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トヨタ MR2(SW20型)は意外と運転しやすい? 中谷明彦とZ世代モータージャーナリストが“エスダブ”に試乗&ミッドシップ車の魅力を語る 【カーセンサー中谷塾】#2
2025/03/25

過去の名車にZ世代のモータージャーナリストが試乗!
「昔の車は良かったなー!」
車が好きな諸先輩方はそう言うことが多いけれど、どんなところが良かったの? Z世代の私でも「良い」って思えるの?
本企画は、Z世代の駆け出しモータージャーナリスト・瀬イオナが、師匠と仰ぐ中谷明彦さんから、名車と言われる過去のモデルを中心に車のことはもちろん、デビュー当時のエピソードなどを振り返りながら教えてもらい、実際に試乗してみようという企画。
その名も「カーセンサー中谷塾」
懐かしい車たちの魅力を掘り下げ、その輝かしい歴史を後世に引き継がせてもらおうじゃないか。
第2回は、デビュー時に中谷さんも試乗したという、ミッドシップレイアウトが特徴のSW20型 トヨタ MR2だ。

自動車ジャーナリスト
瀬イオナ
車メディアの雑誌編集部員を経て、2024年にフリーランスとして独立。「走って書ける」自動車ジャーナリストを目指して修行しながら、若手ジャーナリストとして活動中している。車業界に入ったきっかけは、某動画で中谷明彦師匠を見つけたこと。現在に至るまで「ドライビング」はもちろん「ジャーナリスト」の心得など業界におけるすべてを教わりながら日々鍛錬中である。趣味はドライブ、レーシングカート、サウナ。

レーサー/モータージャーナリスト
中谷明彦
武蔵工業大学工学部機械工学科卒(塑性工学専攻)。大学在学中よりレーサー/モータージャーナリストとして活動。1988年全日本F3選手権覇者となるなど国内外で活躍中。自動車関連の開発、イベント運営、雑誌企画など様々な分野でのコンサルタントも行っている。高性能車の車両運動性能や電子制御特性の解析を得意としている。1989年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員として就任。1997年よりドライビング理論研究会「中谷塾」を開設しF1パイロット・佐藤琢磨らを輩出。
中谷明彦さんも当時試乗したSW20型 トヨタ MR2



今回は1989年に登場した、SW20ことトヨタの2代目「MR2」を用意してみました!

もしやこれは、Ⅰ型……?

そう反応されるのもちょっとわかる気がしますが、大丈夫です。この車体は1996年に登場したⅣ型です。フルモデルチェンジして2代目となったⅠ型登場時は、当時試乗した際、乗りこなすのが難しいっておっしゃっていましたよね?

MR2はミッドシップ車(MR)なのだけど、FFの横置きエンジンをそのままシートの後ろにもってきてしまっていて、オイルパンもエンジンの下にそのまま配置されている状態。車体は低いのに、エンジンの重心は高いままだったから、ハンドリングがとてもピーキーになってしまっていたんだ。

なるほど、一筋縄ではいかなそうですね。

コーナー途中まではいいんだけど、いきなり後ろを持っていかれてしまうような挙動が出てしまって運転が難しかったんだよね。それを対策するには、太いタイヤを履かせたり、サスペンションのストロークを増やすとか、メーカーレベルでの対策が必要だったんだ。

Ⅰ型は塾長のようなプロレーサーが操っても手に汗握るとおっしゃっていた映像を拝見しました。ミッドシップ車は難しいとよく聞くので、今回上手に運転できるか緊張しています。MR-2を含めミッドシップ車は運転する人を選ぶとかなんとか……。

“ミッドシップ車=運転が難しい”とは思ってほしくないね。人と車体それぞれの重心点が近いから本当は運転しやすいよ。例えば、ポルシェやフェラーリのミッドシップ車は、エンジンを縦置きにしたり、ボクサーエンジンだったり、ドライサンプといってエンジンの下にオイルパンを配置していなかったりと重心を低くしているから、ミッドシップ車本来の性能が発揮されるんだ。

なるほど。MR2の運転が難しいのは、ミッドシップだからではなく、エンジンの重心が原因なんですね。

そうそう。「こんなに運転しやすいんだ!」って思えるミッドシップ車もあるから、当時から勘違いしないでほしいと発信していたよ。


それは知らなかったです。先入観はいけませんね! 今回は、私がリトラクタブルヘッドライトが搭載された車に乗ったことがなかったので、講義車に選んでみたんです。外観デザインがすっきりして洗練されたスポーツカーという感じがして好きなのですが、塾長的に、この2代目MR-2が発売されたときは見てみてどうでした?

出た時は、アメリカ市場を意識したデザインになったなと思ったよ。初代のAW10型 MR2は、ベルトーネデザインのフィアットX1/9のような魅力があったんだ。ミッドシップ車でレーシーさを感じた。当時学生の僕を含め車好き皆が憧れる車だったよ。


(写真を見ながら)おー、初代MR2も素敵ですね! そして確かにX1/9とそっくり!

だから、2代目MR2が登場したときは、正直少しがっかりしてしまったのは事実だね。でも、イオナ君のように当時を見ていない人からすると、2代目のフォルムは新鮮?

現代にはないデザインだから新鮮に見えます。ガラケー持ったり、90年代ファッションが流行ったり、今、平成レトロがアツいですが、MR2にもレトロフューチャーさを感じられます。それにしても、Ⅰ型は酷評されてしまいましたが、II型以降は中谷塾長も含め、皆さん高く評価されていましたよね?

