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世界で活躍する自動車写真家の小川義文さんへインタビュー「車の写真をもっと上手に撮りたくて花の撮影を始めました」
カテゴリー: クルマ
タグ: スペシャリストのTea Time / 河西啓介
2020/09/24

車で我々に夢を提供してくれている様々なスペシャリストたち。連載「スペシャリストのTea Time」は、そんなスペシャリストたちの休憩中に、一緒にお茶をしながらお話を伺うゆるふわ企画。
今回は、国内外の様々な自動車メーカーの撮影を手掛ける、世界的な写真家の小川義文さんとの“Tea Time”。

語り
小川義文
東京都出身。写真家。世界的なフォトグラファーとして、国内外のさまざまな自動車メーカーの撮影を手掛ける。またラリー・ドライバーとして「パリ・ダカールラリー」「トランス・シベリアラリー」などに出場した経験も。日本雑誌広告賞、他を受賞。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
C-HRを見て驚いたなんだこのデザインは?
僕は車が好きで、自動車写真家である。その軸は一度もぶれたことがない。
プロとして写真を撮るようになってから40年近く経ったけど、そのあいだずっと「どうすれば車の写真をもっと上手に撮れるか」ということを考え続けてきました。
でも、自分でひとまず納得のいく写真を撮れるようになったのは、プロになって20年ぐらい経ってからかな。それからまた20年近く経つけど、写真はまだまだですね。
じつは数年前、トヨタ C-HRが登場したとき、ドキッとしたんです。「なんなんだ? このデザインは?」と。
長年車の写真を撮り続けてきた自分のデザイン感覚や美意識の中には、ああいうものはなかった。それまでの自動車デザインの「文法」にもなかったと思う。きっとガンダムとかエヴァンゲリオンとか、そういうものに影響を受けた世代の人がデザインしたんじゃないかな? と思った。
もちろん、それは否定しないけど、僕自身はなかなか受け入れられなかった(笑)。でも実際はとても売れたでしょ。僕の感覚が少しズレているのかなって、正直ちょっとショックでしたね。

工業製品じゃなく自然の造形高価ではなく身近なもの
僕が「花」の写真を撮り始めたのは、それから。もういちど自分の美意識をリセットしてみよう、その作業として車と“対極”にあるものを撮ってみよう、と。
自動車という工業製品に対して、自然が創り出したもの。高額商品ではなく身近ですぐ手に入るもの。ということで思いあたったのが「花」だったんです。
そしてこの数年、いろいろな花を撮ってきて気がついたのは、写真の撮り方は自動車でも花でも同じだということ。写真というのは結局、「光と影の切り取り方」なんだということにたどり着きました。
とはいえ花を撮るようになったことによる、自動車写真への影響は確実にあります。造形や色彩に対しての見方、感じ方などはね。
そしてもう一つ変わったのは、自宅の近所の花屋事情にすごく詳しくなったこと。「バラを買うならあそこがいいかな」とか(笑)。
東京・大田区にある花の市場へ、早朝から業者の知り合いについて行ったりもするんですよ。いまや「フェラーリに乗ってます」というより「花を生けてます」と言った方がイケてるんじゃないか、なんて思ったり(笑)。
78台におよぶ愛車遍歴! 気になるのはディフェンダー
とは言っても、車への欲望は尽きないんですけどね。この前ふと数えてみたら、若いときからいままで車を78台乗り継いできた。
いちばん最初に買ったのは1974年式のミニ1000で、そこからすっかりイギリスかぶれになって。ミニだけで7台、レンジローバーは初代からモデルチェンジするたび全部、10台乗った。
ポルシェ 911も空冷エンジン車だけで6台乗ってるし、一つのモデルを突き詰めちゃうんだよね。妻からは「車道楽がなければ、今頃はビルが建ってたね」と言われたけれど……(笑)。
いまは先代メルセデス・ベンツ Gクラスの最終型に乗ってますが、じつは先日発売された新型ランドローバー ディフェンダーには興味津々。
やっぱり英国車は好きなのと、還暦越えてくるとだんだん小さい車が気になってくるんですよ。新しいディフェンダーの90(ショートボディ)と、もう1台古いミニをそばに置いておく、なんていうのがいまの理想だなぁ。

※情報誌カーセンサー 2020年11月号(2020年9月17日発売)の記事「スペシャリストのTea Time」をWEB用に再構成して掲載しています
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