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1991年式のスプリンタートレノは、懐かしい車ではなく、人とかぶらない「新鮮な車」だった
2019/08/03

車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
今となっては中古車市場でレアモデル
昭和生まれの(筆者もそうだが)車好きは、往々にしてすぐにラベルを貼りたがる。
スバルに乗っていれば「スバリストだな」、ホンダ車を乗り継げば「ホンダ党か」、ポルシェが好きだと白状すれば「走り屋なんだね」……。そんな、なにがしかのラベルを貼ることで安心する。
古代エジプトの時代から言われ続けているらしい「最近の若いモンときたら……」という年配者の嘆きは、つまるところラベルの貼りようがない、という戸惑いなのだろう。
そもそも、今どきはラベルそのものが存在しないのかもしれない。
今回取材させていただいた原口航季さんは、平成9年生まれの22歳。愛車は、自分よりも年上の1991年式のトヨタ スプリンタートレノである。
初代トレノが、姉妹車のカローラレビンとともにデビューしたのは1972年。4代目にあたるAE86型エンジン搭載のホットモデルは「ハチロク」の愛称で親しまれ、今でも車好きの間では人気が高い。
原口さんの5代目トレノは、昭和も終わりに近づいた1987年に登場。バブル期と重なり新車の販売台数は多かったが、今ではハチロクなどに比べると残存する個体が少なく、逆に中古車市場では比較的レアなモデルとなっている。

実車を見た瞬間に、コレだ!
最近では街中ですれ違うこともめったにない5代目トレノだが、原口さんの愛車はモディファイによって、さらにレア度が増している。
リアトレイに鎮座するスピーカーボックス、ステアリングはレザーのクラシックタイプ、そしてシフトノブは水中花!「あの頃の車好き」の匂いがプンプンなのだ。

昭和生まれの車好きは、思わず興奮してこう尋ねた。
「国産旧車派なんですね?」
すると、原口さんはクールに……
「いや、そういうわけではないんです」
車の運転が好きな原口さんが、免許を取得して最初のマイカーを手に入れるにあたって課した条件は、MTであること、2ドアのスポーツ車であること、人とかぶらないこと、そして予算は100万円以内。
つまり、最初から古い車を探していたわけではない。カーセンサーをめくりながら、条件に合う車を探してたどり着いたのが、この1991年式のスプリンタートレノだった。
誌面に載っていた写真にビビッときた原口さんは、さっそく実車を見に行き、そして即決。
「実車を見た瞬間に、コレだ! と思いました」
シフトノブの水中花は、最初から装着されていた。「懐かしい!」とはしゃぐのは昭和生まれの車好きであって、平成9年生まれの若者には「渋くて、カッコいいじゃん!」となる。
カーセンサーで出合うまでその存在すら知らなかった原口さんにとって、トレノは「懐かしい車」ではなく、「新鮮な車」だったのだ。
「子共の頃から車が好きで、いわゆる“フツーの車”は最初から選択肢になかったですね。かといって人気車は高いし、人とかぶるのはつまらないし」

車とは気軽にフランクな関係で付き合いたい
車好きだが、例えば輸入車への憧れといったものは特にない。維持費がかかりそうだし、自分でイジれる部分も少ないような気がする。原口さんは、車とは気軽にフランクな関係で付き合っていきたいと言う。
ほとんどの整備は自分でやれる。モディファイを施しているうちに、いつの間にか昭和の匂いが漂い始めたのは、かつては車好きだった父とチェッカーズファンだった母の影響も大きいのでは、と原口さんは笑う。
ひと通りのモディファイを終えて、これからは壊れないように予防のための整備を施しながら、この車と長く付き合っていきたい。ダッシュボードのヒビやボディの塗装の浮きは、そのうちに。
最近の若いモンも……
昔の若いモンと同じように、自由に車を愛している。



原口航季さんのマイカーレビュー
トヨタ スプリンタートレノ(5代目)
●購入金額/約77万円
●年間走行距離/約2万㎞
●マイカーの好きなところ/リトラで表情が変わるところ。誰も乗ってないところ
●マイカーの愛すべきダメなところ/部品が少ない。塗装の状態がよくない
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/昔乗っていた人。他人とかぶらない車に乗りたい人

インタビュアー
夢野忠則
自他ともに認めるクルマ馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト兼自動車ロマン文筆家。愛車は1万円で買った90年式のフォルクスワーゲン ゴルフ2と、数台のビンテージバイク(自転車)。
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