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いわゆる「羊の革を被った狼」がお好きな人に注目してほしい希少車、C55 AMG!【NEXT EDGE CAR】
カテゴリー: 特選車
タグ: AMG / Cクラス / EDGEが効いている / 伊達軍曹
2020/10/27

今のうちから注目しておきたい「近未来の名車」を探せ
こちらは10月27日発売の雑誌カーセンサーEDGE12月号に掲載された自動車評論家・永福ランプ(清水草一)さんの人気連載「NEXT EDGE CAR」の、担当編集者から見た「別側面」である。アナログレコードで言うB面のようなものと思っていただきたい。
なお「NEXT EDGE CAR」というのは、「今現在はまだ名車扱いされていないが、近い将来、中古車マーケットで名車または名品と呼ばれることになるだろうモデルを探そうじゃないか」というのが、そのおおむねの企画趣旨である。
で、カーセンサーEDGE 12月号の同連載で取り上げた中古車は2004年式のメルセデス・ベンツ C55 AMG。5.4Lのウルトラ強力なV8自然吸気ユニットを搭載したAMGモデルで、走行距離はわずか2.6万km。それでいて車両価格は188万円という、ある意味お手頃水準だ。
いきなりの結論としては「ある種の人には強くオススメしたい!」となるわけだが、結論の説明へと進む前に、メルセデス・ベンツ C55 AMGという車についての簡単な説明は行っておこう。


V8エンジンを押し込むためボンネットを8.5cm延長
メルセデス・ベンツ C55 AMGは、先々代のCクラス(W203型)が2004年7月にマイナーチェンジを受けた際に追加された、AMGによる各種チューンが行われたハイパフォーマンスモデル。
最大の特徴は、最高出力367ps/最大トルク52.0kg・mを発揮する5.4L V8エンジンを、コンパクトなW203型Cクラスのボンネット内に押し込んでいるということ。で、そのV8自然吸気エンジンを搭載するため、C55 AMGのボンネットは通常モデルより8.5cm延長されている。
組み合わされるトランスミッションは5速ATで、タイヤサイズはフロントが225/40R18(リム幅は7.5J)の、リアが245/35R18(リム幅は8.5J)。新車時価格は966万円だったが、2006年3月には892万5000円に値下げされている。
そしてその走行フィールは、もちろん「鬼のように速い」という表現がしっくりくるタイプではあるのだが、スーパーチャージャー付きの「55ユニット」を搭載したE55 AMGほど暴力的ではなく、大排気量自然吸気エンジン搭載車ならではの「まろやかに(だが鬼のように)速い」といったニュアンス。
コーナリング時には、当然ながら若干のフロントヘビー感を感知するが、スペックから想像するほどのフロントヘビー感はない。あえて早めの操舵を行っても、かなりの重量物を積んでいるこの車のフロント部は違和感なく、俗に言う「リニアに」向きを変えてくれるのだ。
だが、そんなメルセデス・ベンツ C55 AMGの新車はさほど売れなかった。
超ハードな仕様ではなく、中庸を行くニュアンスが「中途半端」と受け取られたのか、高額ハイパフォーマンス車が星の数ほど走っている東京都内でも、新車が販売されていた当時にC55 AMGを路上で見かけた記憶はほとんどなく、2020年現在の中古車流通量も希少。具体的には10月下旬時点で4台しか流通しておらず、相場は100万から190万円といったところだ。


仰々しくなくフォルムが逆に好印象
さて。そんなメルセデス・ベンツ C55 AMGが近い将来、中古車マーケットで名車と呼ばれることになるかどうかは微妙であろう。未来のことは誰にもわからないが、個人的な推測としては「まぁ、呼ばれないだろうな……」と思っている。
だが同時に、以下に記す2パターンのいずれかに属する人にとっては「なかなか悪くない選択肢ではないか?」とも思っているのだ。
C55 AMGがハマりそうな人その1は、いわゆる「羊の皮を被った狼系」がお好きな人だ。
これの後継であるW204型のC63 AMGは素晴らしいスポーツセダンだが、いかにも武闘派丸出しの仰々しいフォルムやディテールが苦手な人もいらっしゃろう。また、さらにその後継である現行型のメルセデスAMG C43 4マチックやC63も、先代のC63ほどではないにせよ、「いかにも」な造形を伴っている。
だが、この世代のC55のビジュアルは――あらためて画像をご覧いただきたいのだが、ほとんど普通の「おっさんずセダン」である。
いや、もちろん見る人が見れば、通常のW203型C200コンプレッサーあたりとずいぶん違うことは一目瞭然なわけだが、一般的な目線で見るならば「おっさんずセダン」なのである。そしてそここそが、「羊の皮を被った狼系」を好む人間にはグッとくるポイントなのだ。


大排気量自然吸気ならではの「優雅さ」こそが魅力
そしてC55 AMGがハマりそうな人その2は、「ダウンサイジングターボエンジンがあまり好きではない人=昔ながらの大排気量自然吸気エンジンが好きな人」であるはずだ。
2Lや3Lぐらいのエンジンに過給器を付け、その結果としてかなりの高出力と大トルクを、地球環境との兼ね合いを考えながら発生させる――というのが昨今のトレンドで、それはそれで素晴らしいモノである。
だが――特に2L級ぐらいのダウンサイジング高出力エンジンだと――何かこう「小さなモノが頑張って回ってます」的な感触が、どうしてもドライバーに伝わってしまうものだ。
その感触を「貧乏くさい」と言うつもりはいっさいないが、少なくとも「優雅な気分には浸りにくい」と評することはできる。素晴らしいパワーとトルクであることは間違いないのだが、どこかこう「せかせかしてる感じ」のフィールからは逃れにくいのである。
そしてもしも「優雅な気分」に浸りたいのであれば、やはりエンジンは大排気量の自然吸気に限る。
もちろんメルセデス・ベンツ C55 AMGの5.4L V8自然吸気エンジンは、その気になれば6500rpmあたりまでブン回すことも可能。しかしそこまで回さずとも、せいぜい2000rpmも回っていれば、間違いなく「極太!」といえるトルクの恩恵で、いかようにも――つまりのんびり巡航したり、追い越しなどのためグッと鬼加速させたりしながら――自在かつ鷹揚な走りを堪能できるのが、こういった大排気量自然吸気エンジンの魅力なのだ。

だがその魅力の代償として、5.4Lエンジンのユーザーには年額で8万8000円の自動車税が課せられ、2004年式C55 AMGの場合は、さらに重課が加わって10万1200円となってしまう。
そのためメルセデス・ベンツ C55 AMGは、どう考えても「万人向けの中古車」とは言い難い。
しかしもしもあなたが、そういった点がさほど気にならない「ある種の人」であるならば、ぜひこの希少な中古車にご注目いただきたいのだ。
最後となったが、この個体の内外装等のコンディションは「ほぼ文句なし」であった。
▼検索条件
AMG Cクラス C55(2代目)×全国
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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