、修理代で破産するハメになるぞ? やめとけやめとけ!」
「……そんな無謀な買い物をするバカだったってことが広岡本部長にバレると、今後の評価にも影響するよ? それでもいいの?」
等々のことを言われ、いちおうは納得。そしてV6アルファロメオの購入はとりあえず断念した。
「……しかし代替案として浮上した国産リッターカーの中古車はどうしても買う気になれず、思わず『小型車ショー歌』を自作し、今日ここで熱唱してしまったという次第です」
……買えばいいではないか。
「は?」
誰が何と言おうとV6アルファ、欲しいなら買えばいいじゃん? そもそも人生初の車がV6アルファで何が悪いのだ? 悪いことなどひとつもない。まぁ多少のカネと手間はかかるけど。
以下は、この後わたしが彼にこんこんと説明した内容のダイジェスト版である。
▲こちらが青年が買おうと思っていたイタリアのアルファロメオ 156。90年代末期から00年代半ばにかけてなかなかのヒット作となったミドルサイズの4ドアセダンで、ステーションワゴンも存在した直4エンジンの他、圧倒的快感のV6エンジンを用意
まずはアルファロメオ 156という車について。詳しくご承知の人も多かろうが、1998年から2006年まで販売されたイタリア・アルファロメオの中型セダンで、現在販売されている「ジュリア」から見て2世代前のモデルに相当する。
搭載エンジンは最高出力190psの2.5L V6と、同155psとなる2L直4ツインスパークの2種類が基本。組み合わされるミッションはV6が6MTおよび4速ATで、2L直4は5MTまたはセレスピード(5速セミAT)となる。
その他、2002年には3.2LのかなりスペシャルなV6エンジンを搭載する「156GTA」を追加。こちらのトランスミッションは6MTまたはセレスピードが設定された。
1998年から2002年途中までの前期型は通称「フェイズ1」。2002年途中からの、直4ツインスパークエンジンが直噴化されて「2.0JTS」となった世代が「フェイズ2」と呼ばれている。そして2003年9月以降の、フロントマスクが大きく変わった世代が通称「フェイズ3」だ。
▲こちらが通称「フェイズ1」。2002年途中からのフェイズ2はこれと同じ顔つきだが、2L直4エンジンがそれまでのツインスパークから直噴方式の「JTS」に変更されている
▲こちらは2003年9月以降の「フェイズ3」。この顔つきは好みが分かれるところかもしれない
▲こちらは磨き込まれた3.2LのV6エンジンを搭載し、足回りなども専用品が採用された「GTA」直噴化された直4 JTSエンジンはややもっさり感もあるが、ツインスパーク時代の2L直4エンジンは痛快な吹け上がりが堪能できるかなり素晴らしいものだった。
だがそれ以上に素晴らしいというか官能的なフィーリングを堪能できるのが、「彼」が当初買おうと思っていた2.5Lまたは3.2LのV6 DOHCエンジン搭載グレードだ。
そのV6、あえて悪く言うなら「古くさい設計のエンジン」だ。しかし古い分だけ、現代のエココンシャスな優等生エンジンとはずいぶん異なるニュアンスの魅了を堪能できる。
それすなわち「まるで燃え盛るかのような回転フィールとトルク感、そして美声」である。
まあその分だけ燃費はイマイチで、オイル消費量も多めだったりはする。だが得られる快感とのトレードオフと考えれば決して悪くないというか、むしろ素晴らしい選択と考えることもできる。
「彼」が買おうと思っていたアルファロメオは、そういった類のエンジンを搭載するアルファロメオだったのだ。
▲その昔から基本的な部分は大きく変わらないまま156に搭載されたアルファロメオのV6 DOHCエンジン。そのフィーリングや音が最高に官能的であることに加え、エンジンのビジュアル自体も実にセクシー中古車相場は2.5L V6の6MTで100万~150万円付近
「ということでユー、買えばいいじゃん」と、わたしはこともなげに言った。
「2.5Lの6MTなら相場は100万~160万円ぐらいだし、3.2LのGTAでも150万~190万円ぐらいだしさ。GTAは昔より安くなってるけど、2.5Lの6MTはけっこう高くなったね。世界的なヤングタイマーブームの影響ですか? むかつくけど、まぁ仕方ないよね。ていうか、それでもまだ決してバカ高くはないし」
だが彼は「でも会社の先輩が修理代で破産するハメになるとか、広岡本部長にバレたら左遷されるとか言いますし……」と煮え切らない。
そこでわたしはおおむね以下のことを言った。
誰だか知らないが「広岡本部長」など放っておけ。というか、V6エンジンを搭載するアルファロメオ 156の中古車はさほど壊れる車ではない。
や、「壊れない」と言っちゃうと語弊はあるか。たぶん壊れるだろう。いろいろ、ちょこちょこと。
だがそれは「ちょこちょこ」レベルなのだ。ちょこちょこした故障の修理代金で破産するほどキミも落ちぶれてはいまい? どうなんだ?
「確かにそうですが……」
▲ちなみにアルファロメ156の運転席付近はおおむねこのようなデザイン。写真は3ペダルのMT仕様もちろん、わたしが言っていることにはいくつかの「前提条件」がある。
まず第一に「ちゃんとした販売店で、ちゃんとした納車前整備をビシっと行う」ということ。これ無しにV6 156のシアワセな維持はあり得ない。多少のカネはかかるだろうが、ヤバそうな部分は新品パーツに交換してもらいなさい。特に、古くなったタイミングベルトとかウオーターポンプとか。
そして納車された後は、エンジンオイルを早め早めに交換することだ。具体的には5000kmごとか、できれば3000kmごとには替えたい。これをケチったりサボったりすると後々大変なことになるので注意したまえ。
さらに12ヵ月ごとの定期点検もしっかり受けるということと、それに加えて「なんか変な音がするな?」などの違和感を感じたら、なる早で専門工場にチェックしてもらうことだ。そうすれば、まぁ多少のカネはかかるが、大事に至る前になんとかリカバーできるだろう。
▲新しめの国産車のように「ほぼメンテナンスフリー」というわけにはいかない。だがマトモな個体をしっかり整備し、購入後のケアも丹念に行えば、「壊れまくって困る」ということにはならない場合が多いはずなのだたまには(たぶん)壊れるが、大したことはない
「……つまりV6搭載のアルファ156は、ある程度の手間とカネがかかることはほぼ間違いないけど、ちゃんとやれば大したことはない――ということですね?」
ザッツ・ライト。イタリー語で言うのであれば「Esattamente!(エザッタメンテ!)」であろうか? とにかくそういうことである。ちなみにソースはわたしだ。
「V6の156に乗っていたのですか?」
156ではないが、3L V6のGTVというアルファロメオに乗っていた。たまに壊れたが、大した壊れ方はしなかった。
そして、本当に素晴らしい車だった。や、車全体の設計としては微妙な部分もあったわけだが、少なくともエンジンは死ぬほど素晴らしかった。
「わかりました。n数=1という部分にやや不安を感じる情報ではありますが、お聞きしたことを踏まえ、今一度考えてみます。では失敬」
そう言って青年は去っていった。ギターを抱えながら。
その後、彼が中古のアルファロメオ 156を買ったのかどうかは知らない。
だがもしも買ったのであれば、あの素晴らしいV6エンジンの快音とフィーリングにインスパイアされた彼の自作曲を、ぜひ聴いてみたいと思った筆者ではあった。
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アルファロメオ 156(初代)×V6エンジン搭載モデル×全国▼検索条件
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自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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