GLAクラス

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
 

最初の車からずっとメルセデスを乗り継ぐ

GLAクラス

シルバーのボディに、年季の入ったルーフボックスが目を引く、初代のメルセデス・ベンツ GLAクラス。この車は、山田亜子さんと夫の政美さんをつなぎ、今までの思い出をギュッと詰め込んだ存在だ。

彼女はこのGLAで、月に2~3回、娘の暮らす長野へと足を運ぶ。あるときは登山靴を、あるときはスキー板を積んで。ときにひとりで、ときに政美さんと。どんなときも、旅のスタート地点はいつもこのGLAだ。
 

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「600kmぐらいなら全然平気です。でも、800kmを超えたあたりで、さすがに体調を崩したことがあって」

500kmくらいの長距離なんてなんのその。山田さんにとって運転とは、移動手段であると同時に、暮らしのリズムを整えるひとつの方法でもあるという。

実は今の愛車は、山田さんにとって“2台目”のGLAだった。前に乗っていた白のGLAが10万kmを超え、そろそろ乗り替え時かな……と考え始めていた頃、担当のセールスマンが「ちょうどいいのがあるんです」と紹介してくれたのが、この車体だった。

走行距離1万9000km、同じ型、ボックスもスタッドレスも流用可能。「これしかない」と感じた彼女は、迷わずハンドルを握り替えた。
 

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山田さんはメルセデス・ベンツ歴30年以上の“ベテラン”だ。

もともとアウトドアが好きで、どこへでも車で出かける。最初の愛車は、結婚後に手に入れた中古のメルセデス・ベンツ 190Eだった。雪道でスタックし、泣きそうになったこともある。それでも、乗れば直進安定性は抜群で、シートも疲れにくい。

「どこへでも行ける」と思わせてくれる安心感が、以来ずっと彼女をメルセデスにとどめている。
 

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Cクラス、Mクラス、Bクラスと、車を乗り替えるたびに、暮らしも少しずつ変わっていった。北海道への転勤後、出産を経て関西、関東へ。どこに居を構えてもかたわらにはメルセデスがいた。

現在の彼女は精神科救急という、重くも尊い現場に身を置いている。悩みを抱えた人の声を真正面から受け止める日々。そのバランスを取るように、彼女はハンドルを握る。ドライブは、呼吸を整えるような時間でもあるようだ。
 

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人との縁をつなぐハブのような存在

夫の政美さんとは、性格も年齢もまったく違う。でも、不思議と波長は合うのだそう。当時同じ職場で出会い、旅行という趣味が共通項となって、自然と2人の距離は縮まった。

「車って、ただの道具じゃないと思う。行きたい場所に行けるって、よく考えるとすごいですよね」

彼女の口からふとこぼれた言葉に、走行距離では測れない深みを感じた。このGLAがなければ、きっと出合えなかった景色がたくさんあったのだろう。
 

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そして、おそらく山田さん自身が、“縁を運ぶ存在”なのだ。

娘を訪ねる道すがらふと立ち寄った山の麓で、救急の現場で交わされる言葉の中で。彼女の移動の先にはいつも新しい出会いや再会、小さな奇跡がある。そんな山田さんを、静かに支えるのがこのメルセデス・ベンツ GLAだ。

陽光にきらめくシルバーの相棒とともに、今日もまた、幸せをひとつひとつ運んでいく。
 

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▼検索条件

メルセデス・ベンツ GLAクラス(初代)
文/瀬イオナ 写真/小林司
GLAクラス

山田さんのマイカーレビュー

GLAクラス(初代)

●購入価格/約400万円
●年間走行距離/約2万km
●マイカーの好きなところ/長距離を運転しても疲れない。多少の山道でも入れる
●マイカーの愛すべきダメなところ/とくになし
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/長距離運転をして山レジャーに行く人

瀬イオナ

自動車ジャーナリスト

瀬イオナ

車メディアの雑誌編集部員を経て、2024年にフリーランスとして独立。「走って書ける」自動車ジャーナリストを目指して修行しながら、若手ジャーナリストとして活動中。車業界に入ったきっかけは、某動画で中谷明彦師匠を見つけたこと。現在に至るまで「ドライビング」はもちろん「ジャーナリスト」の心得など業界におけるすべてを教わりながら日々鍛錬中である。趣味はドライブ、レーシングカート、スキー、サウナ。