マイナーチェンジを重ねるごとに劇的に進化して、走りもとてもまとまっていって好印象だったね。今回はIV型と聞いて、イオナ君にも安心して試乗させられるよ(笑)。
見た目からは想像できない「普通の乗り味」


では早速発進してみますね。――あれ? なんだか良い意味で普通に運転できてしまいました。結構ピーキーなんじゃないかって少々恐れていたんですが……。

マイナーチェンジを繰り返したから相当乗りやすくなっていると思うよ。それにしてもこの車体、クラッチ重くなかった? さっき僕が試乗したとき、覚えているノーマルの感覚よりずっと重かったから、強化クラッチ入れていると思うんだけど。

確かに、初回連載時に乗ったランサーエボリューションⅥよりは重く感じるかもしれないです。この間、クラッチペダルが重いレーシングマシンVITA-01に乗ってきたので、感覚がバグっていたかもしれません(笑)。 それにしてもこの車体は動力がつながるのが結構奥の方なんですね。

クラッチが奥の方でつながるということは、この車体はクラッチディスクが減ってきているのかもしれないね。それはそうと、VITA-01とペダルの重さを比べちゃあダメだよ。今回のMR2はノーマルの場合、今回のような重さはなくてもう少し普通乗用車と変わらない感覚だった。ミッドシップと構えていた割には運転しやすかったんじゃないかな。

発進してからは、「THE市販車」という感じで、見た目の割にスポーツカーらしい感覚がなくて驚いています。ダッシュボードやメーターまわりもなんだかシンプルで、すかしている感じでかっこいいです。ステアリングの操作感も遊びがないし、シフトノブも短めなのでクイックでダイレクトな操作感もあるし、操っている感じを楽しめて良いですね。


乗り込んでしまうとカローラとかそのあたりと変わらないようなデザインだったから好みで、良し悪しは別れていたね。今は車を買うとしても公道では決して飛ばせるわけではないから、日常使いでミッドシップ車を流す程度に楽しみたい、フォルムを堪能したい人にオススメかもしれないね。

“ミッドシップ”という理由だけで候補から外すにはもったいないことを学びました。トランクやシート裏の荷物置きスペースとかMR-2は実用性が高いと思いました。また、塾長のお話を聞いて、前期から後期までの変化も大きいと改めて感じましたし、中古車を買うときはどの車もそうだと思いますが、必ず試乗してフィーリングの合う車体を見つけるのが良さそうですね!

物珍しい物好きな人は、あえてⅠ型を選ぶのもありかもね(笑)。
【イオナの感想】トヨタ MR2(SW20・IV型)
師匠からミッドシップ車についてたくさんお話を聞いていて興味あったので、今回試乗が叶ってとても嬉しい! というのが最初の感想でした。
さあ、今回の「MR2」の推しポイントは、ミッドシップ車であるのと同じくらい私の気持ちを惹きつけた「リトラクタブルヘッドライト」です。普段は、のっぺりとしたフロントデザインですが、ヘッドライトを点灯するとカバーがパカっと開いてライトが登場し、かっこよさがパワーアップ。現代の車にはない手法なので、いつ見てもその動きにときめいてしまいます。
実際に運転席に座ってみると、車高の低いスポーツカーなのに前方の視界が開けていて視認性が良かったことに驚きました。これはリトラクタブルヘッドライトを採用し、ボンネットフードを低くデザインすることができたおかげ、とのこと。ヘッドライトが持ち上がると、そこだけ視認性が落ちてしまいますが、特に運転していて邪魔には感じませんでした。
また、マニュアルのシフトレバーが短くてショートストロークで操作できるのがスポーツカーらしい印象を受けました。クラッチは重く、かなり奥でつながる感触でしたが、走り出しはスムーズ。ダッシュボードのデザインも普通乗用車のようで、ミッドシップ車だと身構える必要はありませんでした(笑)。
走りは一般道レベルでは扱いやすく、普通の車と何も変わりません。エンジン音が後ろから聞こえて騒々しいのかと予想していたのは大きく外れてしまいました。座席後ろの隔壁であるバルクヘッドがエンジンの騒音をしっかり遮音していて、とても静か。走っていると音は後方に流れていくようで、とにかく快適なスポーツカーです。

サーキットを走るような限界走行だと、FF車由来のエンジンとトランスミッションをそのまま移植したレイアウトでは後ろの重心が高く、師匠も運転が難しかったとおっしゃっていましたが、今回試乗したⅣ型ではタイヤサイズが太くなって安定性が増し、かなり改善されていたとのこと。こんな車でワインディングを走ったら、さぞ楽しいだろうなと思わされたので、機会があれば体験してみたいものです。
リアにトランクもあるので実用性も高く、私の運転ポジションだとシートバックにも荷物を積み込めて広々。ミッドシップレイアウトは、私も乗ったことがあるレーシングマシン「VITA-01」などレーシングカーが採用するレイアウトで、運転が難しいのでは、との予測はいい意味で裏切られました。
今回のMR2は、リトラクタブルヘッドライトデザインだということも含め、他の車とは一味違う個性を求める人、ミッドシップを安価で体験してみたい(ちなみに執筆時点での中古車平均価格は238万円)という方にはオススメです!
また、SW20型という型式名から略して「エスダブ」と呼ぶくらい、コアなファンに支持されていることも今回のカーセンサー中谷塾を通して知ることができました。
サーキットで速さを求めたい人は相応のメンテナンスや調整が必要となりそうですが、かつてGT300クラスを席巻したイメージを今も楽しめる貴重性は魅力がありますよね!
▼検索条件
トヨタ MR2(SW20型)×全国撮影協力/清水公園 〒278-0043 千葉県野田市清水906 TEL:04-7125-3030 FAX:04-7122-1670
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