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R32スカイラインのシャシーを使ってあのケンメリが現代レベルの快適さと安全性で蘇った【東京オートサロン2020】
2020/01/29

毎日乗れる旧車を目指して開発
2020年1月10日~12日まで千葉県にある幕張メッセ行われていたチューニングカーの祭典『東京オートサロン2020』。展示車両の中で「あっ!」と驚くようなカスタムが施された車両にフォーカスしレポートする。
新型スープラや86などが目立つ出展車両の中で、ケンメリ(4代目C110型スカイライン)を発見! しかも、オーバーフェンダー以外はノーマル然としている。
しかし、ノスタルジックカーの祭典ならともかく、東京オートサロンにノーマル車であるはずがない……。
案の定、中身は全くの別モノで、なんとシャシー丸ごとR32スカイラインだった!

この車を出展していたのは、愛知県のロッキーオート。フレームから独自設計したトヨタ 2000GTの完全レプリカ「3000GT」などを製造販売していることで知られ、旧車のプロショップ、情報発信源としてあまりにも有名な存在だ。
この「R32 KEN&MARY GT-R」、受注生産という形でロッキーオートから販売されているもの。
開発の経緯を代表の渡辺氏に伺うと……。
「今から20年、25年前かな。ある人から『旧車のスタイルは素晴らしいんだけど、都会でエアコンを効かせて乗れないのはあまりにも不便』と言われたことがきっかけでした」とのこと。
確かにそのとおりかもしれない。サーキット専用ならともかく、長距離ドライブなど日常使いするには、油温や水温を気にしなければならないなど、なかなか気軽に乗ることはできない。
ましてエアコンを満足に効かせたいとなると、当時のエンジンでは無理だろう。
もちろん、オリジナルであるからこその魅力があることは周知の事実。
ただ、旧車のスタイルはそのままに、もっと便利に、普段から乗りたい、という人もたくさんいる。そうした要望を叶えるために生まれたカスタムカーなのだ。
普通はここで、エンジンなどの機関を新しいものに換装するだけで問題解決、となるのだが、そこで終わらせなかったのがロッキーオートの希有なところ。
「快適性を求めるだけなら、R32のエンジンに載せ替えるだけでも十分だったでしょう。しかし、我々にはさらに先、安全性についても現代の車並みにしたい、という思いがありました」という。
そのためマルチリンク式サスペンションやラック&ピニオン式ステアリング、アテーサE-TSなど現代的な構造をもつR32のシャシーを丸ごと採用。
旧車の艶やかなスタイルと、現代的なメカニズムを見事に融合させてしまったのである。
それにしても、全長も全幅もシルエットも全く異なる2車が、違和感なく華麗に合体したものだ。
どんなマジックを使ったのか、渡辺氏に尋ねると「そこをやるのがプロ!」と答えが返ってきた。
ケンメリのボディラインとシャシーを違和感なく接合するため、ドアを完全オリジナルで設計するなど、旧車を長年扱ってきたプロショップならではの技術と知識が存分に生かされている。

実はエンジンもミッションもフルチューニング仕様
ちなみに今回の展示車両はR32ケンメリの中でも特別な存在で、かつてNISMOから販売されていたRB26DETTのフルチューニング版であるS1エンジンを搭載(しかも新品!)。
トランスミッションもNISMOのゲトラグ6速MT(これもすでに廃盤)に交換したスペシャルな仕様だ。

この仕様はちょっと特別すぎるとしても、「R32 KEN&MARY GT-R」ではRB25DETエンジン搭載モデルを標準仕様としながら、エンジン、トランスミッション、駆動方式などをオーナーの好みで自在に変更することができる。
ちなみに制作費用は、標準仕様で925万円、RB26DETTエンジン搭載のGT-R仕様で1080万円(ともにベース車両代・諸費用・消費税別)。
高級輸入車が1台買える価格帯だが、唯一無二の、しかも実用的な車であることを考えると、価格に見合うだけの価値は十分にあるだろう。


■エンジン系
型式:RB26DETT ニスモS1
排気量:2600cc
出力:推定500ps弱
■吸気系
タービン:GCGタービンキット
■伝動系
ミッション:ゲドラグ社製6速ミッション
■外装関係
外板:ロッキーオートオリジナル
■内装関係
シート:R34純正張替え
ダッシュボード:R32純正 アルカンターラ調塗装
■サスペンション
サスキット名:HKS社製
ブレーキ:日産純正
■ホイール
ホイールメーカー・名称:フロントライン FLS05
サイズ(F):16 in 8J
サイズ(R):16 in 9J
■タイヤ
タイヤメーカー・名称:DUNLOP DIREZZA ZⅢ
サイズ(F):205/50R16
サイズ(R):225/45R16

自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。
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